日経ビジネス電子版 SPECIAL

ブラザー工業が挑む
Tableauによるデータ活用術
“ご利益”を示して広げることが
データカルチャーを醸成させるカギ

佐々木一郎氏×佐藤豊氏

データ活用によるご利益を示すことで
自然と社内全体に広がるはず

貴社がどのようにデータ分析を行い、活用しているのかがよく分かる事例ですね。多くの企業では、データ分析と活用が一部のデータサイエンティストの業務として完結しているケースも見受けられます。企業全体に広げるのは、簡単なことではありません。佐々木社長は、どのようにしてデータカルチャーを醸成し、定着させたのでしょうか。

ただ、従業員にデータが大事と言っても、実際にどういった形で役に立つのかイメージは湧かないものです。そのため、“ご利益”を正しく理解してもらうことが重要だと思っています。ご利益とは、成功体験。小さくてもいいので、実際にデータを分析し活用することで生まれた成功事例を社内に示すことで、自然と広がるはずです。

部署単位で見ると、データ分析・活用によるご利益がこれまでにいろいろと出てきました。次は、社内講演会などを通じて、まだ活用できていない部署、従業員を巻き込み横展開することを目指しています。部署を超えてデータ活用ができれば、必ず結果が出ます。

全社にデータ活用を広めていくためにはトレーニングや人材開発が重要になるかと思います。貴社の取り組みについてお聞かせください。

勉強会に力を入れています。これはまさに、10年先を見据えた人材育成です。今は小学校からプログラミング教育を受ける時代です。データ分析やプログラミング技術、AIの活用、RPAによる業務の自動化は、今後メールやエクセルと同程度のビジネススキルになっていくでしょう。対応できなければ、仕事の半分がAIやロボットに置き換わると言われている今後、職場には居場所がなくなってしまう。従業員には、10年先を見据えて、何が何でも今、変わってもらいたい。

今の日本の状況を考えると、これからは70歳でも80歳でも元気なうちは働く世の中にならざるを得ないでしょう。そのときに活躍の場がないと、幸せな将来はないかもしれません。そうならないように、何歳であっても新しいスキルを身に付けるべきです。「私は50代だから、新しいことはもういいよ」などと言っていられない時代が来ている。そういった危機意識を従業員には持ってほしいと思っています。

私がTableauに携わっている理由の一つが、「人間は優秀で知識を持っている。だから、機会と道具さえ与えれば変えられる」という考えです。佐々木社長のお話を伺うと、人は変われるし強くなれると感じます。

佐藤 豊氏
佐藤 豊
Tableau Software
カントリーマネージャー

デル、レッドハット、F5ネットワークスなどを経て、2013年にTableau Software入社。エンタープライズ本部長を経て、2018年4月から現職。あらゆる人があらゆるシーンで当たり前のようにTableauを使い、データと対話する世界の実現を目指す。

不確実な時代だからこそ
誰もがデータを活用できることが重要

貴社は、製造業だからこそ取れる様々なデータを活用し、実際に業務改善や品質改善をしています。そもそも、工場のQC(Quality Control:品質管理)はデータ活用の考え方そのものです。

今、世界の製造業は、複数のデータを結びつけることでより深いインサイトを得るレベルに進化しています。日本だけがデータ活用で止まっていたら、残念ながら勝ち残れません。

また、日本は少子高齢化による人口減少が進んでいます。危機感を持って取り組まなければ、未来はないでしょう。

実際、世界的に見てもデータ活用ができている企業とそうでない企業とでは、格差が出てきています。データから恩恵を受けている企業は、デジタルを活用してより大量のデータを集めるし、そのデータをマシンラーニングなどのAIで分析してインサイトを得て、次の仕組みを創り出している。まさに、デジタルとデータによる錬金術です。日本と世界との格差は、広がってきていると感じます。

日本では昔からQCでデータを活用してきました。最新のQCにアップデートして、世界の先頭を切るつもりでやれば、日本人には大きな可能性があります。データを活用することで、「ボール」がはっきり見え、打率が上がる。活用しない手はありません。データ活用は特別なものではなく、自分の仕事をよくしたいという思いがあれば、誰もが始められるものです。

今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大によって、不確実な時代に入りました。変化する状況に、貴社はどのように取り組んでいきますか。

COVID-19は、いかに世の中がドラスティックに変わるかを教えてくれました。このような時代を正しく生き抜くためには、ファクトを見極めて迅速に動くしかない。しかし、そのファクトさえ常に新しいものへと更新されています。ファクトを正しく捉えるためにデータが有効なのです。従業員には、そういった考えで努力し、仕事に取り組んでほしいですね。その先には、幸せな未来があるはずです。

社長である私の使命は、従業員の幸せな未来をつくること。従業員の立場で彼らの幸せを考えると、「自分の努力が世界にどれくらいのインパクトを与えられたか」が大事だと思います。そのためにも、会社は、従業員の努力の増幅器であるべきなのです。従業員が正しく努力した結果、生まれた製品やサービスが、会社を通じて世界に広がり、インパクトを与える。Tableauは、その従業員の努力を支えるプラットフォームだと思っています。

ありがとうございます。貴社には、製造業の中でもいち早くTableauを導入していただき、時代の変化に合わせて新しい機能も継続的に使っていただいています。今はリアルタイム性がさらに求められ、2カ月前のことがもうファクトではないという時代です。今後もブラザー工業様が世界を引っ張っていくようなビジネスへのチャレンジにお役に立てるよう、ぜひご支援させていただければと思います。

佐藤豊氏 佐々木一郎氏

Tableau
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