攻めと守り 変革オーケストレーター Powered by KPMGコンサルティング

写真:山根 慶太氏、東 亘平氏、本下 雄一郎氏、和田 智氏

vol5 DX、共創モデル、ESG 新たなビジネスを創出してきたOutpacerが描くべき展望とは

他の業界をリードする形で多様なテクノロジーを生み出し、新たなビジネスを次々と創出するTMT(テクノロジー・メディア・通信)産業。そうしたOutpacer(先駆者)である産業群であっても、DXの推進や共創モデルの構築、ESG対応などに関して、乗り越えるべき課題は山積している。KPMGコンサルティングTMTセクターの担当者たちが、現状と打開策について語る。

XaaSへのシフトには
多方面にわたる準備が伴う

写真:KPMGコンサルティング 執行役員 パートナー 山根 慶太氏

KPMGコンサルティング
執行役員 パートナー

山根 慶太

「TMT企業は自らテクノロジーによって改善、改革しなければならず、一方でその技術によって他の産業の発展も支えるという2面的な特徴を持っています」と語るのは、KPMGコンサルティングのTMTセクターを統括する山根慶太氏である。

それぞれが変革のために取り組むべき課題は多岐にわたるが、「XaaS化(サービスのクラウド化・サブスクリプション化)への対応や、それに伴うコーペティション(共創と競争)の関係づくり、ESGへの対応など、共通する課題も多いです」(山根氏)。

ビジネスがXaaSにシフトすると、顧客の感動体験、サービスアクセシビリティー、収益モデルや組織構造、サプライチェーンなども、がらりと変えなければならない。山根氏は「ビジネスを変革してユーザーの利便性を高めるには、多方面にわたる準備が必要です」と指摘する。

以下、産業が乗り越えるべき課題について、DX推進、共創モデルの構築、ESG対応の3つの視点から見ていく。

DX

テクノロジー企業は
デジタルツインで競争力を高めよ

写真:KPMGコンサルティング アソシエイトパートナー 東 亘平氏

KPMGコンサルティング
アソシエイトパートナー

東 亘平

KPMGコンサルティングが定義する「テクノロジー企業」とは、社会や産業のDXを支援する技術、ソリューションなどを提供する企業群である。全産業の中で、最もテクノロジードリブンな事業を展開しているセクターと言えるが、「欧米や中国のテクノロジー企業と比べると、デジタル技術の応用やサービスのデジタル化はかなり遅れています」と語るのは、東亘平氏である。

とはいえ、日本のテクノロジー企業は“モノづくりの現場”などをデジタル技術で支援するソリューションに強みがある。東氏は、「あらゆる装置や設備がインターネットでつながり、稼働状況などのデータがリアルタイムに収集できるようになっています。そのデータを基に現場の状況を仮想空間に再現し、AI分析によって効率化を図るデジタルツインなどの技術をもっと磨いていき、産業全体でサイバー空間にエコシステムを形成していくことが、日本のテクノロジー企業の勝ち筋と言えるかもしれません」と提言する。

現場の状況を感知、監視するセンサーなどのデバイス群はコモディティー化が進んでおり、デジタルツインを安価に構築できる環境は整っている。「実際、町工場レベルの中小企業が構築する事例も増えているので、大手テクノロジー企業がより高次元のソリューションを提供できるチャンスは大きいと言えます。問題は、そうしたソリューションが生み出せる人材をいかに育て上げるか。当社は、テクノロジー企業のビジネス創出から人材育成まで、トータルに支援します」(東氏)。

共創モデル

Web3.0へのシフトは
メガプラットフォーマーとの共創チャンス

写真:KPMGコンサルティング アソシエイトパートナー 本下 雄一郎氏

KPMGコンサルティング
アソシエイトパートナー

本下 雄一郎

GAFAMに代表される世界のメガプラットフォーマーは、社会や産業全般にわたる圧倒的な情報量を強みとして、多面的なサービスを提供している。「日本のテクノロジー企業が今から同じ土俵で戦おうとしても勝ち目はありません。日本企業には技術開発力があるので、その強みを生かしながら、彼らといかに共創していくかを考えるべきだと思います」と語るのは、本下雄一郎氏である。

本下氏が着目しているのは、ひと握りのメガプラットフォーマーがあらゆる情報を独占しているWeb2.0の時代から、個人ごとにデータを所有するようになるWeb3.0時代への転換である。「中央集権型のデータ所有から分散型に変わることで、メガプラットフォーマーの地位は相対的に低下します。変化の中で生き抜くため、メガプラットフォーマーは、より魅力的なサービスコンテンツを提供しなければならなくなる、そこに日本のテクノロジー企業の勝機があると見ています」(本下氏)。

例えば、日本のテクノロジー企業が得意とするセンサー技術と、メガプラットフォーマーのクラウドやAIの技術を融合させれば、産業現場だけでなく、社会や生活の課題を解決できる革新的なサービスコンテンツを生み出せる可能性がある。「データトランザクションが飛躍的に大容量となるWeb3.0の世界では、大量のデータを瞬時にやり取りできる技術を裏付けとするサービスがもてはやされるはずです。そうしたサービス提供の機会をつかむために、共創の輪を広げていくことが求められています」と本下氏は語る。

ESG

産業ごとに異なる課題
独自のマテリアリティー策定を

写真:KPMGコンサルティング アソシエイトパートナー 和田 智氏

KPMGコンサルティング
アソシエイトパートナー

和田 智

ESGへの取り組みも、テクノロジー、メディア、通信の3つの産業にとって大きな課題である。ただし「フォーカスすべき重点課題は産業ごとに異なります。企業ごとにも特有の課題があるので、いかに独自のマテリアリティー(重点課題)を特定するかが重要となります」と語るのは和田智氏である。

テクノロジー産業においては、気候変動対応におけるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)準拠対応が喫緊の課題だと和田氏は指摘する。「東京証券取引所プライム市場の要件となっているので開示対応は進むと思いますが、施策の検討や効果の定量化、進捗状況の把握など、実際の取り組みをどのように進めていくかが問われています」(和田氏)。

メディア産業の大きな課題は、人的資本をいかに充実させ、多様化を図るかである。「クリエーティビティーが競争の源泉となっている産業なので、コーポレートガバナンスコードで要求される開示に対応するだけでなく、コンテンツの競争力を高める意味でも多様な人材の獲得が求められています」と和田氏は語る。

一方、通信産業は、もともと電力消費の多いビジネスであることから、省エネ製品の採用や調達電力のグリーン化など、環境負荷対応には早い段階から取り組んできた。

和田氏は、「他方で、2030年までにCO2排出量のネットゼロ達成という高い目標を達成するには、PUE(Power Usage Effectiveness:空調・電源など、情報通信機器を除いた施設部分の電力使用効率)の向上や、使用電力の再生可能エネルギー化など、さらなる努力が求められます」と指摘した。

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