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Adecco Group Japan オンラインカンファレンス HR Frontline review 10年後の組織と働き方を考える 開催レポート
Adecco Group Japan オンラインカンファレンス HR Frontline review 10年後の組織と働き方を考える 開催レポート

人財が躍動する人事戦略の
ヒントを徹底解説!

Adecco Group Japanは、2021年12月14日にオンラインカンファレンス「HR Frontline 10年後の組織と働き方を考える」を開催した。先行きが予見できない現代の社会において、多様性を担保する組織・マネジメント・働き方を構築していくために何が必要なのか。これからのイノベーションに欠かせないDX人財を獲得・育成するために企業は何をすべきか。国内外の識者や、日本を代表するグローバル企業の人事責任者が多彩な議論を重ねた。カンファレンスはLIVE配信され、司会はフリーアナウンサーの森本智子氏がつとめた。多くの企業の経営者や人事担当が注目したカンファレンスの模様をレポートする。

カンファレンスの様子

人財ファーストの視点で
未来の組織と働き方を再構築すべきとき

川崎 健一郎氏

Adecco Group 日本代表

川崎 健一郎

 カンファレンスでは主催者のAdecco Group日本代表の川崎健一郎氏が登壇し、「生産性の向上とウェルビーイングをもたらす、ニューノーマル時代の組織づくりとは」と題した講演を行った。
「Adecco Group Japanでは、2025年までに目指すビジョンを『人財躍動化を通じて社会を変える』としました。日本においては、人財の流動化が乏しいことが課題だといわれてきましたが、単に流動化しただけで世の中の課題が解決できるわけではありません。いきいきと幸せを感じながら働ける、そんな躍動的な状態をつくって社会に貢献したいと考えています」

 さらに課題先進国の日本において、Adecco Group Japanが取り組むべき重要課題は人口減少に伴う「労働力不足」であるとし、それに対応するために欠かせない要素として「ウェルビーイング」を挙げた。ウェルビーイングを高め、多くの躍動する人々を生み出すために必要な条件として、川崎氏が重視しているのが「組織のビジョンや理念と、自身の価値観や目的に繋がりがあるか」だという。
「どうしたら人生の価値観や働く目的にたどり着けるのか。私たちはコーチングなどのメソッドを活用して、ライフビジョンを探求していただくお手伝いをしたい」と川崎氏は講演を締めくくった。

ラム・チャラン氏

経営アドバイザー

ラム・チャラン

土屋 恵子氏

アデコ株式会社 取締役
ピープルバリュー本部長

土屋 恵子

 特別講演には、戦略人事の世界的権威であるラム・チャラン氏が登壇。「人財ファーストを実現するために取り組むべき5つのテーマ」と題し、アデコ株式会社 取締役でピープルバリュー本部長の土屋恵子氏と対談をした。

 ラム・チャラン氏は冒頭「これまでの経営論ではまず戦略を教えていましたが、まず人財について教えるべき。その上で、人財が戦略をどうデザインするか、どんな資源配分をするか、どんな資金を生み出しているのか、どんなエコシステムを構築しているのかを考えるべき」と明言。

 さらに、戦略人事を実践する上でのCHRO(最高人事責任者)の役割や、CEO・CHRO・CFOによる定期的な会合である「G3」の重要性、平均的な人の何倍もの価値を生み出す「クリティカル2%人財」の発掘の仕方、プラットフォーム型組織の重要性など、対談の話題は多岐にわたった。

落合 陽一氏

メディアアーティスト

落合 陽一

 基調講演ではメディアアーティストの落合陽一氏が登壇。「AIに代替されない『働き方5.0』」と題した知的かつ刺激的なスピーチに、多くの視聴者の注目を集めた。話題は落合氏の活動フィールドと同様、極めて広範囲にわたった。

