日経ビジネス電子版 Special
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DXを成功させるカギは内製化にあり
組織横断型CCoEが
革新的な競争力を生む

世界中で急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが進む一方、多くの日本企業が後れを取っている。デジタルを活用した新しい製品・サービスの開発に着手できていないだけではなく、従来型の働き方をしている企業もいまだ少なくない。DXを成功させるために、経営者が強い危機意識と同時に信念をもって進めることが重要だ。その実現に向け、日本ビジネスシステムズ(JBS)では、クラウドをベースにしたプロジェクト推進や体制づくりを支援している。
インタビュアー:
日経BP 総合研究所 フェロー 桔梗原 富夫

立ち遅れている日本のDX。
まずは自ら体験することが 
前進のカギ

すべての企業・団体が、
デジタル使った

製品・サービス
供給者となるべき時代です

日本ビジネスシステムズ株式会社 代表取締役社長 牧田 幸弘氏
日本ビジネスシステムズ株式会社
代表取締役社長
牧田 幸弘
桔梗原 コロナ禍で、日本企業でもDXに対する考え方が大きく変化したように見受けられます。この変化をどのように捉えていますか。

牧田 この2年間でテレワークによる働き方改革は急速に進みました。しかしDXはまだまだだと感じています。例えば経済産業省が2020年末に出した「DXレポート2」を見ると、9割以上がDXについては未着手もしくは部分的な着手にとどまっており、海外の企業に比べて大きく立ち遅れていることが分かります。DXをどう進めればいいのか、そもそもDXの目的とは何かといったことを、十分理解できていない企業が多いというのが実情だと思います。

桔梗原 日本でDXが進んでいないのはなぜでしょうか。

牧田 経営者自身の意識改革が進んでいないからではないでしょうか。DXとはデジタルで自社の製品・サービスを作り変えていくことです。そのためには社内の意識改革が不可欠です。前提として、経営者自身も「これを成し遂げないと市場から淘汰される」という強い危機意識を持つべきです。同時に「デジタルを活用することで革新的な競争力を手にする」という強い信念を持つ必要があります。

桔梗原 DXの本質とは何だとお考えですか。

牧田 デジタルによって自社の製品やサービスを変革することです。それによってより高い付加価値を生み出し競争力のある差別化を実現することができます。いまやこれは特定の業種や企業だけでなく、あらゆる企業や団体にとって必須になったと考えています。DXを推進できない企業は、早晩、市場から退場することになるでしょう。

 もちろん、その実現に向けては様々な変革も必要となります。例えば、ITへの考え方も、根本から変えなければなりません。これまでの日本企業では、システムは「社外のITベンダーに作ってもらうもの」という考え方が一般的でした。しかしDXではシステムを導入することはスタートラインにすぎず、そこから改善や拡張を継続的に繰り返しながら優れたサービスに作り上げていく必要があります。

 デジタルで新しい付加価値を実現しようとしているときに、これまでのようにITベンダーへ丸投げしていては競争力のあるビジネスの実現は望めません。事業会社自身が主導権を握り、自社の社員が中心となってDXに取り組んでいく必要があるのです。

桔梗原 しかし、日本企業にはデジタル人材が足りないという声もよく聞かれます。

牧田 ご指摘の通り、デジタル人材が足りないのは実情だと思います。しかし高度なスキルを持つデジタル人材がいなくても、業務を理解している事業部門の社員がデジタル活用の価値を理解し、デジタル化によるサービス変革を体験できれば DX は格段に進めることができます。とはいえ、すべてを自社内で行うわけにはいかないでしょうから、外部のサービスやリソースも利用することが必要です。その際、膨大なデジタルリソースを提供するクラウドの活用は、有効なアプローチとなります。ハードウエアやソフトウエアを自前で用意しなくても、クラウドのリソースを活用すれば、スピード感をもって自らDXを推進できる時代なのです。

既に確立されている
フレームワーク。
まずは組織横断型でのCCoE編成を 

桔梗原 とはいえ、いきなりクラウドを使いこなすというのは、ハードルが高そうです。

牧田 クラウドには膨大なデジタルリソースがあるため、どれとどれを組み合わせるのか、それをどう使っていくのか、高度な知見が必要です。しかし、既にグローバルな調査によって、クラウドでDXを成功させた企業の活用手法(ベストプラクティス)が公開されています。

