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パナソニックが考える新しいくらしの価値 「家電×サービス」で提案する一人ひとりに“ちょうどいい”くらしVol.3「空気環境」

「一人ひとりに“ちょうどいい”くらし」の実現に向けて、パナソニックが提案する「家電×サービス」の新しいスタイルに迫る3回連載。最終回は「空気環境」についての新たなスタイル提案を、エアコンを中心に紹介する。

在宅時間の増加で見直される
「一人ひとりに快適・清潔なくらし」の価値

 「一人ひとりに快適・清潔なくらし」を叶える空気環境の実現を提案してきたパナソニック。同社の調べによれば、エアコン購入時のポイントとして、室内の“空気の質”を重視する消費者が増えているという。その新たなニーズに応えるべく、同社では、従来の「冷やす」「暖める」に加えて、空気を「整える」機能を搭載した「エオリアLXシリーズ」を2021年11月に発売した。また、22年1月下旬発売予定のエアコン「エオリアスリープPXシリーズ」では、寝室用モデルとして良質な睡眠をサポートする空気環境を提案するという。それぞれの開発背景や特長について、日経BP 総合研究所の渡辺和博が話を聞いた。

エアコンは「冷やす」「暖める」だけでない
空気を「整える」という新提案

渡辺  昨今、生活スタイルが変化する中で、エアコンに対する新たなニーズが生まれているのではないでしょうか?

小出氏
パナソニック
くらし事業本部 空質空調社
空調冷熱ソリューションズ事業部
国内空調マーケティングセンター
エアコンマーケティング部 家電販売推進課
小出 昇之介

小出氏 弊社では、エアコン購入時に重視するポイントの調査を継続的に実施しています。2020年は、清潔・省エネ・快適性という従来からのニーズが主でしたが、21年には室内の“空気の質”を重要と考える人が過半数を超え、新たなニーズとして“空気の質”への関心が高まっています。今回の「エオリアLXシリーズ」は、空気を「冷やす」「暖める」だけでなく、空気を「整える」というテーマを掲げて、換気・加湿・新除湿・有害物質抑制※1という機能を搭載しました。

渡辺  空気清浄機や加湿機といった別の専用機器もある中で、エアコンが全部まとめて面倒を見るというのは、なかなか思い切った決断という気がします。

小出氏 はい。お客さまのニーズに応えていくために、技術的にも新たな機能を数多く搭載しました。その一つが室外機上部への換気・除加湿ユニットの搭載です。ポイントはこのユニットのコアとなる収着素材に吸湿・放湿力に優れる「高分子収着材」を採用したことです。例えば、加湿の際は、収着ファンで取り込んだ外気の水分を高分子収着材で吸湿、さらにヒーターで熱して揮発させた水分を含んだ空気を給気ファンで室内に送るという機構になっています。

渡邉氏
日経BP 総合研究所 上席研究員
渡辺和博
【PROFILE】筑波大学大学院理工学研究科修士課程卒業後、日本経済新聞社入社。『日経ビジネス』『日経トレンディ』『日経パソコン』など、経営、技術、コンシューマ分野の専門誌の編集部を経て現職。

渡辺  要するに外気中の水分を集めて取り込んで、それを室内に送り込むわけですね。

小出氏 そうです。エアコンに対する不満点の調査でも「暖房時の乾燥」は大きなポイントになっていました。そこで、給水の手間もなく、エアコンで暖房しながら乾燥対策ができる、この「給水レス加湿」を搭載しました。また、これまでの除湿は梅雨時期など室内外の温度差が少ないときは、どうしても冷やしすぎになっていたのですが、高分子収着材で外気の水分を吸湿して乾いた空気を部屋に送ることで、温度を下げずに除湿する新たな仕組みを作りました。さらに、換気は給気換気の機能を搭載し、ボタン一つで部屋の換気が行えます。

渡辺  エアコンの室外機は基本的に熱交換器という機能でしたが、顧客ニーズに正面から応えるためにはまったく違う機構が必要だったわけですね。開発は大変だったのではないですか?

小出氏 ユニットの構想には3年ほどかかりましたが、今回ようやく発売することができました。

  • エアコン エオリアLXシリーズ

    エアコン エオリアLXシリーズ
    温度/湿度/換気/有害物質抑制
    換気・加湿・新除湿の3つの機能を持った室外機と、有害物質の抑制スピードをアップ※2した新「ナノイーX」を搭載。また、IoT技術を活用した「シーン推定自動運転機能」により、帰宅前や就寝時に合わせた快適な自動制御も実現する。
  • 室外機の「換気・除加湿」ユニットに
    「高分子収着材」を搭載

    高分子収着材を採用した新室外ユニット
    一般的な吸湿素材である「ゼオライト」は、小さな穴に水分をためて吸湿する。そのため穴が埋まれば吸湿できなくなる一方、今回「換気・除加湿」ユニットに採用された「高分子収着材」は、水分を吸うと素材自体が膨らむため、たっぷり吸湿することができる。
※1 約6畳試験空間での抑制効果。カビ菌:約2時間後。花粉:約3時間後。ニオイ:約15分後。PM2.5:約12時間後。アレル物質:約6時間後。数値は実際の使用空間での試験結果ではありません。
※2 約6畳試験空間での抑制効果の比較です。 〈カビ菌〉「ナノイーX 9.6兆」:約6時間後、「ナノイーX 48兆」:約2時間後。〈花粉〉「ナノイーX 9.6兆」:約12時間後、「ナノイーX 48兆」:約3時間後。〈ニオイ〉「ナノイーX 9.6兆」:約60分後、「ナノイーX 48兆」:約15分後。〈アレル物質〉「ナノイーX 9.6兆」:約12時間後、「ナノイーX 48兆」:約6時間後の抑制効果です。数値は実際の使用空間での試験結果ではありません。脱臭効果は、周囲環境(温度・湿度)、運転時間、臭気、繊維の種類によって異なります。
スマホ連携「エオリア アプリ」が
快適で便利なくらしを実現

