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限られた人材でDXを推進するために
インドへのオフショアリングの活用を

「DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるには内製化が重要」という認識が日本企業の間で広まりつつある。しかしそのためにはIT人材を確保する必要があり、それが日本企業にとっての大きなハードルになっている。このハードルを乗り越えるためのアプローチとして、インドへのオフショアリングを提案しているのが、エイチシーエル・ジャパンだ。最先端かつ膨大なITリソースの有効活用によって、DXをより効率的に進めることが可能だという。
インタビュアー:
日経BP 総合研究所 フェロー 桔梗原 富夫

コロナ禍で改めて認識された
オンラインとデジタルの価値

桔梗原 中山さんは日本IBMで製造企業担当の執行役員をされた後、日本郵政のグループCIOなども歴任し、いわばベンダーとユーザーのいずれをも経験されています。その立場から日本企業のDXの現在地をどう見ていますか。

いまやインド世界
テクノロジーセンター。

活用しないのは
日本企業にとって損失です

株式会社エイチシーエル・ジャパン 代表取締役社長 中山 雅之氏
株式会社エイチシーエル・ジャパン
代表取締役社長
中山 雅之
中山 日本の場合、DXの取り組みがコロナ禍のタイミングに重なったこともあり、その視点を外してはDXを語れないと感じています。日本企業の仕事の進め方は、コロナ禍でリモートワークを大幅に取り入れるなど、大きく変わりました。こうした中で、自分たちの仕事の進め方が、世界の中では一種独特であったと、初めて認識した方も多いのではないかと思います。新しい仕事の進め方を通じて、ITのエンドユーザーや事業部門がオンラインやデジタルの価値に目覚めた、という側面もあります。

桔梗原 オンラインのやり取りが当たり前になったことで、国と国との間の壁も、簡単に越えられるようになりました。

中山 そういう意味では、さらにグローバリゼーションが進展しているのではないかと思います。一方で、新たな問題も顕在化しています。それは、日本本社と海外拠点とでIT基盤が大きく異なっているということです。各国の拠点ごとに異なるシステムを構築していて、ツールやオペレーション、ヘルプデスクもばらばらという日本企業は少なくありません。

桔梗原 個別に構築したシステムがグローバル化の新たな障壁になっているということですね。

中山 これらをすべて世界共通にすれば、グローバル全体でコストダウンを図れます。また、世界各地で現在何が起きているのかを同じ軸で見られるようになり、ガバナンスも利かせやすくなります。さらに、同じ基盤上で業務を行えばコラボレーションも容易になり、最終的には経営の効率化やガバナンスにもつながります。既にこのことに気付き、グローバルでの標準化・共通化に取り組んでいる日本企業も存在します。しかし、DXを本気で進めるには内製化が大きなカギになりますが、そのための人材を日本国内だけでは集められない、という問題にも直面しています。

桔梗原 人材を確保する上でも、国際的なコラボレーションは重要になります。

中山 実際にDXを推進するために、オフショア開発に改めて着目する企業が増えています。また、開発の下流工程だけではなく、上流工程まで含めたオフショアリングのため、海外にキャプティブセンターを立ち上げたいと考える企業も少なくありません。しかしDXのためにキャプティブセンターをつくるのはかなり大変な作業であり、数百人程度の小規模では、その苦労に見合う効果がなかなか得られないという問題があります。
※ IT関連業務を遂行する拠点のこと。海外のシステム子会社として設置するケースが多い。

10~20年で大きな飛躍を遂げた
インドのオフショア開発環境

桔梗原 そうした問題を解決するには、どのようなアプローチが有効なのでしょうか。

中山 当社としては、内製化の延長としてインドのリソースを活用するオフショアリングを提案しています。いまやインドは世界のテクノロジーセンターとなっており、IT人材が多いのはもちろんのこと、世界的にメジャーなソフトウエアの多くが実はインド企業によって開発されており、オフショアセンターも大規模なものがそろっています。

桔梗原 確かにインドは親日家が多く、日本企業との相性もよさそうです。十数年前にインドへのオフショアブームがありましたが、そのころと比べて何か変化はありますか。

中山 そのころとは状況が大きく変わっています。インドは英語ができる人が多いということもあり、アメリカやイギリスを中心にオフショア活用が進んできました。その結果、この10~20年の間で大きな飛躍を遂げています。オフショアには最先端かつ膨大なITリソースが存在し、それを活用することは大きなアドバンテージにつながります。

