ウォルマートやクローガー、コカ・コーラなど、小売業・消費財製造業をけん引するDX先進企業が、次々とマイクロソフトとパートナーシップを締結した。デジタル基盤を提供するプラットフォーマーとしてのマイクロソフトに大きな期待を寄せたからだ。日本マイクロソフト 流通サービス営業統括本部の藤井創一氏は、マイクロソフトのノウハウを結集したDXを成功に導くシナリオについて、グローバルな先進事例を交えながら具体的に解説した。ニューノーマルな時代を勝ち抜くヒントがここにある。

先進的な小売事業者・消費財メーカーの間で
プラットフォーマーのマイクロソフトに高まる期待

小売業・消費財製造業は、消費者や市場の変化に対して自ら変革し可能性を切り拓いてきた。近年では、人口構造変容、ライフスタイルの多様化に加え、アマゾンをはじめとするデジタルディスラプターの脅威に対抗するべく、DXの取り組みが一気に進んだ。現在の重要なテーマは、コロナ禍に伴う消費者の意識や行動の変化への対応だ。パーソナライゼーションやサステナビリティに対する消費者の期待も高い。重要なポイントは、DXによる構造改革を加速することだ。

小売業・消費財製造業において、グローバルのDX先進企業は新しいステージに入った。世界的なスーパーマーケットチェーンのウォルマートやクローガー、ドラッグストア最大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、消費財メーカーのコカ・コーラなどが次々とマイクロソフトとパートナーシップを締結した。小売業・消費財製造業の中でマイクロソフトの存在感が高まっている理由は、プラットフォーマーとしてのポテンシャルにある。

日本マイクロソフト株式会社
エンタープライズ事業本部
流通サービス営業統括本部 
インダストリーエグゼクティブ
藤井 創一 氏

2014年にマイクロソフトは、ソフトウエアを販売するメーカーから、デジタル基盤を提供するプラットフォーマーへと大きく舵を切った。小売業・消費財製造業がプラットフォーマーのマイクロソフトに期待するポイントについて、日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部 インダストリーエグゼクティブの藤井創一氏は次のように説明する。

「マイクロソフトが提供するデジタル基盤は、全方位かつ包括的に小売業・消費財製造業のDXを支えます。また流通業と競合しない立場から、プラットフォーマーとしてお客様に最新のデジタル技術情報や、グローバルの先進事例情報を提供します。さらに、企業のDXを継続的に進めるために内製化に向けたトレーニングのサポートにも積極的です。その一方で、内製化だけでは対応しきれないDXのニーズに応えるべく、クラウドの柔軟性や拡張性を生かしたソリューションを構築できるSIerやISVと連携しエコシステムの構築に注力しています」(藤井氏、以下同)

小売業向けDXを
成功に導く4つのテーマ

マイクロソフトと小売業の関係は創業時まで遡る。「POS向けに Windows OS を提供するなど小売業におけるコンピューティングの普及に尽力しました。1995年から日本国内においても流通専任担当を設置し、流通業のお客様と直接コミュニケーションをとってきました。2014年の事業転換以降は、小売業のお客様のビジネスと向き合い、一緒に課題解決に取り組むことに力を注いでいます」(藤井氏)

マイクロソフトは注力産業に対して、グローバルでお客様の声やノウハウを集約し、DXを成功に導くインダストリープライオリティシナリオを作成している。小売業のDXに向けたシナリオが掲げる4つのテーマについて、ポイントと事例を紹介する。

1.顧客を理解し、つながりを強化する
「小売業のビジネスは、顧客との接点に価値の起点がある」と藤井氏は強調する。顧客のロイヤリティを確保するために、社内外の安全性の高いデータソースをAIで分析することで、様々なチャネルでパーソナライズされたサービスを提供し競争力を高める。
「事例としては、医薬品や生活商材を取り扱う店舗を運営するウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが挙げられます。ビッグデータ分析プラットフォーム Azure Synapse Analytics を利用し、売上データに加え、天気やイベントなどの社外データも活用し、地域に密着した個店マーチャンダイジングを実現しました」

2.従業員の能力を強化する
店舗で顧客と直接やりとりをする販売員は、ブランドの顔となると藤井氏は指摘する。販売員がコミュニケーションハブ Microsoft Teams(以下、Teams )によりデータを活用して適切な顧客対応を行うことで、顧客満足度の向上を図る。また、コロナ禍でリモートワークが普及する中、Teams はニューノーマルな働き方に欠かせないツールとなっている。
「家具の製造販売を行うグローバル企業のIKEAは Teams を活用し、従業員の間で顧客対応ベストプラクティスなどのノウハウを共有することで接客品質の向上を実現しました。また、紙ベースの業務プロセスを Teams に置き換えることで、業務の効率化によりワークライフバランスの改善も図っています」

3.サプライチェーンを高度化する
ネット通販でも店頭でも、適切な在庫や迅速な配送はビジネスチャンスを広げる。「サプライチェーン全体を可視化し高度な予測により、サステナビリティとともに消費者ニーズに即応する柔軟なサプライチェーンの構築を実現できます。英国スーパーマーケット大手のモリソンズを例に挙げましょう。同社はAzure 上でマイクロソフトのパートナーであるBlue Yonderの計画系サービスを全商品、全店に導入しました。高度なAI予測と自動化の実装により約99%の自動発注率、在庫切れ30%削減など、業務効率と顧客満足度を劇的に改善しました」