 AI(人工知能)をはじめとするデジタルテクノロジーが急激に進化した社会において、今後の働き方・暮らし方のヒントとなる充実した内容であった。

【パネルディスカッション】
DX推進のための人財と組織のあり方、
AIと人が協働するプロジェクト構築の最適解

 不足するDX人財獲得の課題について、Adecco Group Japanの株式会社VSN(2022年1月よりModis株式会社に社名変更) 執行役員 Consulting事業本部 本部長である塩田ゆり子氏と、Human Capital Online発行人である日経BP総合研究所の小林暢子、モデレーターの日経BP総合研究所フェロー 桔梗原富夫が意見を交わした。VSNは「Modis(モディス)」ブランドで、IT・エンジニアリング領域に特化したプロフェッショナル人材派遣サービスを提供している。多くの企業が求めているリーダー人財のような高い専門性を持った人財についても充実しているのが大きな特徴だ。

 まず小林が、企業が求めているDX人財の具体像と課題について語った。
「DX人財には、専門的な知識を持ちDXプロジェクトを牽引するリーダー人財と、デジタルテクノロジーを具体的な業務に取り込んで、その運用を支えるフォロワー人財の2種類があります。現状では企業が求める人財の中心は前者のリーダー人財ですが、その獲得においてハードルとなっています」(小林)

 30年以上にわたってIT分野を取材している桔梗原は、「DX化の加速でシステム開発の流れは、ゴールを固めて実行するものから、短期間で試行錯誤を繰り返しながら完成度を高めるスタイルが求められるようになった」と指摘。その中でこれまでと違うスキルや考え方を持つ高度なDX人財の育成について、塩田氏は次のように説明する。

 「DX人財の育成で、特に重視しているのが、『バリューチェーンイノベーター』の育成です。Modis独自の高度人財の考え方で、エンジニアとして必要な技術力だけでなく、プロジェクトマネジメント力や問題解決力を備え、クライアントの開発プロセスや事業の仕組み自体を革新できる人財が求められているのです」と、塩田氏はDX人財育成のあり方を説明した。

塩田 ゆり子氏

株式会社VSN
(現・Modis株式会社) 執行役員
Consulting事業本部 本部長

塩田 ゆり子

小林 暢子

日経BP 総合研究所
Human Capital Online発行人

小林 暢子

桔梗原 富夫

日経BP 総合研究所
フェロー

桔梗原 富夫

 「AIと派遣、正社員が協働するチームへの道」と題したパネルディスカッションでは、ソフトバンク株式会社コーポレート統括 人事本部 採用・人材開発統括部統括部長 足立竜治氏と、古河電気工業株式会社ビジネス基盤変革本部 ICT戦略企画部 主席の関 尚弘氏が登壇。Adecco COO代行 柳 修一氏、日経BP総合研究所の小林暢子とともに、「雇用形態を超えて、人とデジタルはどのように協働するのか?」をテーマにディスカッションした。

 冒頭、足立氏はソフトバンクが採用選考においてデジタルテクノロジーを活用していることを紹介。一次対応をチャットボットで自動化したり、AIでエントリーシートを一次評価する仕組みなどを取り入れたりしていると説明した。また関氏は人事、経理など管理部門へのRPA導入を推進。単に業務を効率化するというだけでなく、RPAをテーマに社内の人財を分野横断的に集めてディスカッションするような場を多く設け、知的交流や学ぶこと自体を楽しみ、それを人財育成の契機として活用していることを紹介した。

 その後のパネルディスカッションで、最も活発な意見が交わされたのは、デジタル時代、イノベーション時代の派遣社員の役割についてだ。柳氏は派遣社員の可能性について次のように語った。

 「今後、事務派遣といった職種は、RPAやAIに目的を与えて事務をこなす人財が求められるようになるかもしれない。働き方は多様になり、優秀な人財を確保できるのであれば、社員、派遣社員、フリーランスなどがプロジェクト単位で活躍し、それぞれのスキルの本来の価値を発揮できるようになるだろう」(柳氏)

