桔梗原 最も身近なクライアント製品を例に、目標達成に向けた具体的な取り組みを教えてください。
山田 PCのリサイクルは既に1990年代から始めていますが、その取り組みは年々進化し広がりを見せています。2008年には市場で廃棄されているCDケースやペットボトルを回収・再利用し、この再生プラスチックを筐体に使用したPCの出荷を開始しました。これはPC業界初の取り組みです。
その後、販売したPC製品を回収し、プラスチックをはじめとする素材を再利用する「クローズド・ループ(循環利用)」という仕組みを構築しました。このクローズド・ループ内で再生されたプラスチックは125種類以上の製品に使われています。
世界的に問題になっている海洋プラスチックも製品の梱包トレイに利用しています。この取り組みを加速するため、環境NGOと当社が中心となって、2017年12月に国際イニシアチブ「NextWave Plastics」を立ち上げました。現在、家具世界大手のイケア、米HPなど10社が加盟しています。
桔梗原 海洋プラスチックは地球規模となるだけに、この分野において競合メーカーと “共創”を推進していることは、非常に意義があることだと思います。
山田 それだけ強い決意と危機感を持って取り組んでいるのです。当社の海洋プラスチックの再利用量は、活動を始めた2017年度で約2トンでしたが、2019年度には30トンに増えています。NextWave Plasticsでは2025年までに2万5000トンの海洋プラスチックを再利用する目標を掲げています。これはおよそ25億本の500mlペットボトルに相当する量です。
2021年からは製紙工程で排出されるオイルでつくる植物由来のバイオプラスチックも筐体素材に使用しています。
桔梗原 大量に廃棄される電子機器や家電製品には有用な資源となるレアメタルが多く含まれ、都市鉱山とも言われます。こうした資源の循環利用も行っているのですか。
山田 ハードディスクに使われるレアアースマグネット(希土類磁石)やアルミニウム、マザーボードに利用される金の循環利用も2018年から始めています。
航空宇宙業界のメーカーと協力し、規格外やスクラップとして廃棄されるカーボンファイバーもノートPCの筐体素材に使用しています。
大気汚染が深刻なインドと中国では、ユニークなリサイクルを開始しました。大気汚染物質に含まれる「すす」からインクの原料を精製し、それを梱包箱の印刷に使用しているのです。手前味噌で恐縮ですが、斬新な発想で私自身も驚きました。
製品に占めるリサイクル材料の使用比率は法人向けデスクトップ製品 Dell OptiPlexシリーズで40%以上、法人向けノートPC製品 Dell Latitudeシリーズで20%以上になりました(図)。Moonshot Goal 2030の目標達成度で見ると、梱包材のリサイクル率は既に90%に達し、今年発表した法人向けノートPC Latitudeの梱包箱はすべて100%再生可能な素材に切り替え、速いペースで進んでいます。クライアント製品の部材のリサイクル率は全体で約20%なので、今後はさらに加速度をつけて取り組みを進めていきます。