桔梗原 その具体的な内容について教えてください。

牧田 まずクラウド活用の支援を行うCloud Center of Excellence(以下、CCoE)というチームを自社内に編成します。このチームが世界で実証されたフレームワーク:「Cloud Adoption Framework」(以下、CAF)にのっとり、戦略、計画、準備、採用というプロセスを進めるとともに、ガバナンスや管理のための手順を整えていく、というのが基本的な流れです。ここで最も重要なのが、CCoEをどう構成するかです。CCoEは全社のデジタル戦略推進の中核となる組織です。海外の企業ではSIerに依存していないため、このようなチームを社内に設置するのが一般的です。そしてそのチームの編成方法によって、その後のDXプロジェクトの性格が大きく変わることも分かっています。

桔梗原 どのようにチームを編成すればよいのでしょうか。

牧田 理想としては、情報システム部門に加えて事業部門や管理部門など、社内の幅広い組織から希望者を募って編成された組織横断型CCoEです。専門知識をもつ人のみならず、やる気のある人を集めるわけです。そのトップが、強いリーダーシップでチームを率いることになります。そのため経営陣の強力なコミットメントも欠かせません。

 最初は組織横断型でCCoEを編成し、クラウド活用のガイドラインなどを整備します。社内にある程度クラウド活用が広がってきた段階で、CCoEの機能を情報システム部門に取り込み、クラウドガバナンスを実現していく、というのが日本企業に向いているアプローチだと考えています。
日本ビジネスシステムズ株式会社 代表取締役社長 牧田 幸弘氏

2種類のサービス提供で
クラウドDX全体をサポート

桔梗原 その実現に向けてJBSではどのような支援を行っていますか。

牧田 お客様が考えていただくことは2つあります。

 1つは「内製化するべき領域、すなわち差別化領域をどのように内製化するか」。もう1つは「アウトソースするべき領域、つまり非差別化領域をどうアウトソースするか」です。

 この2つの領域に対してJBSはクラウド活用によるDX推進のための支援策を提供しています。1つはCAFをベースにしたプロフェッショナルサービスです。当社のコンサルタントがお客様のCCoEチームに参画し、CAFを活用した内製化による実装支援を行います。このサービスではまずお客様のシステム状況を把握し、ビジネス成果の可視化や成功の定義などを経営層と共有します。そのため最初の段階から、経営層のコミットメントがある状態でプロジェクトを進めることができます。

 もう1つはクラウドマネジメントサービスです。これはクラウドガバナンスのためのサービスであり、ライセンス契約から始まる一連のクラウド活用を、JBSのクラウドサービスが管理します。特定のクラウドプラットフォームだけでは解決できない問題も、多様なクラウドベンダー(ISV)と共に解決していきます。

 こうした一連のサービスを統合したサービス群としてご提供します(図)。プロフェッショナルサービスとクラウドマネジメントサービスを組み合わせることで、DXを推進させるための準備が整います。 桔梗原 これらのサービスを活用した事例はありますか。

牧田 既に数多くのお客様が私たちの支援のもとに、内製化によるDXを成功させています。公開しているものとしては、日本テレビ放送網様が報道番組制作を支援する基幹システムを内製開発した事例や、ベネッセコーポレーション様がテレワーク対応の勤怠管理ツールを2カ月で開発した事例があります。ほかにも製造業や研究機関などの事例があります。JBSは前述のクラウドサービスに加えて、多様な業種業態におけるシステム開発の実績があります。これにより、お客様に最適なクラウドシステムをご提案できるのです。

桔梗原 それも御社の大きな強みですね。

牧田 このように数多くの事例が立ち上がっていけば、世の中全体の空気も変わってくるはずです。「それならばうちでもやってみたい」という企業は、これからさらに増えていくでしょう。これまで「デジタル人材がいないのでDXは無理」と考えていた経営者も、その考え方が変わっていくのではないでしょうか。

 事業会社が自社でデジタル化を進めない限りDXは成功しません。そのための人材は社内に必ず存在します。私たちはクラウドインテグレーターとして社内のデジタル人材を育成し、デジタル活用の内製化を図り、企業のDXの実現に伴走していきたいと考えています。
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