日経ビジネス電子版スペシャル

コロナ禍で求められる、成長戦略としてのダイバーシティ 女性役員の起用を、「本当に」成功させるために

パーソルキャリア株式会社
i-common リーダー

安保 優

2015年、インテリジェンス(現 パーソルキャリア)入社。2019年、「i-common」が提供する「独立役員紹介サービス」の立ち上げに従事。幅広い業界の企業の経営課題に寄り添いながら、独立役員候補のマッチングを通じ企業価値向上を支援する。

富士古河E&C株式会社
代表取締役社長

日下 高

1982年、富士電機製造(現 富士電機)入社。2010年、富士電機ホールディングス(現 富士電機) 取締役エグゼクティブオフィサー、取締役執行役員産業システム事業本部長などを歴任。2018年より現職。

富士古河E&C株式会社
社外取締役

伊藤 久美

ソニー、日本IBMなど数々の内資・外資系企業でマーケティングやコンサルティング業務に従事。4U Lifecare 代表取締役社長CEO、True Data 社外取締役、立命館大学客員教授、筑波大学非常勤講師。2020年6月より富士古河E&C社外取締役に就任。

来たる3月8日は、女性の権利・平等を呼びかける「国際女性デー」だ。国内でもジェンダーの問題について議論が高まっているが、女性の活躍を推進したいものの悩みを抱える企業は多い。今回、女性の社外取締役を迎えて組織改革を図る富士古河E&C株式会社の代表取締役社長 日下 高氏、同社社外取締役 伊藤 久美氏、両者をつないだパーソルキャリア株式会社のi-commonが提供する「独立役員紹介サービス」の担当者 安保 優氏が鼎談を実施。女性役員の起用に必要な考え方について語る。

建設現場にも女性が増え、
意識は大きく変わってきた。

富士古河E&C株式会社 代表取締役社長 日下 高 氏

富士古河E&C株式会社 代表取締役社長

日下 高

安保:
「女性の活躍推進」は、かつてより多くの組織で課題とされてきましたが、今年はとくに国内全体で議論が高まっているように感じます。
日下:
我々のいる建設業界でも変化を感じます。弊社は富士電機と古河電気工業を親に持つ総合設備企業として、空調・電気工事事業を展開していますが、近年はエンジニアとして現場に入る女性も増え、お客様にも女性が増えてきました。ただ、「女性」と括ること自体が、今議論されているジェンダーの課題から脱することができていないのでは、とも感じます。実態として、この業界はまだまだ男性社会ですので、多様な意見が反映されることで現場の意識が変わってくるというのは事実です。そういう意味では、弊社も2016年から意識的に女性の活躍を推進する取り組みを進めてきました。
伊藤:
私自身、企業に勤め、家庭に入り、契約社員という立場を経験するなど、日本女性のよくあるライフイベントを経てきた一人です。その中で、女性の活躍が難しい場面をよく見てきました。最近では責任あるポジションを担う女性は増えていますし、近頃話題になった政治家の発言に、まだそういう方もいらっしゃるのかと驚くくらい、現場の意識は変わってきたと思います。

全く別の視点を求めて。
その結果としての「女性」。

富士古河E&C株式会社 社外取締役 伊藤 久美 氏

富士古河E&C株式会社 社外取締役

伊藤 久美

安保:
2018年のコーポレートガバナンス・コードの改訂は、「女性の活躍推進」を大きく動かす一つの起点となったように思います。とくに、女性役員を増やすことを検討される企業様が増えました。昨年6月、富士古河E&C様は初の女性社外取締役として伊藤様をお迎えになりましたが、もともと女性役員を起用したいというご依頼ではありませんでしたね。
日下:
はい、社外取締役の起用に向けて動き出したのは、弊社もコーポレートガバナンス・コードの改訂がきっかけです。株式会社として経営の透明性を確保し、株主へ説明責任を果たすためにも、グループ会社や自社出身者などの人脈に頼らない、全く違う視点を取り入れることが必要でした。伊藤様はまず経営的視点をお持ちで、それも建設業界とは違う角度から率直な意見をくださる方。そして何より、一緒になって会社のことを考えてくださる方だと確信し、お迎えすることを決めました。女性を求めていたのではなく、結果として女性だったということです。
伊藤:
私が女性であることはもちろん事実ですが、日下社長がおっしゃったように、経営という軸、外資系企業の経験、ITの知見など、私自身も経歴やスキルがお役に立てると思えたことが、今回のご縁につながったと感じています。
安保:
社外取締役を迎えたいとご相談を受けた際、富士古河E&C様の中でまだ具体的なイメージが固まっていない段階でした。そこでまず人物ありきではなく、社内で抱えている課題についてじっくりとヒアリングさせていただき、浮かび上がってきた「IT」「人材」「広報PR」というキーワードから、豊富な経験を持つ伊藤様をご紹介させていただきました。
伊藤:
安保様からお話をいただいた際、失礼ながら社名を存じ上げないくらい、私はこの業界に疎かったんです。自分でいいのだろうかという思いもありましたが、ご担当者や日下社長ととてもお話が弾むので、バックグラウンドがあまりに違うからこそ、逆に素朴な質問をすることでお役に立てるのではないかと感じたことも後押しになりました。全くの異分野だったからこそ、私自身も世界を大きく広げる機会をいただいたと感じています。

