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マンション建替え事業で合意形成を支援するチームメンバー。100戸規模のマンションでは5人程度で分担して支援にあたるという。左端が森田泰明氏、右端が金泉好泰氏

マンション建替えを検討するとき、建替えを成功に導くには権利者の合意形成力は不可欠。事業協力者に求めたいのは、合意形成支援のノウハウだ。日鉄興和不動産では豊富な実績を基に、そのノウハウを自社で確立してきた。

マンション建替えで合意形成をどう支援していくか。日鉄興和不動産には、一つのセオリーがある。それは、原則として自社メンバーで支援業務を受け持つことだ。建替え事業に協力するデベロッパー業界では、自社対応は必ずしも当たり前ではない。

効率面を考えれば、社外からスタッフを動員し、人海戦術に頼るのが、得策のように思える。自社対応にこだわるのは、なぜか。マンション再生部建替推進第一グループ統括マネージャーの森田泰明氏は、理由をこう話す。

「建替え事業の主役は権利者ですので基本スタンスは権利者に寄り添うことです。権利者の要望や意見をしっかり聞き取り、それを建替え計画に反映させるように努めています。このスタンスを徹底するには、原則社内スタッフで対応するのが一番です」

社内スタッフが対応すれば
“伝言ゲーム”を防ぎやすい

スタッフが権利者に接する場面には、権利者全員を対象とする説明会と権利者一人ひとりを対象とする個別面談がある。説明会の席上、前に並ぶスタッフが、個別面談でも顔を見せてくれれば、権利者にとって安心感が増す。

「それに、権利者の意向をくみ取り、それを建替え計画に反映させるときは、社内スタッフが対応すれば、伝言ゲームのように誤って伝わるのを防ぎやすいものです」(森田氏)

例えば、ある権利者の意向を個別面談で確認しておきながら、説明会の席上で、それが建替え計画に反映されていないことが分かれば、その権利者は「自分の意見がないがしろにされた」と受け止めかねない。これでは、合意形成に支障が生じてしまう。

日鉄興和不動産ではそういう事態に陥らないように、社内スタッフが説明会にも個別面談にも対応するほか、社内で行き違いが生じないように、個別面談時のやり取りなどを記録する「面談シート」には、「書き方の詳細ルールを設け、その徹底を図り、抜けや漏れの発生を防いでいます」(森田氏)。

社内スタッフの仕事は一言で言えば、権利者に寄り添うこと。権利者から相談を受ければ、建替え事業に直接関係ないことでも、奔走する。例えば生前贈与の手続きをサポートしたり、別に所有する不動産の売却で仲介業務にあたったりすることもあるという。

権利者が高齢単身女性の場合は、女性スタッフの存在が大きな役割を果たす。その役割を、マンション再生部建替推進第二グループグループリーダーの金泉好泰氏はこう説明する。

検討組織との情報共有を図り
権利者を置き去りにしない

「権利者にとっては、何よりまず話しやすい。また仮住まいとの間の引っ越しでは、限られた時間で家財道具を荷造りする必要から、作業をお手伝いすることがあります。そういうとき女性スタッフなら、ご自宅に安心感を持って招き入れてもらえます」

権利者に寄り添う姿勢が評価された証しとも言えるのだろう。日鉄興和不動産では2021年10月現在、新築案件に比べ労力のかかる建替え案件を事業協力者として24件支援してきた業界トップクラスである。(本文続く↓)

マンション建替え実績  (2021年10月末現在、建替え決議成立ベース)

東京都渋谷区内で2012年12月に完成した「テラス渋谷美竹」。1959年に建設された40戸の分譲マンションを建て替えた

東京都渋谷区内で2013年7月に完成した「ザ・神宮前レジデンス」。1957年に建設された合計112戸の住宅団地を建て替えた

建替えを検討しようとしているマンション側と接点を持つきっかけは、建替え権利者からの紹介も少なくないという。森田氏は「事業協力者として当社が参画してきた建替え案件の権利者からの紹介を受け、当社にお声がけいただくことも少なくない」と、権利者側からの信頼の厚さを感じさせる。

自社で確立してきた合意形成支援の独自ノウハウは、こうした建替え実績の賜物たまものとも言える。「中には過去に建替えを経験された権利者様がいたりするのですが、権利者のことをよく考えてくれているよねとか、説明資料が分かりやすいよねと言っていただけますし、何より安心だよとも言われます」(森田氏)。

具体例の一つが、検討組織のメンバーが審議内容を権利者全員に伝えることの支援である。ともすると、審議内容を権利者全員に十分に伝え切れず、権利者が置き去りになってしまう。その状況を放置してしまうと、合意形成に支障を来しかねない。日鉄興和不動産では、権利者全員の理解深耕を支援する。「これまでの多くの経験から、権利者に伝わりにくい内容が大体、分かるんです。説明会だけでは理解が深まりませんので、個別面談を有効に活用しながら不明点や疑問点の解消を図っていきます」(森田氏)。

権利者の疑問に丁寧に向き合うことも、事業協力者として心掛けている点の一つだ。「建替え事業は専門性が高い。難しい内容を分かりやすく理解してもらえるように的確に答えなくてはなりません。ここに対応できるデベロッパーは案外少ないように思います」(森田氏)。丁寧な姿勢は、信頼の厚さにもつながる。

合意形成を支援する独自ノウハウを基に建替え実績を重ねてきた日鉄興和不動産。建替え事業には今後も積極的に参画していく方針だ。森田氏は「老朽化マンションの再生は国の大きな課題だと捉えています。今後も、パイオニアとしてマンション建替えを支援し、課題の解決に役立っていきたいと思います」と、意欲的だ。

Content

旭化成不動産レジデンス

建替え検討は平時から、余裕を持って進める再生後の姿を示し、合意形成を支援
社員自ら権利者に向き合い、意向確認

タカラレーベン

活性化を後押しし、地域社会に恩返し建替えへの参画で社会課題に挑む
合意形成と事業化に独自性を発揮

日鉄興和不動産

成功に導くには、合意形成こそ欠かせない個別面談にも社内スタッフで対応し
権利者一人ひとりの意向に向き合う

総論

取り組み姿勢で事業協力者を選び
当事者意識を忘れずに合意形成へ