現代において「新しい石油」とも例えられるデータ。様々な分野でデータ活用に向けた取り組みが加速しているが、まちづくりの中でも、その可能性が注目されている。その1つがソフトバンクと社会インフラの計画や設計を行なっているパシフィックコンサルタンツが共創して提供している「全国うごき統計」という人流サービスだ。人の滞在や移動を統計データとして可視化して、駅などのインフラの改良整備や利活用に貢献。人々の便利な暮らしやカーボンニュートラルなどの社会課題の解決にもつながると期待されている。現代において「新しい石油」とも例えられるデータ。様々な分野でデータ活用に向けた取り組みが加速しているが、まちづくりの中でも、その可能性が注目されている。その1つがソフトバンクと社会インフラの計画や設計を行なっているパシフィックコンサルタンツが共創して提供している「全国うごき統計」という人流サービスだ。人の滞在や移動を統計データとして可視化して、駅などのインフラの改良整備や利活用に貢献。人々の便利な暮らしやカーボンニュートラルなどの社会課題の解決にもつながると期待されている。

社会インフラの計画・設計を専門とする企業

──ソフトバンクとパシフィックコンサルタンツ(以下、PCKK)のパートナーシップについてご紹介ください。

宮城 現在、ソフトバンクは社会課題の解決を念頭に据えた新規事業の開発に取り組んでいます。取り組みは複数の領域にわたりますが、私はスマートシティ、スマートビル、スマートオフィス、スマートインフラなどを担当しています。現在、各領域のパートナーと共に取り組みを進めていますが、PCKKとは2017年12月にスマートインフラソリューションの開発を目的に共創をスタートしました。

 共創のきっかけは、私が別の部門で大分の地域活性化プロジェクトに携わっていたときのことです。一連のプロジェクトの中に大分駅前の再開発が含まれていたのですが、その開発計画を担当していたのがPCKKでした。都市計画というと、ゼネコンを思い浮かべますが、さらに上流で計画や設計に特化した企業があるのだということを知り、とても驚くと同時に、再開発によって街の様子だけでなく人の流れが大きく変わっていることを体感し、大いに感銘を受けました。

 その後、別のご縁もあり、社会インフラ領域の事業開発に取り組むにあたり、建設コンサルタントのリーディングカンパニーであるPCKKの力を借りたいと考えたのです。

位置情報から人の移動や滞在を分析する

──PCKKからみて、ソフトバンクとの共創にはどのような可能性を感じましたか。

杉本 ソフトバンクとの業務提携の話が持ち上がった時、社内で様々なサービス開発の可能性を検討しました。その中で私が注目したのがデータの活用です。というのも、私たち自身が、日々のコンサルタント業務を進めていく上で、これまでの統計データに課題を感じていたからです。

 インフラの計画・設計を行うには、当然その場所のことを知らなければなりません。例えば、駅を計画する際にどこに改札口を作るべきか。それを判断するため、普段はどんな人が駅を使い、どこから来て、どんな目的で駅を使うのかなどを知る必要があります。しかし、これまでの統計データは、調査実施時期が古かったり、限られた条件下だけの情報だったりと、計画・設計に役立てるには十分とはいえませんでした。ソフトバンクが持つ膨大なデータなら、この課題を解決できるのではないか。業務提携の話を聞いて、真っ先にそう考えたのです。

宮城 PCKKから提案を受けた時、まさしく両社が持つ強みを生かすことができる取り組みだと感じました。そして、2020年にリリースしたのが「全国うごき統計」という人流サービスです。