足立 竜治氏

ソフトバンク株式会社
コーポレート統括
人事本部
採用・人財開発統括部統括部長

足立 竜治

関 尚弘氏

古河電気工業株式会社
ビジネス基盤変革本部
ICT戦略企画部
主席BPR・プロジェクトファシリ
テーションプロフェッショナル

関 尚弘

柳 修一氏

アデコ株式会社
Adecco COO代行

柳 修一

人財活用の成功事例と
採用の最新動向

大井 正輔氏

CJ FOODS JAPAN株式会社
営業本部長

大井 正輔

瀧本 亘氏

アデコ株式会社
アウトソーシング&ソリューション
事業本部 本部長

瀧本 亘

 この日は、Adecco Group Japanの顧客企業2社の担当者も登壇し、2つの事例講演が行われた。

 まずCJ FOODS JAPAN株式会社営業本部長の大井正輔氏の講演では、「急成長事業によって生じた6つの問題とその解決策」と題して、Adecco Groupのアウトソーシングサービスを導入した経緯とその成果が発表された。CJグループは食品やバイオ事業などを中核とする韓国を本社とするグローバル企業であり、その日本法人であるCJ FOODS JAPANは日本において食品事業を展開。過去7年で21.2億円から246.8億円へと急成長を遂げた。しかしその成長過程で、さまざまな問題が発生したという。社内では解決できない部門は、Adeccoへアウトソーシングを依頼。その分、自社の正社員にはクリエイティビティな仕事に専念させることを決めたと大井氏は話す。

 「業界大手というAdecco Groupの登録数とキャリア開発能力、SVの管理教育能力と多種多様なアウトソーシングのノウハウ、Modisが有するSEのシステム解決能力の高さをそれぞれ評価させていただきました。特にRPAの成果には驚愕しました。RPAのプログラミングができるような優秀なSE人財を正社員で獲得するのは大変ですし、優秀な人財ほど離職のリスクもあります。専門会社にアウトソーシングするのが正解だったと思います」(大井氏)

小松 志信氏

株式会社日立システムズ
ビジネスクラウドサービス事業グループ
セキュリティーサービス事業部
事業主管

小松 志信

伊佐 俊紀氏

株式会社VSN
(現・Modis株式会社) 執行役員
Mobility事業本部 本部長

伊佐 俊紀

 続いて株式会社日立システムズ ビジネスクラウドサービス事業グループの小松志信氏の講演では、「深刻なITエンジニア不足に直面する今、自律的なDX人財の育成を目指して」というテーマで、IT分野の人財不足と、それに対する教育・育成のあり方が中心議題となった。
 「私が所属するセキュリティサービス事業部では、顧客企業のシステムを外部の脅威から守るためのシステム構築・システム運用に日々注力していますが、セキュリティの技術が高度化しており、技術へのキャッチアップと技術者の獲得・育成が課題になっていました」(小松氏)

 この話を受けて、株式会社VSN(2022年1月よりModis株式会社に社名変更) 執行役員の伊佐俊紀氏から、Modisブランドにて提供している人財育成プログラムについて詳しく解説した。
「メニューは幅広く、ネットワークやサーバー、ソフトウェアなどいわゆるIT領域から、最近ではデータサイエンスやAIなど先端領域まで、研修プログラムを提供しています。エンジニアの単純な派遣はもちろんですが、派遣や育成といった範囲を超えて人事コンサル的な領域にも現在力を入れているところです」(伊佐氏)

 最後に、外部の人財パートナー企業に対し期待することとして、小松氏は「お客さま目線を持つこと」を挙げた。クライアント企業の課題解決に一緒に取り組む視点を持ち、プロジェクトを推進していくことに対して、小松氏と伊佐氏ともに思いを新たにした。

板倉 啓一郎氏

アデコ株式会社
執行役員 Spring事業本部長

板倉 啓一郎

 カンファレンスでは、今般のコロナ禍が採用マーケットにもたらした影響について、アデコ株式会社 執行役員 Spring事業本部長の板倉啓一郎氏が分析。「~データから紐解く~Withコロナ時代 人財採用 成功の5か条」をテーマに、各種の労働・雇用統計やSpring Professionalが蓄積してきたデータを紹介した上で、採用を成功させるために押さえるべき5つのポイントを解説した。

 上記カンファレンスのアーカイブ動画は、以下のURLより視聴が可能だ(落合陽一氏の講演を除く)。5年後、10年後の人財戦略や組織開発を見据えたヒントにしてはいかがだろうか。