広告企画 半導体ビジネス特集

JX金属

※JX金属株式会社調べ

半導体産業を支える世界シェアNo.1のハイテク素材微細化実現の鍵は“開発型”鉱山・製錬業の高純度化技術を
生かした先端素材で社会貢献

創業1905年。日産コンツェルンの源流企業でもあり、銅の採掘と製錬で歴史を作ってきたJX金属は、日進月歩の半導体産業を支える。省力化、微細化する半導体製造に不可欠なスパッタリングターゲットで世界シェア60%を誇り、ファーストサプライヤーとして世界の半導体メーカーのニーズに応える「素材の力」に迫った。

半導体の微細化に欠かせない
材料の高純度化

JX金属株式会社
取締役 常務執行役員 薄膜材料事業部長
中村 祐一郎 氏

かつて「産業の米」と言われた半導体。今や「生活の米」として私たちの社会インフラに欠かせない存在だ。循環型社会も脱炭素も、半導体なく実現できない。JX金属は「スパッタリングターゲット」と呼ばれるハイテク素材で半導体産業を支える。世界シェア60%を誇るファーストサプライヤーだ。

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)や5G、テレワークの普及などにより半導体需要が急増。同社も2017年以降生産能力を約2.2倍にまで増強するなど、事業計画を大きく上方修正した。

スパッタリングターゲットは半導体ウェハーにナノレベルの膜を形成するために必要な板状部品だ

半導体用のスパッタリングターゲットとは、極めて純度の高い金属やセラミックスでできた主に円板状の部品だ。半導体ウェハーに微細な配線パターンを形成するために使用する。スパッタリングターゲットに不活性ガス(アルゴンイオン)をぶつけることで飛び出す素材の粒子を半導体ウェハーの表面に堆積させることで、薄い均一な膜を形成する。

様々な素材のスパッタリングターゲットを使ってナノレベルの膜を重ね、後から不要な部分を除去することで、半導体ウェハーの表面に複雑な配線パターンを構築する。半導体の集積度は年々上がり、配線パターンの微細化も顕著だ。スパッタリングターゲットに不純物や異物が含まれると半導体の歩留まりに影響するため、求められる純度や均質性も上がっている。技術的なハードルは高まる一方だ。

スパッタリングの仕組みターゲットに不活性ガスを当て、飛び出した素材の粒子を半導体ウェハーの表面に堆積させ、ナノレベルの膜を形成する

半導体の微細化が
飛躍の転機に

競争の厳しい半導体業界において、JX金属はスパッタリングターゲットの製造で世界トップシェアを維持している。なぜだろうか。

「当社の最大の強みは、鉱物資源の採掘から、製錬、先端素材の製造まで一貫して手掛けていることです」と、JX金属 取締役 常務執行役員 薄膜材料事業部長の中村祐一郎氏は言う。自社技術だけで完結できる企業は、世界的にも極めて珍しい。こうした垂直統合の体制は、鉱物のサプライチェーンの適切な管理などのように、ESGの観点においても強みを発揮できると中村氏は考えている。

同社の創業は1905年。日立鉱山の開発と銅鉱石の採掘からスタートした。同鉱山は1981年までの76年間に約3000万トンの粗鉱を採掘し、約44万トンの銅を生産。日本を代表する銅鉱山の1つとなるとともに、日立製作所や日産自動車などからなる日産コンツェルンの源流として、本邦の経済発展の根幹を支えた。

採掘した銅鉱石を製錬し、薄い板などに加工する事業を長年進化させてきた。1980年代からはエレクトロニクス産業の進展が顕著となる中、長年の事業活動で培った技術を先端素材分野へ応用させる取り組みを本格的に始めた。

半導体の配線パターンはアルミニウムで作られてきた。しかし、2000年代に入り、銅への切り替えが進む。大きな理由は、半導体チップの発熱が激しくなったことだ。半導体の集積化が進むと、配線パターンも微細化する。細い配線に大きな電流を流すと発熱が大きくなる。やがてアルミでは耐えられないレベルに達し、熱に強く導電率も高い銅に白羽の矢が立つ。銅に関する高い技術とノウハウを持っていた同社にとって、大きな転機となった。

半導体業界では、それまで銅のスパッタリングターゲットは使われておらず、純度の高い銅素材を作るノウハウもなかった。だが、同社は6ナイン、すなわち99.9999%と極めて高い純度の銅を使ったオーディオ・ケーブルなどをすでに製造しており、半導体業界が求めていたものを開発、提供できる技術的な土台を有していた。

半導体の構造はより複雑かつ微細になり、銅の他にも、バリアー膜やゲート電極などに、タンタル、チタン、タングステン、コバルトなど、様々な種類の金属薄膜が求められるようになった。ここで、長年の事業活動を通して、様々な金属の高純度化技術を蓄積してきた同社の強みが生きてきた。例えば、銅配線の拡散バリアー膜として使われるタンタルについて、黎明れいめい期から高純度なスパッタリングターゲットの製品化に成功している。