「シーン推定自動運転機能」を
新搭載

エオリア アプリ
スマートフォンのGPSや、エアコン本体の照度センサーのデータを活用し、帰宅前や就寝時のシーンに合わせた快適な自動制御を実現。帰宅時に部屋を快適な温度に設定する「快適帰宅自動オン」、寝室入室時の温度を設定する「おやすみ前通知」、睡眠に適した温度で自動運転する「おやすみモード」を搭載する。

渡辺  エオリアは業界に先駆けてアプリによる遠隔操作など利便性を向上してきたわけですが、今回はまた新しい機能が搭載されたと聞いています。

小出氏 エオリア アプリに「シーン推定自動運転機能」を搭載しました。これは帰宅時・就寝前・就寝中という3つのシーンに対しての自動運転機能です。1つ目の「快適帰宅自動オン」は、スマートフォンのGPSで事前に設定した帰宅範囲に入ったことを検知すると自動でエアコンを運転し、快適なお部屋に帰宅できるという機能です。2つ目の「おやすみ前通知」は、エアコンの照度センサーが毎日の寝室の照明の点灯から「寝室への入室時間」を学習し、寝る時間の少し前に事前にエアコンを運転するかを通知してくれる機能です。そして最後の「おやすみモード」は、消灯するタイミングをAIが学習し、自動で睡眠に適した温度に調整してくれる機能になります。

渡辺  エアコンの照度センサーで人のくらしぶりを推定するというのは、一歩踏み込んだ進化という感じがしますね。

小出氏 エオリア アプリを活用してシーンに合わせた自動制御を実現することで、帰宅時や就寝時を快適に過ごしたいというお客さまのニーズに応えていくのが狙いです。

寝室を快適にする「エオリアスリープ」が
良質な睡眠環境づくりをサポート

渡辺  エアコンがどんどん進化していますが、次は寝室用エアコン「エオリアスリープPXシリーズ」について、手塚さんにお話をうかがいます。「寝室用」と言い切ってしまってよろしいのですか?

手塚氏
パナソニック
くらし事業本部 空質空調社
空調冷熱ソリューションズ事業部
国内空調マーケティングセンター
エアコンマーケティング部 家電販売推進課
主務
手塚 萌子

手塚氏 はい、寝室用と言ってしまいます。弊社の調査では、夏の夜に冷房をつけて寝る人は7割以上もいるということが分かりました。一方で、弊社のエアコン操作アプリ「エオリア アプリ」のログデータを調べると、夜間に運転している寝室のエアコンのうち約3割が夜間に設定変更されていました。つまり、本来寝ているべき時間に暑いか寒いかして起きてしまって、エアコンを操作されているわけです。やはり睡眠には睡眠のためのエアコンが必要だという発想の下、この「エオリアスリープPXシリーズ」を開発することになりました。

渡辺  睡眠に特化するという考え方がすごいですね。具体的にはどのような特長が?

手塚氏 睡眠に適した温度帯というのは実は狭く、24.5℃~27.5℃の3℃幅しかありません。この温度帯を狙って制御するには寝ている場所の正確な温度を知る必要がありましたが、従来のエアコン本体のセンサーでは各家庭の寝室の家具や外気の影響による“温度のブレ”を検知することまでは困難でした。そこで寝ている場所の正確な温度を知るために、今までのエアコン本体のセンサーの他に、枕元にも寝ている人の感じる温度を見守るためのセンサーを設置することにしました。この高精度のベッドサイドセンサーとエアコンが連動することで快眠環境運転を実現しています。体の中心の温度のことを深部体温といって、この深部体温が眠り始めから起床に向かってゆるやかなV字のカーブを描くとよい眠りを得られると言われているのですが、快眠環境運転はこのV字カーブを実現することを目指して、体に心地よい温度に寝室の環境を自動制御してくれます。他にも「Eolia sleepアプリ」との連動により、寝ている間の寝返りや睡眠時間などの情報を総合してスコアを判定してくれたり、眠りの深さを見える化する機能もあります。

エアコン エオリアスリープPXシリーズ

エアコン エオリアスリープ
「良質な睡眠環境づくり」に特化した、寝室専用エアコン。枕元に設置する高精度ベッドサイドセンサーと独自のアルゴリズムにより、一人ひとりの睡眠環境に適した室温をリアルタイムで実現する。アプリによる睡眠状態の可視化や、体感のフィードバックも可能。

渡辺  日々のパフォーマンスという面からも、眠りの質はとても重要です。私も毎日アプリで睡眠スコアをチェックしていますが、習慣化するにはデータによる見える化がとても大事だと思います。

手塚氏 起床時にその日の温度管理についてフィードバックすると、その人に合った温度制御にアップデートしてくれたり、エアコン自身が賢く進化していく点もポイントです。

渡辺  使う人に寄り添うエアコンということですね。寝室用というふうにシーンやターゲットを狭めるというのは、メーカーとして勇気がいることですが、そこにフォーカスしたというのはとても画期的なことだと思います。

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進化した新「ナノイーX」で
より居心地のいい空間を提供