INPEX 代表取締役社長 上田 隆之

PROFILE

上田 隆之 [うえだ・たかゆき]
1956年生まれ。東京大学法学部卒、米国ワシントン州立大学法律学修士。80年通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁長官、経済産業審議官などを歴任し、2016年退官。17年国際石油開発帝石株式会社(現INPEX)副社長執行役員、18年に代表取締役社長に就任。21年4月より株式会社INPEXに社名を変更。

EXのパイオニアとして
多様でクリーンな
エネルギーを安定供給

 2021年1月、『今後の事業展開~2050年ネットゼロカーボン社会に向けて~』を策定し、同4月には社名も国際石油開発帝石からINPEXへと変更。EX(エネルギートランスフォーメーション)のパイオニアとして多様でクリーンなエネルギーの安定供給を進める同社が、22年2月に『長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision@2022)』を発表した。

 「21年の『今後の事業展開』では、2050年の自社排出ネットゼロカーボンを目指すことを明確にしました。さらに、世界的なコロナ禍によって石油・天然ガスの需要が減少したことや、気候変動対策としての脱炭素の流れが加速したことを受けて、今後の事業の柱となる石油・天然ガス事業のクリーン化とネットゼロカーボンに向けた5分野の事業において、2030年・2050年段階でどのような姿になるのかを示したのが今回の長期戦略です。当社では18年に発表した5年間の中期経営計画の経営目標を概ね達成していましたが、こちらについても1年前倒しして新たに3年間の中期経営計画としてビジョンに盛り込みました」と同社代表取締役社長の上田隆之氏は語る。

ネットゼロカーボンへ
二軸でエネルギーを供給

 『INPEX Vision@2022』の最大のテーマは、石油・天然ガスから水素、再エネ電力まで、多様でクリーンなエネルギーを安定供給することにある。その実現に向けて、同社では「ネットゼロ5分野」と「石油・天然ガスのクリーン化」の取り組みを、いわゆる“二刀流”で推進していくという。

 「ネットゼロ5分野については実証段階の技術も多いので、できるだけ早く事業化につなげていくのが目標です。石油・天然ガスもCCS、CCUSといった技術や再エネ電力の利用でできるだけクリーン化して、安定供給を継続する必要があります。これらすべての分野において、2030年の目標を、『INPEX Vision@2022』では具体的に定めています」(上田氏)

ネットゼロ5分野において
2030年までの目標を設置

 では、同社が掲げるネットゼロ5分野が2030年頃に目指す目標とは、どのようなものなのか。

 まず「水素・アンモニア」分野では実際に3件以上の事業化を実現し、年間10万トン以上の水素・アンモニアの生産・供給を目指す。CO2を地下に圧入・貯留する「CCS・CCUS」分野では、年間250万トン以上のCO2圧入量を目標に、技術開発と事業化を推進。

 「再エネ」分野では洋上風力・地熱発電事業を中心に、現在の2~4倍にあたる1-2GW規模の設備容量確保を目標に掲げる。「カーボンリサイクル分野」ではCO2と水素から都市ガスの主成分であるメタンを製造するメタネーションの社会実装を推進し、2030年をめどにLNG換算年間6万トン程度の合成メタンを同社のパイプラインで供給すると同時に、さらなる規模拡大を追求する。そして最後の「森林」分野では、森林保全によるCO2吸収を目的とした事業の支援に加え、取得したカーボンクレジットを利用したカーボンニュートラル商品の販売を強化・拡大していくという。将来的にはネットゼロ5分野全ての事業において信頼される主要なプレーヤーとなることを目指す。

石油・天然ガスの
クリーン化を強化

 一方、石油・天然ガス分野については、CCS・CCUSや操業効率化による徹底したクリーン化を進めてCO2排出量を減らし、更にはよりCO2の排出が少ない天然ガスに投資比率をシフト。豪州・アブダビ・東南アジア・日本・欧州の5地域を“コアエリア”と位置づけ、石油・天然ガス事業に加えて、親和性の高いネットゼロ5分野にも資金や人材を集中させ、事業の効率性向上も目指す。さらにこうした取り組みを推進する技術基盤として、『I-RHEX(アイレックス)**』という技術研究機関を設立するなど、同社では既存技術を生かしたクリーンエネルギー技術の開発・高度化に向けた取り組みも加速させている。

 「消費者の生活に密接なエネルギーの需要は増え続けています。ネットゼロカーボンに向けたエネルギーの転換期といわれる今、当社では二刀流の両輪をうまく回して世界にクリーンなエネルギーを届け、ネットゼロカーボンに向けたエネルギーの構造改革にも積極的に取り組んでいきます」と上田氏は語る。

*CCS=Carbon dioxide Capture and Storage(CO2回収・貯留技術)
CCUS=Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CO2回収・利用・貯留技術)

**I-RHEX=INPEX Research Hub for Energy Transformation

2021年12月に参画したオランダのルフタダウネン洋上風力発電所(写真)をはじめ、国内では五島沖(長崎県)で事業者に選定されるなど、浮体式洋上風力発電事業化を推進中

株式会社INPEX

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赤坂Bizタワー
https://www.inpex.co.jp/

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