日経ビジネス電子版 Special
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法人顧客との銀行取引全般におけるデジタル化を推進する三井住友銀行。
2020年12月、売掛債権の保証サービスをweb化した『Amulet』をリリースした。

完全非対面で
保証サービスを提供

企業にとって売掛債権の回収は死活問題といえる。特に景気が先行き不透明な現代において、取引先の経営状態には敏感にならざるを得ない。そこで、近年にわかに注目を浴びているのが「ファクタリング」だ。未回収の売掛債権に“保険”をかけて貸し倒れリスクを軽減する「保証型」と、売掛債権を譲渡して現金化する「買取型」に大別でき、上手く使えば経営の強い味方となる。一方で、利用者にとっては、信頼できる業者選びや契約までの手続きの煩雑さなどがネックになっている。

こうした課題を解消するのが、三井住友銀行のポートフォリオ型ファクタリング(保証)webサービス『Amulet』だ。売掛債権等の支払いを三井住友銀行が保証する「保証型」のファクタリングで、万一、取引先が倒産した場合には保証限度額を上限に三井住友銀行が保証を履行する。新規の申し込みから契約に至るまでの手続きをwebで対応できる点が大きな特徴だ。

■ポートフォリオ型ファクタリング(保証)及び
webサービス「Amulet」の概要

図1

スピーディーな手続きで契約
ビジネスチャンスを捉える

「『保証型』のファクタリングにおいて、新規のご契約も可能な本格的webサービスは『Amulet』が初めてではないかと思います」。こう話すのは『Amulet』の開発業務をリードした奥山泰弘氏だ。

三井住友銀行では売掛債権の保証を行う保証型ファクタリングを従来から提供してきたが、担当者が顧客を訪ね、書類のやり取りを通じて手続きを進める対面形式であった。web化の構想自体は何年も前から話題に上げていたそうだが、実際に開発のゴーサインが出たのは2019年12月ごろとのこと。SMBCグループが法人取引のデジタル化に舵を切る中で『Amulet』の開発にも着手し、2020年12月のサービス開始に至った。

顧客は自社、取引先、売掛債権などの情報を『Amulet』専用サイトにて登録。与信については取引先企業を確認し、その信用力により保証金額の上限は変わってくる。自社の財務状況よりも取引先企業の財務状況が重視される。また、現在三井住友銀行との取引がない会社でも、『Amulet』の申し込みは可能だ。

「コロナ禍がもたらした社会の変化は、コロナ禍が落ち着いたら元に戻るという一過性の動きではなく、世の中の働き方自体が大きく変わったということだと思います。銀行も従来の発想を変えていかないとお客さまのニーズに応えられなくなってきます。『Amulet』によるスピーディーで便利なお手続きは、お客さまのビジネスチャンス拡大のお役に立てるものと考えています」(奥山氏)

奥山 泰弘氏
株式会社三井住友銀行
アセットファイナンス営業部
業務企画グループ
グループ長

奥山 泰弘

売掛債権の回収リスクは
BtoBビジネスに普遍の課題

三井住友銀行の売掛債権保証サービスは数千億規模の残高があり、利用企業は1500~2000社を数える。『Amulet』においては同行における従来の保証型ファクタリングサービスと同一の審査基準、保証金額の設定が行われる。その一方でweb利用の手数料は発生しない。

「既存のサービスをご利用いただいているお客様から『対面せずとも利用できる方法はないか?』という声を頂戴していました。商品開発においては、銀行として求められる本人確認手続き等を担保しつつも、スピード感のある手続きの実現を重視しました。サービス名の『Amulet』は“お守り”を意味します。コロナ禍で経済活動が停滞しそうな今だからこそ、お客さまのご商売におけるお守りとして『Amulet』をご利用いただきたいと思いますし、私たちも『Amulet』のご提供を通じて、そうしたお客さまのニーズに応え、経済活動の下支えをしていきたいと考えております」(奥山氏)

売掛債権の回収や販売先の倒産に関する不安は、会社の規模や業種に関わらず、BtoBのビジネスを営む企業に普遍的に存在する課題だ。「販売先との決済インフラの中で、当たり前のように売掛債権の保証サービスを利用する。そういう社会にしていきたい」と奥山氏。『Amulet』を活用して、販売先の「もしも」に備えておきたい。

『Amulet』開発チームのメンバー

The voice of the person in charge

コロナ禍の今だからこそ、
「新常態」を意識した

コロナ禍において、お客様の環境変化や社会の「新常態」を強く意識したサービス開発を行いました。テレワークが普及する一方で「ハンコを押すために出社」という声も聞かれますが、SMBCクラウドサインの採用により「脱ハンコ」の動きにも対応しています。「新常態」の社会で、『Amulet』がお客様と当行の銀行取引全般におけるデジタル化を推進するきっかけになればと考えています。

奥山 泰弘 氏