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人手不足、後継者不足、情報不足など、中小企業が抱える課題は多い。少子高齢化の未来が確実となった日本で、これらの課題を解決するためにデジタルトランスフォーメーション(DX)は有効な手段のひとつと言えよう。しかし、何から始めてよいかわからないという現状が壁となっている。そこで、日本マイクロソフトはパートナーとともに全国の中小企業の支援を続けている。まず何をすべきか、どう考えればDXは成功するのか。日本マイクロソフトの三上智子氏に、DXのユニークな成功事例を交え解説してもらった。

中小企業にこそ必要なDX変革

日本マイクロソフト株式会社
執行役員
コーポレートソリューション事業本部長
三上 智子 氏

「大企業のDXはかなり進んでいますが、日本経済の主軸を担う中堅、中小企業のDXはまだ始まったばかりです」(日本マイクロソフト執行役員コーポレートソリューション事業本部長の三上智子氏)。

昨今の中小企業は多くの課題を抱えている。最大の問題は人手不足。少子高齢化の波をまともにかぶっているのが中小企業だ。また、経営者が年々高齢化する中で、後継者不足も深刻化している。ビジネスは好調なのに、後継者がいないために会社を売却したりビジネスを閉じざるを得ないケースが後を絶たない。

こうした背景から、DXは中小企業にこそ必要な変革だと三上氏は述べる。生産性の向上は中小企業にとって生き残りを賭けた経営課題となっているのだ。

しかし、そこには見えない壁がある。「DXの重要性を理解する経営者は増えています。しかし、情報不足で何から手をつければよいかわからないという方が多いのです」(三上氏)。中小企業は地方比率が高く、都心部のように十分な情報やインフラがない。クラウドやDXと言われても、それを身近でアドバイスしてくれる存在が少ないのだ。

そんなとき、新型コロナウイルスの感染拡大により業務体制に変革が起きた。テレワークなしにビジネスを続けられない状況が生まれ、多くの中小企業で業務のデジタル化を検討せざるを得なくなったのだ。

「考えるより行動が先」の精神でデジタルを活用した業務変革へ踏み出した企業の姿は、三上氏にも学びを与えたという。「日本マイクロソフトはグローバル企業と見られがちですが、実態は創業35年の典型的な日本企業。テレワークやITは進む半面、ダイバーシティ推進や女性活用などでは課題を抱えています。私たちこそ行動が必要だと感じました」(三上氏)。

テレワークの導入から
業務プロセスのデジタル化へ

DXの最初の1歩は「Microsoft 365」によるテレワークの導入だ。まずは「Excel」や「Word」など、日ごろ使い慣れているツールから違和感のない形でクラウド化し、いつでもどこでもセキュアに仕事ができる環境を整備する。重ねて「Microsoft Teams」を使った会議やチャットなどオンラインによるコミュニケーションを始める。

営業や外回りを含む多くの従業員は、テレワークによって帰社の必要を無くすだけでも生産性が上がる。移動にかかる時間とコストを削減し、その分を売上につながる仕事に充てられるからだ。

この取り組みを支援するため、日本マイクロソフトは Microsoft Teams を6カ月間無償で利用できるトライアルを展開して Microsoft 365 導入の敷居を下げた。また、オンライン会議の設定方法やチャネルの作り方、ファイル共有の方法など、Microsoft 365 サービスの利活用ノウハウを学べる動画を作成し、指導者の少ない地方企業を支援した。文字で説明するより動画の方が早くわかりやすく理解できるからだ。

一方、全国に広がるパートナーエコシステムを活性化するため、ノウハウの提供や各種キャンペーンを矢継ぎ早に展開し、パートナーと一緒になって地方の中小企業の課題に寄り添う努力を続けた。

テレワークの次は、業務プロセスのデジタル化を目指す。サイバー上の脅威が高まりつつある中で、サーバーの運用やセキュリティ対策、IT管理をすべて自前で行うことは中小企業にとって大きな負担になる。SaaSを積極的に活用することでこの部分をアウトソーシングし、従業員をより付加価値の高い業務に向かわせれば、生産性はさらに高まる。

テレワークの普及と業務プロセスのデジタル化は、人手不足の解消にもつながる。遠隔地にいる人材を雇用することが可能になるからだ。

中小企業によるユニークなDX成功事例が続々

こうした中小企業のDXに大きく貢献しているのが、全国に広がる日本マイクロソフトのパートナーエコシステムだ。中でもユニークな動きとして、山口フィナンシャルグループ(山口県下関市)がある。同社は地方銀行なのだが、山口、広島、北九州を中心とする営業エリア内でDXが進まない状況を見て立ち上がった。グループ会社のデータ・キュービックと共に日本マイクロソフトと包括的な業務提携を行い、DXに必要なツールやクラウドサービスを地元企業に提供する。同時にDXのイノベーションに対して投資ファンドを通じた資金提供を行う。銀行が地元企業のDXをツールと資金の両面から支援する画期的な取り組みだ。

山口フィナンシャルグループと日本マイクロソフトの業務提携の概要

こうした取り組みが奏功し、中小企業によるDXの成功事例も続々と登場している。

スマートフォンでタクシーを呼べる「クラウド型配車システム」を提供する電脳交通(徳島市)は、古くからあるビジネスをデジタルでリニューアルし、新しい付加価値を生み出した好例だ。人手による配車オペレーションを自動化し、紙ベースで管理していた営業データをデジタル化して活用。これにより、全国のタクシー会社に10~40%のコスト削減と収益力の向上をもたらしている。東京都や神戸市などにオフィスを持つが、本社は徳島市に構えたままリモートワークでビジネスを展開している。

また、和食レストランや屋台などを経営する創業100年の老舗ゑびや(三重県伊勢市)の取り組みもユニークだ。同社が長年培ってきたノウハウを日本マイクロソフトの商用クラウドサービス「Microsoft Azure」をベースにデジタル化し、来客予測システムを開発した。400種類に上るデータを駆使し、その的中率は90%を超えるという。

「ウェイトレスをされていた方がデータ可視化ツールである Power BI をいちから学び、データサイエンティストとして売上の向上に貢献しています」(三上氏)。どんな中小企業でも、事業に関する経験とノウハウを持っているはずだ。それらをデジタルに活用することで、優れたDXにつながる可能性は高い。ゑびやは予測システムの外販に乗り出し、新たなIT事業を立ち上げている。

文化財の記録や資料作成、デジタルアーカイブの制作管理などを手掛けるとっぺん(佐賀市)は、自社から1000キロメートル離れた千葉市に在住する人材を完全テレワークで雇用している。中小企業の人材不足を解消する新たな取り組みとして注目を集める。

このように、地域に密着したものや業態に特化したものなど、実に多彩なDXを有効活用した事例が生まれている。少子高齢化の未来が確実となった日本で、中小企業が抱える様々な課題の解決策としてDXは有効と言えよう。「今後も全国のパートナーとともに中小企業の悩みに寄り添い、課題解決をサポートしていきます」(三上氏)。

ピンチはチャンスというが、人手不足や情報格差など課題の多い中小企業だからこそ、DXが成功した時の効果は測り知れない。時代の変化をポジティブにとらえ、小さな1歩を踏み出してほしいと三上氏は語る。

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