今、建設・土木業界において注目を集める「BIM/CIM(※1)」。3次元データと様々なデータを連携させ活用することで、建設生産・管理システムの効率化・高度化を図るものとして、国を挙げて導入を推進している。このような流れを受け、近年BIM/CIM人材の派遣に力を入れているのがパーソルテンプスタッフ株式会社だ。現在の市場を取り巻く現状と今後の事業の展望について担当者に話を聞いた。

※1. BIM/CIM:Building/Construction Information Modeling, Managementの略。建設・土木業界において、計画・調査・設計段階から3次元モデル(Modeling)を導入し、その後の施工・維持管理の各段階においてもそれらの3次元モデルと連携させ、建設事業(Construction)で発生する情報(Information)をライフサイクル全体で共有・活用(Management)し、建設生産性を向上させようという考え方。

急がれるBIM/CIMの導入 
一方で人材不足が課題に

パーソルテンプスタッフ株式会社
広域第三事業本部CAD・Creative事業部
部長
岸上 貴芳

― BIM/CIMを取り巻く現状とは。

岸上 2021年4月、国土交通省は2023年までに小規模工事を除いたすべての公共事業にBIM/CIMを原則適用すると発表しました。これは、当初2025年としていた方針を実質2年前倒ししたものです。BIM/CIMの導入で調査・設計から施工・維持管理までを一気通貫する体制が整うのは、建設・土木工事において大きなメリットがあります。一方、課題となっているのが圧倒的な人材不足です。例えばBIMオペレーター求人の多くは、CADオペレーターの実務経験を必須条件としていますが、実務に即した研修をする機関はまだ少なく、人材が育っていません。

近藤 当社では昨年、前年比でBIM関連の受注が230%、CIM関連は500%となりましたが、これに対して登録スタッフの人数は横ばいで、CADオペレーターは12000名おりますがBIM/CIMの人材不足が否めません。今後はこうした需要と供給のミスマッチを解消することが、業界における大きな課題となっています。

BIM/CIM人材の確保へ 
期待が集まる「育成型派遣」

パーソルテンプスタッフ株式会社
広域第三事業本部CAD・Creative事業部
CAD・Creative人事課 マネージャー
近藤 広明

― 企業が必要なBIM/CIM人材を獲得するには。

岸上 BIM/CIM人材の採用は容易ではありません。ソフトの操作だけできればいいというものではなく、プロジェクトの全体像を捉える基本的な考え方を理解していないと実務を行うことは難しいからです。そのため経験と最適なスキルを持つ人材を活用できる派遣サービスは、安定的なプロジェクトの受注・推進を可能にする有効な手段だと考えています。パーソルテンプスタッフでは、独自の研修を受けたスキルの高い人材を派遣する「育成型派遣」を行っており、即戦力となる人材を派遣することを強みとしています。

― 具体的にどのような研修を行っているのか。

近藤 特徴は、ソフトの基本操作だけでなく、より実践的な内容が学べる研修であることです。講師自身が土木建築におけるソフトの実務経験を持っているため、受講者の経験やプロジェクトごとに求められる業務内容によって、講義内容を柔軟に変えることが可能。現場ですぐに役立つ知識・技術が身に付きます。最近は建築設備専用CADのニーズの高まりを受け「Rebro(レブロ)※2」研修の定期開催をスタートしました。人材派遣会社の中でも「Rebro」研修を定期で開催しているのは現在当社のみとなっています。また、設計者・施工者をはじめとした土木技術者が集うCivilユーザ会(※3)などの外部組織と提携し、研修を行っています。それ以外にも弊社独自にオンライン研修やウェビナー、動画コンテンツなどを拡充し、時間や場所にとらわれない学びの場を幅広く提供しています。

  • ※2. Rebro:BIMに対応した完全3次元の建築設備専用CADソフト
  • ※3. 一般社団法人 Civilユーザ会:2007年、土木分野への3次元モデルの導入推進を目的に、Civil 3D User Groupを発足。その後、2012年に設計者・施工者をはじめとした土木技術者の集まりとしてCivilユーザグループへと発展。CIM施策の円滑な導入に寄与することを目的としている。

人材育成への取り組み 
活躍人材を育てるカギは、
「継続して学べる環境」

パーソルテンプスタッフ株式会社
広域第三事業本部CAD・Creative事業部
CAD・Creative人事課
宮西 友香
BIM講師(Autodesk認定インストラクター)

需要が高まるBIM/CIM人材派遣市場において、とくに教育に力を入れているパーソルテンプスタッフ。独自の研修体制について講師に話を聞いた。

― BIM/CIM研修の特徴とは。

富田 BIMは5日間、CIMは2日間かけて集中的に学ぶスタイルです。受講生の約半数が就業中の方なので、研修は業務終了後の時間帯や休日などに実施しています。

宮西 日数は短いように思えますが、学習量はかなりのボリュームです。BIM/CIMの難しさは、ソフトの操作ができるだけでは実務に対応できないことにあります。研修では、我々が現場で経験したことを余すところなく伝え、実務で役立つ指導を心がけています。

― 派遣先企業からの反応は。

宮西 「ここまで事前に教えてくれているとは思わなかった」と驚かれます。実際、当社の派遣スタッフが派遣先の現場で他社から就業中の派遣スタッフに教えることもあるくらいです。

富田 研修ではソフトに対する苦手意識を持たせないように、きちんと理解できているか一人ひとりを細かくフォローしているので、その成果が表れているのではないかと思います。例えば、当社研修を受講された方であれば派遣先で操作のことでお困りの際に、私たち講師陣や現場の最前線で活躍している弊社の技術社員たちから即座に実践的なアドバイスをもらうことがきます。こうしたきめ細かいサポートは、他にはない差別化できているポイントだと考えています。

パーソルテンプスタッフ株式会社
広域第三事業本部CAD・Creative事業部
CAD・Creative人事課
富田 麻美
CIM講師(Autodesk認定インストラクター)

― 活躍人材を育てるために必要なことは。

宮西 現場で活躍し続けるには、継続してスキルを維持していくことが大切です。業務が変われば求められるスキルも変わりますし、ソフトもどんどんバージョンアップしていくため、フォローアップシステムを設けて何度でも受講しなおせるようにしています。

富田 現場で生きる技術を身に付けることは、年齢に関係なく働き続けられることにもつながります。研修を通じて派遣スタッフの方が長く活躍し続けられる環境づくりにも貢献していきたいですね。

ブランドを育て
総合的な事業展開を目指す

― BIM/CIM分野における今後の展望は。

岸上 今後はより専門職が求められる時代となっていくでしょう。変化する市場ニーズに応えるためにも、現在展開している「テンプCAD」「テンプBIM/CIM」の2つのサービスをより信頼あるブランドに育て、新たな事業を展開してまいります。また、派遣スタッフの働き方の選択肢を広げることにも注力しており、現在は無期雇用派遣社員への転換も推進。実際、当社のCADスタッフの約30%は無期雇用の技術者として様々な企業で派遣スタッフとして活躍している実績もあります。
また、派遣だけでなく受託事業なども展開していくことで、人材不足に悩んでおられる建設・土木業界に対して総合的に人材サービスを提供できる体制を目指しています。派遣先の企業も派遣スタッフも我々も一緒に大きくなっていくことを目標とし、いずれは「建設・土木の相談なら、パーソルテンプスタッフ」というイメージにしていきたいと考えています。

「即戦力人材として研修することで、建築・土木業界へ派遣スタッフを安定的にご提供していきます」

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