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Next Working Style Day Review

ハイブリッドワーク時代に
構築する
“人財”起点の
Next Working Style
コロナ禍で一気に普及したリモートワーク。現在は必要に応じてオフィスも利用するハイブリッドワークが定着しつつある。コロナ禍が収束しても、働き方が以前に巻き戻ることは、もうないだろう。それに伴い、「場所」が中心だった働き方改革の議論は、新しい環境の中でいかにコミュニケーションを図り「従業員エンゲージメント」「生産性/創造性」を高めていくかなどにシフトしている。日経ビジネス主催の「Next Working Style Day」では、人事や総務、そして現場の観点でハイブリッドワーク時代の「人財」に関する変革のポイントや事例を取り上げた。ここでは、その概要を紹介する。

基調講演

ニトリホールディングス
個人と組織の成長をともに促す
タレントマネジメントシステム
元・株式会社ニトリホールディングス
組織開発室 室長
永島 寛之

多様なキャリア形成を支援

 デジタルマーケティングの発達は、企業と顧客の関係性を変化させた。かつての顧客はマスとして扱われたが、現在は個別に異なるカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を提供することが求められる。同様に、近年は人事の分野にもHRテックを生かしたタレントマネジメントシステムがもたらされ、社員一人ひとりのエンプロイージャーニーを大切にデザインしようとする動きが広がっている。

 「そうした潮流に困惑する人事担当者も少なくないようですが、そもそもあらゆる人事施策は個人の成長を原点にするべきと私は考えます」と語るのはニトリホールディングスの永島 寛之氏である。同社は2019年に人事関連の情報を集約するためタレントマネジメントシステムを導入したが、その構築を主導したのが永島氏である。

 増収増益を続ける同社の社員数は約5000人。永島氏が入社した2013年からほぼ倍増している。「会社の規模がこれだけ急激に拡大すると、旧来のアナログな手法では人事の提供価値にばらつきが出てしまいます。また、事業の多様化に伴って社員が望むキャリアパスも多様化しており、社員一人ひとりに高い生産性を発揮してもらいながら希望するキャリア形成を支援することも困難でした」と永島氏はタレントマネジメントシステムの導入に踏み切った背景を明かす。


会社の未来と社員の未来を
合致させる

 同社が進めようとしたのは、人事業務の省力化ではない。個々の社員が自律的に成長できる環境を整え、結果として組織の力を高めることが目的だ。

 「タレントマネジメントシステムは、ニトリホールディングスが構想する会社の未来像と、社員が思い描くキャリアをマッチングさせる手段です。一人ひとりの経験や能力、そして仕事を通じてどんな自己実現をしたいのかを可視化したうえで、現状戦力として働いてもらいながら未来を意識した育成配置も進める。そのためにシステムの人材プールで社員のタイプを120通りに細かく分類していますが、そこには自己申告に基づくキャリアに自らのキャリアに対する意向がしっかり反映されています」(永島氏)

 同社は「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」を理念に、現在の7000億円超の売上高を2032年までに3兆円にするという中長期計画を掲げている。社員はそのビジョンにコミットしながら、自らが実現したいことを重ね合わせていくことになる。そこでの人事部の役割は、想定される未来のジョブに対応できる社員をしっかり育成することだ。タレントマネジメントシステムはそれを円滑にするために不可欠な手段だと永島氏は考えている。

特別講演

大正大学
職業能力をOS、アプリでとらえる
複雑性が増す時代の人事戦略
大正大学
表現学部 特命教授
海老原 嗣生

3つのタイプに
分かれるキャリア

 「他社でうまく行った育成法でも、自社で取り入れると機能しないことが多々ある。キャリアにはいくつかのタイプがあり、それが参考にする会社と自社で異なっていると、うまくいかない」と語るのは大正大学の海老原 嗣生教授。講演では育成計画を立てる時に重要となる「キャリアの形」について詳しく説明された。

 「まず、キャリアとは、『どこでも通用する』人間力に近い部分、コンピュータでいえばOSと、限られた業界や職種などでしか活用できない専門知識・技能=アプリケーションの部分からなる。そして、業界や企業により、このOSとアプリケーションの比率が、3つのタイプに分かれる。 まず、OSも重要だが、それ以上にアプリの部分が大切で、長年かけて知識や技能を蓄えながら一人前になっていくキャリア、これをTypeAと呼ぶことにしよう。総合商社や銀行、大メーカーなどはこのタイプのキャリア類型となる。一方、OS部分が重要であり、アプリは軽微、2~3年でもう十分というキャリアもある。こういうキャリアだと、若手のうちに全社MVPとなり頭角を現す。人材ビジネスやeコマース系の会社、ベンチャーなどがそうだろう。こちらをTypeBと名付けておく」と海老原氏は話す。


リーダー育成はどう行うべきか

 TypeAとBでは、人事管理がことごとく異なる。まずは自社がどちらの類型なのかをしっかり把握することが大切だと海老原氏は続ける。

 「TypeAはゆっくり長い成長期を経て、やがて成長の停滞期が訪れる。TypeBは逆に、早く短い成長期を経て、その後は、優秀層と普通層が分かれていく。いずれの場合でも、成長期には『全社一律』型でボトムアップ型の育成が良い。多くの人材が成長して業績アップするので、一番ROIが良くなるのだ。一方、停滞期に入ると、一律投資はムダに終わる。だからこちらは上位層に関してのトップエクステンションが育成の重点となる。多分にそれはLDP(リーダー育成計画)となるだろう。TypeAとTypeBでは、成長期の長さが異なるため、LDPに移行する時期に差が生まれる。Aであれば早くとも30代半ば、Bならば遅くとも20代後半となる。LDPとは何をすべきかもシンプルに示しておこう。それは、『複雑な問題に対処する力』を磨くことにほかならない。経営は複雑怪奇な難題を解かねばならないからだ。そのための訓練がLDPの趣旨となる。ここで『いろいろな複雑性』に立ち向かわせて力量をアップさせる。単に組織拡大という数の複雑性だけではダメだ。全く異質な『複雑性』を解ける力を蓄えさせる。こんな風に腑分けすると、人事として何をすべきかが見えてくるだろう。シンプルかつ端的に人事問題を考えてみてほしい」と海老原氏は講演を締めくくった。
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