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CYBER INITIATIVE TOKYO 2021 / サイバーイニシアチブ東京2021レビュー CYBER INITIATIVE TOKYO 2021 / サイバーイニシアチブ東京2021レビュー

デロイト トーマツ グループ

講演タイトル

サイバーにおける政府の広範な役割―政府がサイバーエコシステムの安全性確保に向けてどのように調整しているか?

産学官連携の「サイバーエコシステム」が対策強化の鍵

伊藤益光氏

伊藤益光

デロイト トーマツ サイバー

執行役員

パートナー

新型コロナウイルス感染拡大は、社会全体に大きな変化をもたらし、様々なリスクを浮き彫りにした。なかでも顕著なのが、サイバー脅威とデジタル化の遅れである。かねて日本政府は産学官連携によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を指摘してきたが、これらを網羅するセキュリティのアプローチは十分ではない。デロイト トーマツ サイバーの伊藤益光氏は、「現在、政府がサイバーセキュリティに果たすべき役割は変化している。政府は産学官が密に連携した『サイバーエコシステム』を構築して脅威情報を共有し、私的なネットワークも防御していく必要がある」と指摘する。

産官学が連携することで、政府は最先端技術を取り入れたベストプラクティスを迅速に導入できると伊藤氏は話す。例えば、最新技術の導入に平均3年間を要していた国際機関は、サイバーエコシステムの活用で、導入作業期間を1年間に短縮したという。

講演では積極的な取り組みとして、オーストラリア政府の事例を紹介した。同国は2020年に発表した「2020 Cyber Security Strategy」で、今後10年間で16億7000万豪ドルのサイバーセキュリティ投資を明言した。産官学の年次会合実施などを通じて連携を強化するほか、国内サイバーセキュリティ産業を拡充し、同市場の活性化も目指す方針だ。さらに、政府機関のサイバーセキュリティケイパビリティを1カ所に集約し、重要インフラに対するサイバー脅威にも対峙していく。

また、世界的に課題となっているセキュリティ人材不足については、女性活躍支援が重要だと訴え、サイバー分野における女性のグローバルな専門家ネットワーク「Leading Cyber Ladies」の取り組みを紹介。「セキュリティ業界の女性比率は低いが、優れたサイバー人材プールの拡大には女性の力が不可欠だ」と力説した。