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三菱ガス化学の価値創造ストーリー 第2回 Vol.2 研究員インタビュー

三菱ガス化学の価値創造ストーリー 第2回 Vol.2 研究員インタビュー

製品の90%以上を自社開発の技術で製造するなど、三菱ガス化学は独自の技術を強みに1971年の創立以来、半世紀にわたって持続的な成長を遂げてきた。研究員が持てる力を最大限に発揮し、革新的な製品・事業を創出し続ける背景には、どんな風土があるのか。ものづくりの最前線・東京研究所を訪ね、同社の将来を担う4人の研究員に話を聞いた。

現在の研究内容を教えてください。

西森スマートフォンのカメラレンズなどに使われる光学樹脂ポリマー「ユピゼータ(R)EP」といった光学材料の研究に携わっています。チームリーダーとして多様なバックグラウンドを持つメンバーを束ね、素材の分子レベルの設計から加工まで幅広い研究を通じて最適なソリューションを提供しています。

佐嘉田眼鏡用プラスチックレンズ材料の開発です。当社が扱うレンズ材料は強度数でも薄く仕上げられる超高屈折率のもの。モノマーの分子設計から合成、レンズ成形まで手掛けています。

島田今後の新製品や新事業を創出するための基礎的な探索研究を行っています。ライフサイエンスやモビリティ、インフラなどいくつかのターゲットがある中で、私はエネルギー領域での新規材料を研究しています。

茂田液晶ディスプレイ内部の電子回路形成に用いられる薬液の開発に携わっています。多数の画素で構成されるパネル上に様々な積層材料の微細パターンを高精度で形成することが重要で、その工程向けの薬液の最適組成をお客様の仕様ごとに設計します。ディスプレイの高精細化が進み、薬液開発の難度が上がりスピードアップも求められる中、海外のグループ会社の研究員とも共同で開発を進めています。

西森 克吏 氏

研究統括部 東京研究所
主任研究員
西森 克吏

大手メーカーを経て2018年に入社。スマートフォンのカメラレンズなどに使われる「ユピゼータ(R)EP」といった光学材料の研究に携わる。顧客とも連携しながら情報や知恵を集約し、スピード勝負の市場で最適なソリューションを提供する

職場の環境についてお聞かせください。

西森進化の速い先端市場でお客様のニーズをいち早く形にするために、事業部と工場と研究所が三位一体で動いています。研究員の裁量で仕事ができる自由な雰囲気があり、素早い意思決定が可能です。声がかかれば海外であっても翌日には飛んで行く機動力も、この事業の急成長という結果に結びついていると思います。

佐嘉田とても風通しが良く、働きやすい職場です。入社以来、質問するとどんなに忙しくても丁寧に教えてくれる先輩たちの協力的な姿勢に助けられ、自立した研究開発が担えるようになりました。現在の職場にも各々の知識や技術を共有し、キャリアや年齢に関係なく議論し高め合う雰囲気があります。以前、一人で長期海外出張に行った際は事前準備などが大変でしたが、上司や同僚、本社の関係者が積極的にサポートしてくれました。そのおかげで渡航先でも問題なく仕事に専念できました。

佐嘉田 理恵 氏

研究統括部 東京研究所
副主任研究員
佐嘉田 理恵

2010年に入社。「エージレス」など脱酸素剤の研究に3年間従事した後、現在の部署に異動。光学材料のうち、眼鏡用プラスチックレンズ材料の開発に携わる。先ごろ、新製品の生産技術確立のために初めて1人での長期海外出張を経験した

制度面のサポート体制は整っていますか。

茂田6歳と4歳の子供がいるので、育児短時間勤務制度を活用しています。子供が小さく病気がちだった時期には、最大40日間取れる積立年休制度を充当しました。まだ利用はしていませんが、子供の看護休暇制度もあるので安心して働き続けることができます。

島田昨年7月に子供が生まれ、コロナ禍の中での育児を妻と2人で乗り切ろうと4カ月間の育児休暇を取得しました。上司から「1人が一時的に抜けたぐらいで回らない組織にはしていないから安心して休んでいいよ」と言われ、とても心強く感じました。有意義な経験をさせてもらった会社への感謝をこれから仕事で還元していきたいと思います。

島田 昌宏 氏

研究統括部 東京研究所
副主任研究員
島田 昌宏

2012年に入社し、新潟研究所でバイオ領域の探索研究を行う。13年から未来事業創出プロジェクトグループで次世代の電池材料の研究に携わる。その後18年に現部署に異動し、エネルギー領域の探索を担当。昨年、4カ月間の育児休暇を取得した

最後に、今後の目標を教えてください。

西森スピードが求められる素材開発の分野において、実験を繰り返す代わりにシミュレーションで性質を予測する「計算化学」など、デジタルトランスフォーメーション(DX)を駆使して市場のニーズに応えていきたいと思います。また、サステナブル社会の実現に向けたプラスチックのリサイクル技術の開発が加速しています。化学メーカーだからこそできる分子レベルの制御によって、世界的に大きな社会課題となっているプラスチック問題の解決を目指します。

佐嘉田当社は独自技術で世界最高の屈折率1.76のレンズ材料を生み出しました。この技術開発力を生かし、高屈折率だけではない価値の創出に挑戦し続けます。2050年には世界で約50億人に眼鏡が必要になると言われています。眼鏡用レンズを通して人々に寄り添い、快適で便利な「視」生活が送れる製品を提供していきたいと思います。

島田今携わっているエネルギー分野の探索で新たな製品を開発し、世の中で受け入れてもらうことが目標です。同時に、新たな研究テーマを自ら発案し製品化することにも挑戦したい。化学メーカーである当社は、CO2削減など困難な社会課題を解決できる立場にあります。後世の人たちに誇れるような、社会に貢献する事業や製品の創出を目指します。

茂田家電店で8Kテレビの美しい映像を見るたびに、自分が関わる研究を通して生まれた製品が暮らしを豊かにしていると嬉しく感じます。これからも世の中に快適さや利便性といった価値を提供していきたいと思います。

茂田 麻里 氏

機能化学品事業部門
無機化学品事業部
エレクトロニックケミカルズ
R&Dグループ
茂田 麻里

2012年に入社以来、現在の部署で電子工業向け薬液の開発に携わる。育児休暇を2回取得した後、現在は育児短時間勤務制度を使いながら研究を続ける。次世代の半導体デバイス向け薬液の調査なども行っている

東京研究所では機能性材料の開発や既存製品の応用技術の研究を中心とした研究開発に加え、三菱ガス化学の将来を担う新規テーマの探索も進められている

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