成長戦略実現のため、デジタル人材を獲得する動きが加速している。そのために多くの企業が人材育成や採用、人事制度刷新に取り組んでいるが、思うような結果につながっていない企業も少なくない。
育成現場でも様々な施策に取り組んでいるが、個々の施策が有機的につながっておらず、単発・場当たり的な取り組みになっていることも多い。「かといって、デジタル人材の確保が待ったなしの状況では、すべてを完璧に計画してから育成に着手するのでは間に合いません」とアクセンチュアの本徳亜矢子氏は指摘する。また、従来型の研修やOJTの延長線上では、継続的にビジネスに貢献できるデジタル人材の育成は難しい。加えて、組織の運営やカルチャーまで踏み込まなければ一過性の取り組みになってしまう。
デジタル人材育成プログラム
「DX University」の4Dサイクル
デジタル人材・組織の創出において企業が抱えがちな悩みは、「研修」「ON&OFF」「モチベーション」「キャリア」「カルチャー」「データ」の6つに大別できるという。アクセンチュアでは、それらの悩みを解消するため30の施策を定義している。「各施策は難しいものではありません。全体感を持ち、施策間で意味のあるつながりと整合性を持った形で設計していくことが重要です」と本徳氏は説明する。
この施策を踏まえて、さらに多数の支援実績と社内での育成ノウハウを体系化して、デジタル人材育成の方法論・サービスとして提供しているプログラムが「DX University」である。その特徴は、「Define(人材定義)」「Discover(評価・採用・選抜)」「Develop(人材育成)」「Deploy(適正配置・モニタ)」の「4Dサイクル」。研修から入りがちな人材育成であるが、DX Universityではまずは人材定義からスタートする。経営・事業戦略と事業成果にも結びついている。
企業のあるべき姿を基に必要な人材の定義ができたら、人材別のスキルアセスメントを実行。業務シーンやDX案件フェーズを踏まえた実践講座、実案件を教材としたワークショップを実施する。そしてDX案件に身を置き、実践を通じてスキルを磨き上げていく。
「まずは自社のデジタル人材の育成の状況を客観的・定量的に振り返り、必要に応じて見直し、今後も随時アップデートできるような仕組みに磨き上げることが重要です」と本徳氏は締めくくった。