純度99.9999%
高品質・安定性を両輪で実現

半導体の微細化とともに、JX金属が有する幅広い高純度金属材料がデファクトスタンダードとして業界に受け入れられたことで、同社は瞬く間にスパッタリングターゲットのファーストサプライヤーへと成長していった。

さらに、ウェハーの直径が300mmへと大型化するトレンドの中で、どの金属種においても品質と均一性を堅持できたことが今日の飛躍につながったと同社は分析する。

世界には同社以外にも優れた素材メーカーがある。純度が高く高品質な製品を提供するだけなら、ニーズを満たせる企業はいくつもあるだろう。

しかし、スパッタリングターゲットの生産では品質だけでなく、製品を大量かつ安定的に生産することが重要だ。スパッタリングターゲットは消耗品であり、半導体の製造工程で大量消費される。チャンピオンデータで優秀なものが作れたとしても、量産レベルで高品質を維持できなければ役立たない。

実は、このことが参入障壁となってきた。採掘から製錬、加工まで一貫して自社内で行い、1980年代からエレクトロニクス向け先端素材に応用してきた経験とノウハウが同社の競争力を支える。

例えば、同社は6ナインのスパッタリングターゲットを生産しているが、高純度という点で言えば、すでに9ナイン、すなわち99.9999999%の純度にも成功している。しかし、現状9ナインの純度は求められていない。では、なぜ同社がこの技術を開発しているのか。「9ナインを作る技術があって、初めて6ナインの品質が十分に安定してくるから」(中村氏)だ。

また前述のように、半導体チップはシリコンウェハーに均一な薄い膜を重ね、不要な部分を除去して電気回路を構築する。近年その細さはナノメーターに到達しており、銅に限らず様々な金属の重要度がこれまで以上に増している。ここでも、同社は強みを発揮する。

JX金属グループには東邦チタニウムやTANIOBISなどの企業群があり、「チタン、タンタルをはじめとする半導体の進化に欠かせない様々な金属を自社のサプライチェーン内で調達・精製でき、優位性を確立しています」(中村氏)。

それだけではない。50種以上の金属元素を取り扱うことができる同社だが、これは、一般的な業界他社が取り扱える種類の5~6倍に相当するという。これらの技術やノウハウを活用し、半導体メーカーが要求するタイミングで素早くニーズに応える体制を整えている。

JX金属が提供できるスパッタリングターゲットの素材の種類製品構成元素が30元素、社内精製可能元素が28元素。取り扱い元素は合計で58元素を数える

航空宇宙から半導体まで
シナジーを生む金属素材の技術

ある業界で常識的な技術でも、他業界へ応用すると価値が極めて高まる場合がある。金属素材の技術を軸に様々な業界と広く付き合う中、JX金属は技術の価値向上を何度も実現してきた。

例えば1985年ごろ、同社は航空宇宙用の技術を盛んに開発していた。ある時、チタン合金で作った人工衛星の燃料タンクに、ステンレス製の配管をつなぐための継ぎ手が必要になった。温度変化の激しい宇宙空間での高い接合信頼性は溶接法では実現が困難であり、タンクとステンレスを強く接合すべく、同社は母材を溶かさずに接合できる「固体間の拡散接合」技術を開発した。

時を経て、この技術がスパッタリングターゲットに応用されるとは、誰も予測していなかっただろう。従来品は、ターゲット素材と土台となるバッキングプレートをインジウムという金属でロウ付けしていた。しかし、インジウムの融点は156度と低く、パワーをかけるとすぐ溶けてターゲットとプレートが外れてしまう。

そこで同社は、かつて開発した「固体間の拡散接合」を応用し、接合強度を飛躍的に高めた。これが非常に喜ばれたという。その後、競合他社も追従したため、「固体間の拡散接合」は半導体業界でも常識的な技術になっていった。そこで同社はさらにその上を行くべく、ターゲットとプレートを同じ素材で一体成型し、接合そのものの必要をなくした。並行して、拡散接合後の変形を抑えるために、より高強度の材質をプレートに採用した製品の開発にも成功している。

また、特殊な磁気ヘッドを作るためのスパッタリングターゲットや、光ディスクの薄膜を形成するために開発したスパッタリングターゲットなどの技術が、最近になって磁気抵抗メモリー(MRAM)や相変化メモリー(PRAM)と呼ばれる不揮発性メモリーに応用されている。

「他分野で開発した技術を組み合わせ応用することで、お客様のニーズにタイムリーにお応えできたケースが少なくありません。広範な分野を経験してきた当社の強みの1つだと思います」(中村氏)

