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新市場戦略 データ分析組織を顧客企業と一緒に作る

関西電力グループのオプテージが提供する携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」は、各種市場調査で高い顧客満足度を獲得している。その原動力の1つが、謎のデータサイエンティストのプロ集団、NOB DATAをメンターとした実務に使えるデータ分析力の向上だ。

格安スマホ・格安SIMのサービスを提供している通信事業者(MVNO)として成長を続けるオプテージ。携帯電話サービス「mineo」の差別化戦略は顧客に寄り添い、求められるサービスを提供することだ。「Fun with Fans!」をスローガンに掲げ、「マイネ王」というコミュニティサイトの運営にも力を入れる。

顧客満足度の向上に当たって頼りになるのが約120万人の利用者データだが、課題もあった。オプテージ モバイル事業戦略部 天野陽介氏は「当初、私の部署には専任の分析者は不在で、そのため自分で勉強し表計算ソフトをベースに分析していましたが、自己流のために結果が正しいのかどうかもわからず、既存のデータ分析企業に依頼したレポートも実際の業務には活用できないものがほとんどでした」と話す。

データ分析力を強化して課題解決につなげたいと考えていた天野氏が技術顧問のマッチングサービスで紹介された企業がNOB DATAだった。天野氏は「アカデミック領域の知識だけではなく、企業実務での経験が豊富なデータサイエンティスト(以下、DS)集団で施策立案まで伴走してくれる企業なら成果が必ず出ると考えて契約を結びました」と語る。2020年5月のことだ。

プロと一緒にデータ分析を経験し
社内スタッフのスキルアップを実現

当初は月2回ほどのミーティングを通してビジネス課題の確認や、自己流で進めていたテレビCMの効果分析のレビューなどからはじめ、2020年夏からは顧客の継続率や契約期間の予測など本格的なデータ分析に着手した。

「テレビCMの効果分析ではNOB DATAに実データを渡して、データ分析と予算の最適化を支援してもらいました。次の契約期間からは分析技術のスキルトランスファーのために私も手を動かし、一緒にデータ分析に取り組みました。EDA(探索的データ分析)の中で様々な気付きを得られる点もデータ分析の魅力です」と天野氏。

スキルトランスファーは順調に進み、現在ではオプテージでmineoのマーケティングを担当するスタッフ8名が汎用言語である「Python」を駆使してデータ分析ができるようになり、目標を達成するために必要な施策をデータで示せるようになった。実際、端末の追加購入により3年後の継続率が10%~20%改善されるという分析結果を基に、端末価格割引キャンペーンを実施し、既存顧客の端末購入率が3倍、新規顧客では2倍になるなど、データドリブンな施策立案を通じて、顧客満足度向上を実現している。

関西電力グループのオプテージが提供する全国で使える格安スマホサービス「mineo」

データ活用の裾野を広げるために
伴走型のサービス提供にこだわるNOB DATA

データ分析の支援にあたっているNOB DATA 代表取締役 大城信晃氏は「一般的に多くの分野では実力を磨くためには師となるメンターが必要ですが、データサイエンスの分野ではまだ人材が足りていません。当社の強みはメンターとなれるDSが伴走することで、データ分析組織を顧客と一緒に作っていくところです。実務で役に立つDS人材を顧客企業内に育成することを目指しています」と大城氏は語る。

NOB DATAが単純なデータ分析業務の受託ではなく、人材育成を含んだ現場との伴走を得意とする背景には、ヤフーなどでデータ分析による課題解決に取り組んできた大城氏の熱い想いがある。「データサイエンティストは21世紀で最もセクシーな職業」であり続けるべきと考え、データサイエンティスト協会の九州支部も立ち上げている。

また、NOB DATAのプロジェクトメンバーの構成も特徴的だ。実務で数多くの案件を手がけた経験者やデータ分析専門書の著者など、DS黎明期から実務経験を積み活躍しているハイスペックなプロのデータサイエンティストによって構成される。リモートワークを中心としているため、大手ベンダーと同スペックの人員の場合でも、半分以下のコストで全国各地の幅広いニーズに対応することも魅力だ。

大城氏は「日本でデータサイエンティストが登場して約10年。全国各地の企業に次の10年を牽引するリーダーとなる分析者を育成することが目標です」と語る。

NOB DATAが伴走することで分析プロジェクトの短期自走を実現

現場からデータドリブンを実現する
新たな分析組織の形を目指して

オプテージにとって現場の担当者が自ら手を挙げ、ボトムアップ型でデータ分析できる体制が整ってきたメリットは大きい。天野氏は「施策に繋がるデータ分析が迅速に行えて、予測される効果を数字で経営陣に示せることが重要」と語る。熱意ある現場担当者達が推進するデータサイエンス。これはDXによる企業改革が求められる令和時代の新たな突破口の1つかもしれない。

The voice of the person in charge

株式会社オプテージ
モバイル事業戦略部

天野 陽介 氏

実務に使えることが
データ分析のゴール

「アカデミック領域の知識だけではなく、企業実務での経験が豊富なデータサイエンティスト集団で施策立案まで伴走してくれる企業なら成果が必ず出ると考えて契約を結びました」(天野氏)

「日本でデータサイエンティストが登場して約10年。全国各地の企業に次の10年を牽引するリーダーとなる分析者を育成することが目標です」(大城氏)

NOB DATA株式会社
代表取締役

大城 信晃 氏

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「施策効果3倍」を実現したデータドリブンなチームを
1年で立ち上げた秘訣とは

オプテージ 天野陽介氏とNOB DATA 大城信晃氏が登壇。
記事では触れることのできなかったプロジェクトの詳細を語ります。

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