桔梗原 そのインドのリソース活用において、御社はどのような貢献を果たせるのでしょうか。

中山 まず、HCLはインド国内に大規模なオフショアセンターを持っており、そのリソースを使うことができます。自らキャプティブセンターを立ち上げる場合には、まず場所を探して人を集め、様々なレギュレーションの問題を解決しなければなりません。当社のセンターを活用すれば、場所を探す必要はなく、そこで活動する人材もこちらで用意できます。自社の看板を掲げれば、すぐにキャプティブセンターが設置できるのです。もちろんセキュリティ面も万全で、日本本社とのコミュニケーションは当社の日本人スタッフが担当します。

桔梗原 グローバル展開に伴うIT基盤の統合という点ではいかがですか。

中山 グローバルでの標準化・共通化をしっかりと支援します。それに加えて、グローバルでSAPを展開している、もしくはこれから展開することを計画しているのであれば、そのお手伝いも可能です。日本企業の多くは、2025年の崖を越えるためにSAP ERPをどうするのかという問題を抱えています。HCLは世界に約20万人の従業員がおり、世界52カ国でビジネスを展開しています。日本企業が進出している国や地域は、ほぼすべて網羅しているのです。

 SAPのグローバルロールアウトというと、日本側である程度の計画を立案した上で、各国個別に展開作業を行うケースが多いと思いますが、当社ではまずオフショアセンターにグローバルのコアチームを作り、そこから各国に展開するという方法を提案しています。この方法は、中核となるチームをオフショア化することでコストが下がるというだけではなく、プロジェクトのガバナンス面でも有利です。日本本社による全体のガバナンスに加え、オフショアセンターから各国へ、標準化・統合化・プロジェクト推進の観点からのガバナンスを利かせられるからです。

 これならば、日本側のIT人材に制約があっても、効率的にロールアウトを行えます。同様の手法で、Microsoft 365を活用したコミュニケーション基盤のグローバルロールアウトも、効率的に進めることが可能です。
株式会社エイチシーエル・ジャパン 代表取締役社長 中山 雅之氏

日本に近い企業文化
究極の「お客様第一主義」を貫く

桔梗原 それは心強いですね。インドにはほかにも著名なIT企業がありますが、御社ならではの特徴はどのような点でしょうか。

中山 私が強く感じるのは、企業カルチャーが日本企業に近いということです。インドは人材が流動的で、採用してもすぐに辞めてしまうとよくいわれますが、HCLの場合は勤続年数の長い社員が多いのです。その背景には「顧客のビジネスゴールを共に達成する」という企業文化があります。そのために社員を大切にしなければならないという思いが強く、それが人材の定着につながっているのです。

桔梗原 社員を大切にする文化が醸成されているということでしょうか。

中山 そうです。お客様に満足していただくには、現場の社員がカギになるということが、会社のポリシーとして明確に示されています。それは待遇の話だけではなく、権限の考え方にも及んでいます。現場の社員が、これをやれば顧客のビジネスに貢献できるというのであれば、会社はそれをサポートするということです。

 この「従業員第一主義」は長く続いてきた当社の文化であり、前CEOは『Employees First, Customers Second(邦題:社員を大切にする会社)』という書籍を執筆しています。「従業員第一主義」とは、究極の「お客様第一主義」にほかなりません。日本でも既にお付き合いのあるお客様からは、この企業文化を高く評価していただいています。日本からインドへのオフショアリングも、安心して任せていただけると考えています。

桔梗原 ソフトウエアツールも数多くそろえていますね。

中山 「HCL Software」という事業があり、IBMから買収したものをはじめ、様々なソフトを提供しています。その中にはガートナーのマジック・クアドラントで「リーダー」に位置付けられる製品がいくつもあります。また、製造の組み込み系ソフトウエアの開発サービスなどエンジニアリング分野でも、数多くの実績があります。これらの製品やエンジニアリングサービスをお使いいただいているお客様が既に多くいらっしゃるということも、HCLがほかのインド企業と大きく異なる点だと思います。

桔梗原 これから日本市場でどのように事業を展開していくのか、展望をお聞かせください。

中山 ほかの国に対して2倍の割合で投資を加速し、日本法人を拡張しています。また、日本国内でのパートナーエコシステムの構築にも積極的に取り組んでいます。製品パートナー企業様のみならずサービスパートナー企業様とのコラボレーションも強化してまいります。

 日本の現在のIT人材不足という状況を考えると、インドのリソース活用は、課題解決の有効な手立てになるはずです。HCLには多くのグローバル大手企業のデジタル化を支援してきた実績とノウハウがあります。その日本法人であるエイチシーエル・ジャパンは、日本のお客様にとって有力なDXパートナーになるでしょう。この機会にぜひ知っていただき、インド活用を真剣に考えてもらえれば幸いです。
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