4.小売業ビジネスを再創造する
クローガーとマイクロソフトが共同で開発した無人レジを実現するスマートシェルフは、他の小売事業者にサービスとして提供するRaaS(Retail as a Service)の代表例として紹介されることも多い。「AIやIoTを活用し無人化や売り場の最適化を実現するスマートストアなど、小売業のDXでは既成概念を覆すイノベーションが加速しています。イスラエル最大のドラッグストアのスーパーファームでは、ロボティクス、クラウド技術などを活用したマイクロ・フルフィルメント・センター(MFC)をAzure上で稼働させ、オンラインオーダーに関して1時間後のオンデマンド配送を実現したという事例もあります」
※MFC:受注から梱包発送、決済までを一カ所で行うフルフィルメント・センターをコンパクト化したもの。

日本の小売業界でも、Teams の活用により店舗経営相談員の提案力を強化し店舗の売上増や顧客満足度の向上を目指すセブン‐イレブンなど、DX先進事例が次々と生まれている。

消費財製造業向け
DXを成功に導く4つのテーマ

小売業に商品を提供する消費財製造業のDXの支援にも、マイクロソフトは力を入れている。消費財製造業のDXに向けてインダストリープライオリティシナリオが掲げる4つのテーマについて、ポイントと事例を紹介する。

1.消費者とブランドのつながりの強化
「消費者の嗜好が多様化する中、デジタル技術を活用し、様々なチャネルでパーソナライズされたサービスや商品を提供することが求められています。米国最大級のプレミアムワイン会社のサン・ミッシェルは、クラウドERP/CRMのMicrosoft Dynamics 365 を導入し、スマートフォンサイト、試飲、購入など、顧客接点となるすべてのチャネルでパーソナルな体験の提供を実現しました」

2.アジャイルで持続的な製品ライフサイクルに向けたオペレーションの最適化
持続可能性は消費者の商品選択における重要な要素となっている。「IoTやAI・機械学習の活用により、持続可能性を高めていくことが、ビジネスチャンスにつながります。家庭用品の製造・販売を行うユニリーバは、2030年のカーボンニュートラル実現と利益最大化に向けて、Azure IoT、機械学習などにより工場の物理環境を仮想空間で再現するデジタルツインに取り組み、オペレーションを改善・最適化することに成功しました」

3.企業活動上のあらゆる連携を強化
「小売業との連携プロセスの改善・強化では、消費財製造業の営業担当がデータを活用し、提案力の質とスピードの向上を図ることが必要です。好事例として挙げられるのがペプシのフランチャイズボトラーのG&Gペプシです。Microsoft Power Platform を活用しローコードで店舗監査のモバイルアプリを開発し、営業担当者のスマートフォンに実装。店頭状況の本部との共有により、現場実態に基づく改善策や店頭体験の提案を可能にしました。

4.イノベーションの加速
「グローバルで競争が激しさを増す中、デジタル技術を使って付加価値の高い商品をいち早く市場にリリースすることがより重要になっています。例えば、スウェーデンに拠点を置くウイスキー酒造メーカーのマックミラは、機械学習・AI関連サービス群 Azure Cognitive Services の利用により新商品のレシピを開発しました。ウイスキーの革新的な調合の発見とともに、市場への迅速な新商品リリースを実現したのです」

日本の消費財製造業においてもDXの取り組みが進んでいる。また、イオンSM(スーパーマーケット)グループでは、マイクロソフトのデジタル人材育成トレーニングに情報システム部門や現場担当者が参加し、デジタル人材の育成を図った。

小売業向けクラウド「Cloud for Retail」が
日本の小売業におけるDXの裾野を拡大する

2021年1月に開催された小売流通業における世界最大のカンファレンス「NRF2021」において、マイクロソフトは、インダストリークラウドとして小売業向けクラウド「 Microsoft Cloud for Retail 」のプレビュー版を公開した。「 Microsoft Azure、Microsoft 365、Microsoft Dynamics 365、Power Platform を組み合わせて利用するとともに、データを中核としてマルチチャネルによるパーソナライズ、フルフィルメント・センターなど、流通業のDXに必要な要素を提供します。Microsoft Cloud for Retailにより国内小売業におけるDXの裾野は大きく広がります。まずは、できることから取り組むことも大きな一歩です」(藤井氏)

「コロナ禍において、棚から倉庫、工場、物流までのプロセスで商品や在庫のリアルタイム管理の重要性を実感された企業も多いのではないでしょうか」と藤井氏は話し、こう続ける。「マイクロソフトは、インダストリークラウドの拡大やデータフォーマットを統一するコモンデータモデルの取り組みにより製造、小売、物流など業界の枠を超えたデータ連携を実現していきます」

プラットフォーマーのマイクロソフトをパートナーに、最新のデジタル技術を活かし、不確実な時代をチャンスに変える。DXによる小売業・消費財製造業の挑戦はまだ始まったばかりだ。チャレンジする企業には、無限の可能性が広がっている。

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