Vol01:Evolution3.11がもたらした変化と進化 Vol02:Essence二人三脚で取り組むDX、変化と成功の軌跡 Vol03:Future“お客様に寄り添う”マイクロソフトが描く、DX推進の先にある未来

多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けて大きく舵を切るなか、Microsoft Teams をはじめ、さまざまなソリューションを持つ日本マイクロソフトがDX推進のパートナーとしての存在を高めている。その根源にあるのが自らのDX体験だ。今回は、自らDXを強力に推し進めてきた日本マイクロソフトが考える“お客様に寄り添う”ことの重要性と、現在の取り組みや未来に向けた提言について、日本マイクロソフト株式会社 代表取締役 社長 吉田 仁志氏にお話を伺った。

“お客様に寄り添う”
日本マイクロソフトが果たしてきたこと

日本マイクロソフト株式会社
代表取締役 社長
吉田 仁志 氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、社会のあり方や事業継続におけるデジタル技術の重要性が浮き彫りになるなか、デジタルによるビジネス変革を実現するためのDX化の遅れが露呈したことで、DX化に向けた課題が多くの企業で認識されている。そこで日本マイクロソフトでは、“Transform Japan, Transform Ourselves”を掲げ、 “お客様に寄り添うマイクロソフト”を標榜し、日本の社会変革に向けたDXを支援する活動を推進している。

この背景にあるのが、Windows のライセンス販売から Microsoft Azure などのクラウドサービスのサブスクリプションモデルへの劇的な変革を遂げた、DX推進者としての自らの体験だ。「DXを強力に推進したことで、おかげさまで、当社に関する市場からの評価は以前に比べて大幅に高まっています。ただし、我々自身も痛みを伴いながらDXを推進してきたというのが実際のところです。現在、まだ道半ばの状況ではありますが、お客様に寄り添いながら失敗も含めた我々の経験を共有することで、DX推進に向けたお手伝いができると考えたのです」と吉田氏はその意図を語る。

DX支援に向けた活動は、現在も積極的な取り組みが進められている。その1つが、2021年3月に発表した「日本マイクロソフト 未来につなぐプロジェクト ~ これまでの 10 年、これからの 10 年」と呼ばれるものだ。これは、同社自身の変革体験とともに、これまで実施してきた顧客支援や災害対策支援から得た知見をベースに、パッケージの提供やウェビナー開催、賛同企業・団体と連携したサービス提供などを行うプロジェクト。ローコードやノーコードで個別のニーズに合わせてカスタマイズ可能な災害対応やBCP対策で活用できるクラウドソリューション「リスクへの備えパッケージ」を GitHub において無償提供するだけでなく、事業継続に役立つウェビナーの開催や協賛団体との連携も強化していくものとなっている。「東日本大震災を皮切りに過去10年間、これまで経験してこなかった大きな出来事が何度も起きています。そこで、我々自身がDXで取り組んできた過去の10年間の知見を有効にラーニングし、新たな施策が打てる環境づくりを行うことが、未来につないでいくことになるはず」と吉田氏は説明する。

DX推進に欠かせない人材育成の取り組み

また、DXの下支えとなる人材育成の面でも、その取り組みを加速させている。「スキルの習得、いわゆるスキリングだけでなく、デジタルを使いこなして応用できる人材を育てていくことが重要です。これは企業の方だけでなく、政府や自治体、教育分野においても同様です」と吉田氏。2016年に経済産業省が公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査1」によれば、2030年には最大で約79万人のIT人材に関する需給ギャップが生じるとされており、教育分野におけるスキリングおよびランディングの重要性は一層高まってくることだろう。

そこで日本マイクロソフトでは、GIGAスクール構想に向けて教員向けの無償のプログラムを数多く提供しながら、実践的なAIに関する知識が習得できる経営層向けのAIビジネススクールやエンジニア向けのAI・IoTをはじめとした最新技術に関するトレーニングなども積極的に提供。就労支援に向けたデジタルスキル習得施策として、「Global Skills Initiative-Japan」を展開するなど、デジタルスキルの習得を通した就労機会の拡大にも尽力している。

