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DXがもたらすサブスクリプションビジネスの新潮流~BtoBビジネスの変貌~ DXがもたらすサブスクリプションビジネスの新潮流~BtoBビジネスの変貌~

製造業にとってこれまで利益を生まなかったソフトウェアを収益化し、
サブスクリプションビジネスを成功させるには、どうすればいいのか。
タレスDIS CPLジャパンの前田利幸氏がノウハウを伝授する。

タレスDIS CPLジャパン

モノ売りからコト売りにシフトする、製造業のDXとサブスクリプションの収益化

タレスDIS CPLジャパン
ソフトウェアマネタイゼーション事業本部
ビジネス開発部 部長

前田 利幸Toshiyuki Maeda

前田 利幸 氏

Profile

企業に対してソフトウェアを収益化させるためのコンサルティングやトレーニング、ソリューション提案を行う傍ら、各地で講演にも登壇。業界紙やWEBメディアへの執筆も手がけている。同志社大学経営学修士(MBA)。

 タレスグループは、フランスに本社があるグローバル企業だ。事業内容は、防衛や鉄道、航空、宇宙関連の情報システム開発と、デジタルアイデンティティ&セキュリティ事業で構成されている。

 また同社は、ソフトウェア収益化の分野では世界シェア51%を持つグローバルリーダーである。30年以上の事業実績があり、世界で1万社以上にソリューションを導入する。

 タレスDIS CPLジャパンでソフトウェア収益化ソリューションを担当する前田利幸氏は、今日の製造業にとって、ソフトウェアの重要性は急速に高まっていると語る。「従来、ソフトウェアはハードウェアの付属品であり、基本的に無償で提供されるものでした。その状況下では、ソフトウェアによる新機能の開発コストが回収不能でも、疑問に思うことはありませんでした」

 しかし、その状況に変化が訪れた。ここ数年で機器に搭載されるハードウェアが高性能化、大容量化、低価格化したために、そこに内蔵するソフトウェアも大幅に多機能化した。さらに、IoTによって機器がインターネットに接続されるようになり、ソフトウェア化に拍車がかかっている。すでにソフトウェアの開発投資額が、ハードウェアの金額を上回ることも珍しくないという。

 「ソフトウェアの高度化によって、顧客中心のビジネスを展開できるようになったことで、製造業に大きなチャンスが訪れています」(前田氏)

 製造業のソフトウェア化は、すでに始まっている。世界有数の自動車メーカーである独フォルクスワーゲンのディースCEOは、「ソフトウェアが今後の自動車におけるイノベーションの9割を占める。我々はソフトウェア企業にならなくてはならない」と宣言し、業界に衝撃を与えた。実際にソフトウェア専門組織を立ち上げ、2025年までにソフトウェア人材1万人を採用する計画を進めている。

 米シスコシステムズも、ネットワーク機器の売り切りモデルから、ソフトウェア化に転換を進めて成功している。すでに売上高の51%がソフトウェアによるもので、そのうちサブスクリプションの比率は78%に達している。結果として、コロナ禍の20年度の予想売上高は前年比5%減にとどまり、営業利益率は33%という、驚異の収益性を見せている。

 前田氏は「これからは、ハードウェアをプラットフォームとして、そこにソフトウェアをサービスとして載せた製品を作ることが求められています。それにより、ハードウェアを売った後でも、ソフトウェアで収益を得るビジネスを展開できます。これこそが、製造業のビジネス革新です」と主張する。

カスタマイズによる顧客体験向上と自動化によるコスト削減の両立

 では、製造業がソフトウェアによる顧客中心のビジネスに移行するにはどうすればいいのか。前田氏は「顧客満足度の向上や、データの収集と分析、そして自動化による業務効率の向上やコストの削減が必要になります。そのために必要なものが、ソフトウェア収益化ソリューションです」と語る。

 ソフトウェア収益化の主な構成要素は「収益機会の創出」「カスタマーエクスペリエンスの向上」「ビジネスインサイト」「運用効率の向上」の4つである。

 まず、収益機会の創出では、ライセンス管理システムの導入によって、ライセンス履行を正確に制御する。ソフトウェアを機能別に管理することで、柔軟な料金体系を組むことができれば、機能のアップセルやクロスセルも可能になる。またソフトウェアの暗号化などのセキュリティ強化によって不正利用を防ぎ、企業の収益を守ることもできる。

 カスタマーエクスペリエンスの強化も重要だ。「まずは、セルフサービスの顧客ポータルを作り、ライセンス情報の把握やアクティベーションなどを実行できるようにすることです。顧客にとって煩わしいこれらの管理を簡単にすることで、顧客満足度を高めることができます」(前田氏)。顧客とのエンゲージメントが向上すれば、長期契約につながっていく。

 しかし、ここで企業はジレンマに陥ることになると、前田氏は指摘する。「顧客満足度を高めたり、サービスをカスタマイズしようとすると、どうしても運用の負荷が上がり、コストも上がってしまいます」。そこでクラウド型のライセンシングバックオフィス機能を活用することで、運用負荷を軽減させることができるという。例えば、受注処理を行う基幹システムと、ライセンシングを行うバックオフィスが連携することで、人手を排除してミスをなくし、顧客が購入した製品を正確に届けることができる。

 また、ビジネスインサイトは、製品の利用状況を把握することで開発投資の方向性を決めたり、データ分析によって顧客との関係性を維持するためにも重要である。

図

ソフトウェア収益化には顧客ごとにカスタマイズしたサービス提供と、顧客の行動データ分析が必須だ。
同時に、業務の自動化による運用コストの削減も図らなければいけない。

 タレスDIS CPLジャパンでは、ソフトウェアの収益化を検討している企業に対して、導入に向けた課題や達成目標のヒアリングを行い、導入プロセスの支援、そして導入後のトレーニング、運用まで、長期にわたる取り組みを顧客企業と共に進めていく。

 前田氏は、「ソフトウェア収益化は、製品をポンと入れれば実現できるわけではありません。当社のソリューションは顧客の課題を明確にし、導入効果を金額ベースで提示することで、ソフトウェア収益化を支援することができます」と語った。

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