「コロナ禍によって社会は大きく変化し、DX実現に向けた取り組みがより強く求められるようになりました。しかし、それは単にIT化をすることではありません。事業モデルや従業員の働き方など、既存の仕組みをデジタルによって抜本的に変革していくことにあります」と語るのは、富士通の松本 国一氏だ。
例えば、電話やFAXによる顧客からの注文をインターネットで受け付けられるようにすることは、業務の「デジタイゼーション」に過ぎない。これを配送システムと連携し、即時配送が行えるようにして「デジタライゼーション」のステップに進むことができる。そして、今求められているDXは、さらにその先にあるものだ。
「お客様にとって、必要な物が、必要な時に自動的に届くようなサービスが実現できてはじめて、DXへの道が開けたことになります」と松本氏。商品を注文する顧客の煩雑な手間を解消すること、つまり、ユーザー体験をデジタルで変革することが、これからの企業にとってポイントになるという。
世界のデジタル先進国では、既にそうしたDXの動きが着々と進みつつある。中国では、SNSやチャットツールの浸透で、企業活動・教育のオンライン化が進展。農村においても、オンライン販売で成功を収める事例が現れている。行政手続きもオンラインで完結でき、交通状況を監視・制御して渋滞を解消したケースもある。
もちろん日本も後れを取るわけにはいかない。そこでまず着目したいのが、経済活動の基盤であるオフィスのデジタル化だ。ビジネスモデルや製品・サービスがデジタル化している以上、それを支えるオフィスもデジタルの世界へと移行していく必要があるからだ。
「オフィスワークに欠かせない社員同士の会話、様々な会議、そして業務をデジタルで行えるようにする。そうすることで、仕事をする場所がどこでもオフィスになるというわけです」と松本氏は説明する。
プライベートな個人同士の会話はSNSが主流となってきた。同じように、社員間の会話もSNS上で行えるようにすれば、コミュニケーションが十分図れる。対面で行っていた報告や会議は、Web会議などのシステムを活用。資料作成・提出の業務もPCやスマートフォンで完結できるようにすれば、出社する必要はなくなる。
オフィスワークだけでなく、経営や専門業務のデジタル化も必要だ。「例えば、生産ラインの稼働状況をダッシュボードで確認できるようにすれば、様々な情報を把握しながら適切な経営判断を下せます。研究・開発などの専門業務も十分テレワークで行えます」と松本氏は話す。
DXというと堅いイメージを受けがちだが、富士通では若手社員と役員が社内SNSで気軽に対話。雑談や冗談も交えた柔らかい雰囲気の中から、新たな企画を生み出すことに成功している
富士通自身も、さらなるデジタル変革の実現に向け、「FUJITRA」と名付けた全社的なプロジェクトを推進している。その取り組みの1つが、現場や顧客の声を経営判断に生かすためのダッシュボード「VOICE」の活用だ。
このVOICE上では、社員から寄せられた情報をAIで分析・可視化することで、俯瞰的かつ迅速な経営判断に生かしているという。実際、リモートワーク環境の改善などに役立てた例もある。
また、企業文化の変革に取り組むべく、社内SNS上でゆるいつながりを形成する「やわらかデザイン脳」と題したコミュニティを運営。雑談や冗談も交えた柔らかい雰囲気の中から、新たなビジネス企画を生み出すことに成功している。現在は2800人を超える社員が参加しており、経営層も積極的に活動を後押ししている。
「ここから生まれた興味深い取り組みに、オンラインスナックがあります。社内横断活動の場として若手社員が企画したもので、会社をよりよくするために役員と若手社員がコミュニケーションを図る機会にもなっています」と松本氏は続ける。
ユニークなのが、この企画が実現するまでのプロセスだ。綿密に企画書を練り上げ役員会に諮るといった一般的な手続きは踏まず、すべて若手社員と役員がSNS上でチャットしながら進めていった。
こうしたことが実現できた背景には、同社が早期に働き方改革の実践に取り組んできたことが大きいという。2010年度から社員のコミュニケーション基盤を整備。現在は会議や日常業務、報告・連絡、予定調整も、すべて会社配布のスマートフォンで行えるようにしている。従業員同士が離れていてもデジタルでつながれる環境が整えられているわけだ。
とはいえ、実際にこうした環境を整備するとなると、大量のサーバーや端末の運用管理、デジタルオフィスの運用など、デジタルファシリティにまつわる様々な課題への対処が求められる。
「その点、当社は、デジタル中心の働き方を実践してきた自社の経験やノウハウを生かし、お客様の悩みや課題の解決に貢献できます。例えば、インフラの導入・運用については、クラウドサービスやサブスクリプションでのご提供、セキュリティも含めた運用では自動化・見える化など、ニーズに応じて最適な方法をご提案できます」と松本氏は話す。
インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載した「FUJITSU Server PRIMERGY Series」「FUJITSU Storage ETERNUS Series」「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX Series」など、高品質なサーバー/ストレージ製品もフルラインで取り揃える。インテル社やVMware社と協業しながら、顧客企業のデジタルオフィス実現を支援していくことが可能だという。
日本企業のDXはまだまだこれからが本番だ。先行きの見えないアフターコロナの時代に勝ち筋を見いだすには、今後の大きな変革に向け、世界に通用するワークスタイルを確立していくことが重要な視点となっていくだろう。
オフィスや働き方のデジタル化を進めていく上では、当然のことながら高品質なサーバー/ストレージ製品が必要だ。富士通では充実した自社製品ラインナップや各種サービスを活用し、企業のDXをサポートしていく
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