ハイブリッドワークプレイスという視点

世界的な潮流となっているDXは、日本においても本格的に始まりつつあるが、そのなかでも働き方改革は重要なポイントの1つ。日本では単に家で働くことができる環境づくりとしてのリモートワークに留まっているが、その先を見据えていくことが大切だという。その答えの1つとなるのが、同社が提唱するハイブリッドワークプレイスという考え方だ。在宅勤務できる環境づくりに加えて、オフィス出社を希望するメンバーにも配慮しながら、従業員のウェルビーングを重視した働き方を実践できるかどうかが重要だと説く。

実際に多くの企業で Microsoft Teams の活用が加速し、この1年で6倍ほど、世界でも1.15億人が利用する基盤にまで成長を遂げている。「広くご利用いただいている Microsoft Teams を提供している我々も、いまだに働き方の答えを見つけ出しているわけではありません。我々自身も使い方を学びながら、新たな機能追加を進めているところです」と吉田氏。一例をあげると、以前は30分ほどのミーティングが効率の良い時間だと考えられていたが、実は人のアテンションはそこまで持続せず、参加者がテレビ慣れしてしまっているがゆえに、イベントなどの集中力は25分を超えると急激に落ちてくるといった新たな知見だ。「当初は新入社員に気を遣うことが必要だと考えていましたが、現在の環境下で精神的なダメージを受けているのは、今すでに会社に所属している社員も同様です。その意味ではウェルビーングを念頭に、効率化はもちろん、快適な環境づくりが大切。だからこそ、100%リモートではなく、オフィスも含めたハイブリッドな環境で、勤務時間や場所、社員の意思を尊重しながら、境目なくスムーズにコラボレーションできる環境づくりが重要なのです」と吉田氏は力説する。

そんな体験をもとに、従業員を中心に据えた従業員体験プラットフォーム(Employee Experience Platform、EXP)となる Microsoft Viva を発表し、個人のウェルビーングに配慮しながら働き方を見ていくことができる仕組みづくりを進めている。また、リモート環境であっても、あたかも同じ場所にいるような Mixed Reality(複合現実)を生み出す Microsoft Mesh など、新たな挑戦にも積極的に取り組んでいる状況だ。

なお、コロナ禍においてオフィスをクローズしたり縮小したりする企業が増えるなか、ハイブリッドワークプレイスを実践するべく、品川にあるオフィスにも引き続き積極的に投資を行い、改革を進めていく計画で、社員からのフィードバックをもとにオフィスの環境の改善にも取り組んでいる。「バーチャルツアーでも体験できますが、直接オフィスツアーも開催して行きますので、ぜひご覧いただければと思います」と吉田氏。

将来にマニュアルはない、
リーダーが果たすべき役割

そんな吉田氏が取り組んでいる大きなテーマは、日本の再生に貢献すること。「劇的な変化をもたらしてきた過去10年の経験も含め、大人として、社会人として、一人の親として、一人の人間として次世代により良い世の中を残していくべきだという思いを胸に、仕事に取り組んでいます。そのためには、DXによって日本の競争力を高めながら日本経済を再生させていかなければなりません。同時に、個人が尊重される、もっと幸せな世の中だと感じられるようにしていく必要がある。だからこそ、我々の失敗や経験を伝えていける “寄り添い”が重要になってくるのです」と吉田氏。

そんな向かうべき未来には、D&I(Diversity&Inclusion)やSustainability、SDGsといったものが重要になってくることは間違いない。個々人の効率化やウェルビーング、自由なアイデアが生まれてくるダイバシティ―な環境によって強いコミュニティになることを広く啓蒙していきながら、そのなかで個人の幸せのあるべき姿を見据えながら進めていきたいと力説する。「ある意味では、わたしたち一人一人が国を動かしていくんだという信念を根付かせてくことも重要です」と吉田氏は語る。

“お客様に寄り添う”ことを念頭に、変革を伴うDX支援を強力に推進するマイクロソフトだが、人は変化を嫌う生き物であり、なかなか変わりたがらない人も正直いるのが現実だろう。「世の中に1つだけ変わらないものがあるとすると、それは“物事は変わる”ということ。変化を嫌う人と変化を進めていく人それぞれのバランスを、その都度プライオリティを入れ替えながら進めていく必要があります。そのためのマニュアルがあれば安心する人もいますが、将来にマニュアルは存在しません。そのバランスを適切に見極めながら、先を見ていくことが我々リーダーに求められているのです」と最後に力強く語った。

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