既存システムの保守にIT予算の大半を奪われ、デジタルトランスフォーメーション(DX)が思うように進められない。この課題を解決するのが、第三者保守サービスだ。ベンダーよりも安価に既存システムの保守を請け負うが、そのメリットはコスト最適化にとどまらない。サービスを提供するリミニストリートは、保守サービスの向上、そしてその先のビジネス高度化にまでコミットする。
時流に合ったシステムを構築し、DXを推進する。「2025年の崖」が迫った今、これは企業に課せられた最重要課題の1つである。
基幹業務を支えるSAPシステムやOracle環境の刷新を含めたITモダナイズは、その核になる方法ではあるが、これを実行できるのは人と予算が潤沢な大企業に限られる。多くの企業はIT予算の大半を既存システムの運用保守や更改に費やしており、競争優位性を生むための戦略的IT活用には、わずかな額しか投資できていないのが現状だ。
「既存システムへの投資を圧縮できれば、より多くの額をDXに配分できるようになります。これを支援する考え方が『ポストモダンERP』です」と日本リミニストリートの脇阪 順雄氏は話す。その概要は図に示したものである。
同社は、このポストモダンERPに向けた手立てとして「第三者保守サービス」を提供している。顧客は、第三者保守サービスを利用することで、メーカー保守と同じく高品質、またはそれ以上のサポートを大幅にコストを抑えて享受できる。アドオンを含むシステム全体に対し、追加費用なしでサービスを提供。既存ソフトウエアを延命し、ROIも最大化することが可能だ。
「また、当社の保守サービスではお客様ごとに担当のエンジニアをアサインします。平均15年の実務経験を持つ担当エンジニアは、いずれもSAPやOracleのシステムに精通しています。緊急を要する問題には10分以内の応答を保証していますが、初期応答時間の平均実績は5分以内です」と脇阪氏は説明する。
基幹システムのコア機能を極小化し、SaaSやデジタルアプリケーション、外部データと疎結合でつながるようにする。これにより、コア機能に手を加えることなく、アプリケーションやデータの追加・変更を行えるようになり、変化に素早く対応できる
リミニストリートのサービスは国内で250社以上、世界では3400社以上で利用されているという。例えば、グローバルメーカーのCF Industriesは、基幹業務を担うSAPシステムの運用保守をリミニストリートに委託。これにより、メーカー主導のシステム更改スケジュールから解放され、即座にIT予算の一部を戦略的投資に再配分できたという。
「IT予算の構造変革を可能にしてDXの原資を生む。これこそ、我々の第三者保守サービスがもたらす最大のメリットだと自負しています」(脇阪氏)
SAP/ Oracleのバージョンアップを含めたITモダナイズで行くか、ポストモダンERPへと舵を切るか――。実際のところ、そこに優劣はない。重要なのは、自社ビジネスに適した方法を徹底的に考え、選択することだ。「残された時間は少ないため、早急に決断することが、今企業経営者に求められています」と脇阪氏は強調する。
SAPの中核製品であるSAP ERP(ECC6.0)のメインストリームメンテナンスは2027年末へと延長された。だが、だからといってDXの必要性が先延ばしされたわけではない。ポストモダンERPを選択する企業にとって、リミニストリートのサービスは有力な選択肢になるだろう。