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ニューノーマル時代に求められる水まわりのあり方を住空間からトータルに提案

SANEI株式会社 代表取締役社長 西岡利明氏 SANEI株式会社 代表取締役社長 西岡利明氏

1958年、大阪生まれ。近畿大学卒業後、オリエント貿易に入社。82年に三栄水栓製作所(現SANEI)に入社し、取締役、常務取締役を経て、2003年から大連三栄水栓有限公司 薫事長就任、2004年代表取締役社長就任。

コロナ禍で変わりゆく
暮らしの中の水まわり

コロナ禍において手洗いの徹底が叫ばれる中、「暮らしの中の水まわり」に大きな変化が起きています。まず、接触感染を防ぐため、小学校や幼稚園を中心に従来の蛇口からレバー式水栓や非接触自動水栓への取り換え需要が高まりました。

また、住宅の水まわりも変わり始めています。そもそも住まいというのは外敵から身を守り、安心して過ごせる場でなくてはなりません。その点、コロナ禍により、日本の住宅はウイルスに対して脆弱であることが露呈しました。政府が推奨する手洗いをしようとしても、従来の住宅は奥まで行かなければ水場はなく、屋内にウイルスを持ち込むリスクが高いのです。そこで、玄関付近に手洗い設備のある住宅を標準化しようという動きが出ています。

センサー式ワイヤレススイッチ付き自動水栓

センサー部に手をかざすだけで吐水し自動で止水。スイッチを洗面台の手前に設置すると、お子様や車いすを利用されている方も使いやすい。

水まわりを主役とした
住まいの新空間を提案

水栓メーカーである当社はこうした時代のニーズに対応し、昨年は非接触型水栓の供給に努めました。さらに一歩踏み込み、「水まわりを主役」とした住空間をトータルに提案しています。例えば、手洗い場やシャワーを設置した「土間」や、お風呂のあるダイニングキッチン、洗面台を備えた寝室など水まわりへの固定観念を払拭した新しい住空間をデザインしました。この提案をもとに、屋内へのウイルスの入り込みを抑制し、住空間の安心・安全を担保します。

こうした提案ができること、それこそが私たちの強みだと考えています。1954年に創業した当社ですが、老舗が多い水栓メーカーの中では新参者でした。そのため、当時の販路としては水工店やユニットバスメーカー、キッチンメーカーに水栓単体を納入することが一般的でしたが、なかなかシェアを得ることが望めませんでした。そこで、ニッチな市場を開拓する道を選び、1967年に日本初のシャワー付き湯水混合水栓を製造・販売するなどアイデアを付加した製品の提供に注力しました。

一方、デベロッパーやハウスメーカーなどをお取引先として開拓し、水栓単体だけでなく、水まわりを含めた空間全体を提案し始めたことが大きな成長につながりました。こうした提案を可能にしているのは、設計から生産までの品質第一のものづくりと、デザインへのこだわりです。人々の豊かで幸せな生活を実現するために、多様化するライフスタイルやニーズにフィットするデザインを追求しています。

京都のホテル La Viola

客室のデザインが全て異なるため、水栓も各部屋のデザインコンセプトに合わせたものを提案。

競争力を高めるため
公正な公開企業へ

水栓の一昨年度の市場規模は1077億円で、住宅と非住宅の比率はほぼ半々です。住宅市場に強い当社の課題は、非住宅分野での競争力を高めること。そのため、昨年12月、東証2部に上場しました。第三セクターのようなビッグプロジェクトでは、ガバナンスの利いた企業が求められます。今後、飛躍するにはさらに公正な企業になることが重要と考え、上場を決めました。また、調達資金については、メインとなる岐阜工場における生産設備に係る設備投資に充当します。特にホテルなどに向けた高機能の製品づくりに対応できるように、生産ラインを増強していきます。

今後、日本の人口減少に伴い、住宅関連市場の縮小が予測されていますが、昨今、水栓市場では高機能製品が注目されており、当社の開発力と提案力を生かすチャンスと見ています。さらに、IoTを駆使した製品づくりに努め、スマートホームでの水まわりの可能性も広げたいと考えています。

SANEI株式会社

〒537-0023 大阪市東成区玉津1-12-29
https://www.sanei.ltd/

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