──全国うごき統計について詳しくお聞かせください。

宮城 「全国うごき統計」は、ソフトバンクの携帯電話基地局を基にした数千万台の端末の位置情報を24時間365日把握できる統計データサービスです。各エリアに人がどれだけ集まっているのかといった滞在情報や、対象のエリアにどこからどのくらい人が来たかという移動に関する情報を分析することできますが、PCKKが都市計画や交通計画で培ったノウハウを組み合わせることで移動を捉える際に「どんな手段」「どんな経路」かまでを可視化することができるようになっています。また、鉄道などの交通機関の利用者数や道路の通行量、各エリアにおける人口などの統計データと掛け合わせて、全国の約1.2億人の滞在や移動を高精度に拡大推計して提供していることが特長です。もちろん位置情報データは、個人が特定できないように匿名化し、統計的に処理したものを利用しています。

 ありがたいことに、リリース以降は多種多様な用途で活用されています。このデータを通じて都市計画・開発などのまちづくりや災害対策に役立てるのはもちろん、広く様々な事業者様に提供し、飲食店などの出店計画や観光地の活性化、新たなモビリティサービスの導入支援など地域の活性化や社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。

図1 全国うごき統計で可視化できる移動情報のイメージ

人がどこから出発して、どんな交通手段を使って、どこへ移動したかについて移動人数と共に属性情報も可視化できる

交通の最適化でカーボンニュートラルにも貢献

──全国うごき統計が実際に活用された事例をご紹介ください。

杉本 まず、ある自治体のバス再編検討に役立てました。全国うごき統計を用いて域内の移動を計測し、それを路線バスの利用者数と比較。既存のバス路線網が住民の移動ニーズにマッチしているかどうかを検証し、それを新たな路線設置の検討に活用しました。

 全国うごき統計のデータを使って交通の最適化を図ることは、その地域の人々の暮らしを便利にするだけでなく、公共交通機関の積極的な利用を促すなどによりカーボンニュートラルといった社会課題の解決にもつながります。

 また、ほかの地域では、鉄道新駅の計画に活用しました。どこに駅を設置すれば、より多くの人のニーズに応えることができるか。全国うごき統計は、属性や移動者の交通手段まで把握できるので、そういった情報も活用しながら新駅の最適な設置計画に役立てました。

 現在は、東京都のスマートシティの取り組みである官民のデータ連携により都民生活の向上等を目指す「東京データプラットフォーム ケーススタディ事業」に参画しており、全国うごき統計を用いた「駅利用圏ポテンシャルマップの展開」を進めています。このポテンシャルマップでは、どのエリアのどういった年齢層の人が、どの駅を利用しているのかを全国うごき統計の人流データを用いて可視化します。年齢層や居住地などによる行動の違いがある中、経験則でしか分からなかったことを定量的に示すことで、各駅の飲食や小売、交通などの消費ポテンシャルを把握することが可能となり、それらのデータを可視化することで都民生活や企業活動の向上に貢献できればと考えています。

宮城 PCKK以外にも、様々な企業が全国うごき統計を活用しています。対象エリアの時間ごとの滞在人数を使って、屋外広告の効果測定や、自治体の市街地活性化・回遊性向上などの施策実施のための分析などに活用されています。

図2 公開される予定の駅利用圏ポテンシャルマップのイメージ

※今後変更の可能性があります

──今後の展望をお聞かせください。

杉本 両社の連携を通じて、今後さらに社会課題の解決に貢献できると考えています。

 ソフトバンクのグループ会社で保有している検索データや決済データなど様々なデータを組み合わせることができれば、観光促進や地域活性化により一層役立てることができると思います。そういったデータの組み合わせを通じて、都市の最適化マネジメントにつながる取り組みを両社で展開していきたいです。

宮城 社会課題を解決するためには、データやテクノロジーだけでは難しい。そのため、社会インフラの領域においてPCKKのノウハウと知見が必要不可欠だと考えています。まずは両社の取り組みとして全国うごき統計をリリースしましたが、こちらについては順次ほかのデータとの組み合わせも含めた機能拡張を進めていきます。また、防災含めたほかの取り組みも両社で協議を進めておりますので、幅広い取り組みを通じて、よりよい社会を実現していきます。

「全国うごき統計」サービスサイト

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