建設業の当たり前と、
ハッとさせられた「ひとこと」。

対談のイメージ画像

日下:
現在、伊藤様には毎月の取締役会にご参加いただき、その他ICT、人材、広報関連、新たなビジネスモデルの開発やスタートアップ企業への投資まで、プロジェクトで悩んだ際にご相談させていただいています。伊藤様の率直なご意見には多くの気づきがあり、会社の成長にうまく活用させていただきたいと考えています。また子会社ならではの悩みなのですが、弊社は対外向けのアピ―ルが苦手な体質がありました。そういった面でも、自ら考えて動くためのアドバイスをいただき、現場の意識も変わってきたと思います。
伊藤:
ありがとうございます。私が参画させていただいて感じるのは、社員の方々がとても意欲的だということ。質問に対して迅速に回答をくださったり、「もう少しアドバイスいただけませんか」とご相談くださったり。就任してまだ1年たらずですが、お送りいただいた資料はファイルで7、8冊分にもなりました。
日下:
現場ではそこまで密にやり取りさせていただいていたんですね。伊藤様をお迎えしてからの変化として印象に残っているのは、事業部のトップを集めた全体会議で、「メンバーが男性ばかりですね」とご指摘いただいたこと。この業界では珍しいことではなく、誰も疑問に思うことがなかったのですが、言われてみれば確かにそうで、他の業界から見たら変ですよね。そこで女性活躍推進に関する中期目標とロードマップを決め、すぐその実現に向けて具体的に動きだそうということになりました。

かつてないスピードで変化する社会。
多様性は武器になる。

パーソルキャリア株式会社 i-common リーダー 安保 優 氏

パーソルキャリア株式会社 i-common リーダー

安保 優

安保:
富士古河E&C様が伊藤様をお迎えしたように、女性役員はもちろんですが組織に多様な人材を起用しようという動きが、あらゆる業界で高まっているように感じます。
日下:
弊社もこれまで親会社との連携による大規模工事の対応力・提案力を強みに、堅調な経営を続けてきました。そのような中で、新型コロナウイルスの感染拡大によりマーケットの状況が大きく変化しました。重要なのは、ここから変化のスピードが格段に速まるだろうということです。デジタル、SDGs、ダイバーシティ…あらゆる変化が一気にやってくる。それにしっかりと乗ることこそ、成長戦略そのものになるのだと思います。会社の舵取りもこれまでとは全く違うスピード感が必要です。そのためには狭い視野に留まるのではなく、異なる視点を積極的に取り入れることが欠かせません。
伊藤:
ダイバーシティという言葉も今や当たり前になりましたが、私がかつて勤務していた外資系企業では、当時から福利厚生やCSRとしてではなく、経営戦略として位置づけられていたのが新鮮でした。ジェンダー、ハンディキャップ、国籍、人種など多様性を生かすことがイノベーションを起こし、企業の持続的な成長につながると確信していました。今議論が高まっている「女性の活躍推進」は、まさにその第一歩だと思います。まずそこを生かせなければ、本当の意味での多様性には対応できないでしょうから。
安保:
そうですね。多様性とは、今や対外的なアピールやコーポレートガバナンス・コードの順守という以上に、企業の成長に直結する戦略と言っても過言ではありません。大きな変革が求められる時代だからこそ、それぞれの企業様が抱える経営課題と照らし合わせながら取り組んでいくべきテーマなのだろうと思います。 本日は誠にありがとうございました。

対談のイメージ画像

伊藤氏の就任から1年弱。今後は採用における「発信力」をさらに高める取り組みに向け、それぞれの立場から連携を深めていく。

「i-common」が提供する
「独立役員紹介サービス」とは

社外取締役、社外監査役など、独立役員をお探しの企業様向けに、
人脈経由では実現できない多様なキャリアの候補者をご紹介するサービスです。

3つの特徴

1
フィジビリティ活動による
リスク軽減

正式就任前のフィジビリティ活動(就任前試用)を通じ、候補者のスキルや企業との相性の確認を行うことで、ミスマッチのリスクを軽減させることが可能です。

フィジビリティ活動によるリスク軽減
2
独自のデータベースにより
独立性を担保

約16,170名(2020年12月時点)の独立役員候補者用の独自データベースにより、最適な人材を提案します。独立役員経験、出身業界、年齢、上場企業役員経験者や女性幹部をはじめとする属性など、幅広い選択肢の提供が可能です。

独自のデータベースにより独立性を担保
3
企業価値向上を支援

「独立役員」候補者とのカウンセリングを通じて、i-common独自の評価基準をもとに実績やスキル、人柄を可視化します。これにより、企業にマッチした候補者を選定することができ、就任後も活躍できるような人材を紹介することができます。

企業価値向上を支援

TEL. 0120-988-232
(受付時間 平日 9:00~18:00 まで)