日経ビジネス電子版 Special
4社協業で、三島市・裾野市・長泉町での実証を開始

利便性向上と地域活性化を目指す
新しい移動のあり方

地方都市の課題である公共交通基盤の脆弱さを克服し、住民が暮らしやすく、観光客も旅行しやすい「新しい移動のあり方」を目指す実証が静岡県三島市、裾野市、長泉町の2市1町で始動する。その概要と方向性について、三島市の豊岡武士市長、実証に参加する日本オラクル 常務執行役員の永椎裕章氏に、日経BP執行役員の伊藤暢人が聞いた。

2市1町の広域連携で
6つの地域課題の解決を目指す

伊藤 三島市と裾野市、長泉町は、2021年8月に「富士山南東スマートフロンティア推進協議会」を設置されていますね。地方自治体による広域連携の一つだと思いますが、どのような目的で設置されたのでしょうか。

三島市長
豊岡武士

1943年生まれ、三島市出身。66年日本獣医畜産大学卒業(獣医師)、同年静岡県職員、農畜産行政をはじめ消費生活課課長補佐、緊急防災支援室長(初代)を歴任。98年三島市企画調整部長、99年静岡県議会議員(3期)、2010年三島市長に当選し、現在3期目。

日本オラクル株式会社
常務執行役員
ストラテジック・クライアント営業統括
永椎裕章

2001年5月日本オラクル株式会社入社。トヨタ営業部長、通信・メディア・公益営業部長、中部西日本営業本部長、トヨタ キーアカウント ディレクターを経て、16年7月より執行役員。19年6月より、常務執行役員 ストラテジック・クライアント営業統括。

豊岡 2市1町は、もともと富士山南東消防組合を設置して、防災面における広域連携を図ってきました。その枠組みをさらに広げ、少子・高齢化や行政のデジタル化など、様々な地域課題の解決に向けて広域連携による取り組みを進めるとともに、民間事業者との連携や先進技術の活用などを検討するため、各首長を構成員とする「富士山南東スマートフロンティア推進協議会」を設置しました。

 それぞれの市と町の地域資源や主要プロジェクトなどの知見を共有し、世界に発信できる魅力あるエリア形成を目指しています。

伊藤 どのような地域課題の解決を目指しているのでしょうか。

豊岡 移住促進、企業誘致、テレワーク・サテライトオフィス、防災減災、公共交通・MaaS、行政DXの推進という6つのテーマを設定し、それぞれに協議を進めています。

 このうち、公共交通・MaaSについては、日本オラクルなど民間事業者が22年夏ごろから実証を開始する予定です。

伊藤 日本オラクルは、どのような形で実証に参加されているのでしょうか。

永椎 今回の実証には、当社の他、乗換案内サービスを提供するジョルダン、自動運転時代を見据えた高精細地図情報と動的な位置情報を提供するトヨタマップマスター、カーナビゲーションシステムや位置情報サービス・アプリケーションを開発するミックウェアの4社が参加します。

 日本オラクルは、実証で収集される多様かつ大量のデータを、リアルタイムで柔軟に処理できる高性能なデータ処理基盤を提供します。

富士山南東スマートフロンティア推進協議会

三島市、裾野市、長泉町の2市1町が設置した「富士山南東スマートフロンティア推進協議会」。公共交通・MaaSなど6つのテーマを設定し、それぞれの課題解決のために協議を行っている

2022111 発表 日本オラクル Press Releaseより

ジョルダン株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:佐藤 俊和)、株式会社トヨタマップマスター(愛知県名古屋市中村区、代表取締役社長:山田 博之)、株式会社ミックウェア(兵庫県神戸市中央区、代表取締役社長 兼 会長:鳴島 健二)、日本オラクル株式会社(東京都港区、取締役 執行役 社長:三澤 智光)の4社は、交通の利便性向上や観光体験の拡大による地域活性化を目的に、様々な移動手段・サービスを組み合わせた新たなマルチモーダル・データ基盤の構築で協業し、2022年夏ごろから静岡県三島市、裾野市、長泉町エリアで実証を開始する予定です。

三島市・裾野市・長泉町について

三自治体の位置
三島市

東海道新幹線三島駅や東名沼津IC、新東名長泉沼津ICなど、伊豆や富士・箱根・方面への起点となる静岡県東部の交通の要所。古くから宿場町として栄え、随所に史跡や文化芸術も残されている。富士山・箱根の山並み・駿河湾の景観、花と緑も楽しむことができるガーデンシティ。富士山の伏流水が到るところで湧き出る水の都でもある。

裾野市

静岡県東部、富士山の麓に位置する、美しい富士山の見えるまち。トヨタ自動車が中心となって開発する実験都市「Woven City」の整備は現在進行中。先端技術の研究都市でもある。豊かな自然と産業が調和した田園未来都市。東海道新幹線三島駅からは車で約20分。

長泉町

静岡県東部に位置し、北に霊峰富士を仰ぎ南に駿河湾を望む、気候温暖な美しい自然環境に富んだ町。がん治療の最先端技術を誇る県立がんセンターがあり、先端健康産業の集積を目指す「ファルマバレープロジェクト」で、医薬・健康関連企業の誘致を進めている。東海道新幹線三島駅北口に隣接し、徒歩圏に位置する。