金属の専門家として半導体メーカーの相談を受ける際、多くの業界で様々な金属の使い方を見てきた経験が生きる。これも、同社がファーストサプライヤーであり続けられる理由であり、半導体メーカーが最初に相談したくなるのもうなずける。

開発と生産を拠点に集結
相乗効果で難題を解決

磯原工場は研究開発・製品製造が1カ所に統合された重要拠点だ

JX金属のスパッタリングターゲット事業を支えている技術の総本山が、磯原工場(茨城県北茨城市)だ。ここが「開発型工場」と呼ばれる理由は、研究開発と製品製造の拠点が1カ所に統合されているためだ。従業員が1000人ほどの事業所のうち、170人が研究開発部門に従事する。

開発と生産が同拠点にあることの相乗効果は大きい。

技術的な顧客対応は、基本的に開発部門が行う。開発者が顧客のニーズを直接聞き、すぐに生産技術者と協力しながら課題解決や試作品の検討に入る。構内には半導体メーカーが生産現場で使用するのと同じスパッタリング装置が常備されており、顧客の環境に近いプロセスで評価、分析できる。磯原工場は、顧客の課題をタイムリーに解決するための体制を整えている。「B to Bの専門性が高い事業には、このような体制が向いています」(中村氏)。

高度に専門的な製品のため、開発者が直接ヒアリングしないと顧客のニーズを明確につかめない。また、開発の早い段階から生産技術に精通したエンジニアと協業しなければ、開発から量産への移行に時間がかかる。開発と生産の拠点を統合することで、ヒアリングから製品提供までのリードタイムを可能な限り縮めている。

また、開発者自身が責任を持って各方面と協力しながら課題を解決し、その成果を顧客に提供することで、開発者と顧客の間に信頼関係が生まれる。何かあれば、顧客から開発者に直接連絡が入る強いつながりが自然に醸成されていく。

クリーンルームでの作業の様子(左)と、磯原工場で使用されている開発用スパッタリング装置(右)

コミュニケーション能力と
専門性を備えた人材を育成

磯原工場に開発エンジニアとして配属されると、早ければ1年ほどで客先へのプレゼンを任されるという。開発者としての専門技術とビジネスパーソンとしてのコミュニケーション能力、両方が鍛えられるユニークな環境で育つ。

国内外の大学や研究機関との交流も盛んだ。「昨今はコロナ禍で難しいですが、昔からエンジニアを海外の生産拠点やセールス拠点へ赴任させ、幅広い仕事を意識的に経験させてきました。また、海外の大学院や研究施設への留学制度もあります」(中村氏)。半導体業界の顧客は海外企業もかなり多い。海外の文化やビジネス慣習に精通することは大きなプラスになる。中村氏も31歳の時に開発者として米カーネギーメロン大学へ留学、修士号を取得した。

2020年7月には、東北大学青葉山新キャンパスに研究棟「マテリアル・イノベーション・センター」を寄贈。国内外の企業や研究機関が結集する材料科学分野のオープンイノベーション拠点として始動している。「研究開発だけでなく、ビジネス的な視点から大学発ベンチャーの可能性も模索していきます」(中村氏)。

磯原工場のもう1つの特徴は、半導体だけでなく、ハードディスク、ディスプレー、光ディスクなど、様々なアプリケーション向けスパッタリングターゲットを開発、生産していることだ。これにより、様々な技術の横展開が可能になる。

「当社のように、様々な分野向けに横断的な製造をしている企業はほとんどありません。非常にユニークかつ有利なポジションを確立できていると思います」(中村氏)

金属素材の専門家として
人々の生活と社会を支える

近年、急激に高まるニーズに半導体メーカーの生産が追い付かず、半導体チップの不足が深刻化している。これを受け、JX金属でも生産能力を幾度かにわたって増強する一方、生産効率の見直しや製品在庫の最適化などを進め、半導体メーカーの支援を強化する。

例えば、磯原工場で中間製品までを製造して出荷。最終製品への加工は、米国や台湾、韓国に設けた現地工場で実施する取り組みを進める。顧客企業になるべく近い場所に製品在庫を確保し、顧客が必要な時にタイムリーに提供する体制を築くためだ。

ファーストサプライヤーの地位を維持するために必要なことは、顧客の相談に早く応えることだと中村氏は言う。「顧客にとって、相談する価値のある相手でなければファーストサプライヤーは務まりません。お客様のニーズをいち早くつかみ、専門家として実現の最適解を素早く検討します」(中村氏)。コンサルタントとしての役割を求められることも少なくないという。

明治時代のハイテク産業であった銅鉱石の採掘と製錬。そこから出発したJX金属は、ハイテク素材メーカーとして時代の最先端を支える。デジタル化の重要基盤である半導体。微細化をはじめとした技術の進化を素材メーカーとして支えることは、人々の生活や社会全体を支えることにつながると同社は考えている。

JX金属株式会社

https://www.nmm.jx-group.co.jp/

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