日経ビジネス電子版 SPECIAL
special talk 01

デジタル化が実現するものづくりの新しい価値製造業のビジネス変革に挑む
独自DXを始動

PwCコンサルティング Strategy&
× 三菱マテリアル 加工事業カンパニー

真の信頼関係を構築する
トップ3プレーヤーを目指す

中期経営戦略では、「戦略市場での世界トップ3サプライヤー」という目標も掲げられていますね。どういう姿を描いていらっしゃいますか。

現状の4番手に甘んじることなく、確固たる3番以内のプレーヤーになりたいと考えています。我々が指標とするのは、売り上げや利益だけではありません。お客様が困ったときにまず相談したくなるようなサプライヤー、そんな真のパートナーとして認めていただけるようなトップ3になることを目指しています。

気軽に声をかけられるパートナー。ワクワクプロジェクトの成果が最も表れる部分と言えそうですね。世界トップ3サプライヤーを実現するには、サステナビリティの視点も重要となります。近年、サステナビリティの課題を解決しつつ新しい価値を提供することが、世界の多様なステークホルダーから求められるようになってきましたが、その点でも御社はクリーンなものづくりを積極的に推進されていますね。

加工事業カンパニーはもちろん、脱炭素社会の構築に貢献するために三菱マテリアル全体としてもクリーンなものづくりは重要なテーマとなっています。当カンパニーにおいては、超硬合金の主成分であるタングステンカーバイドのリサイクルに力を入れています。2022年度までの計画では、超硬工具製品のリサイクルタングステン原料比率35%を目標値としており、これはすでに達成できています。

さらなる目標も設定されているのでしょうか。

将来的にはリサイクル原料比率を80%にすることを目指しています。地球の資源で一から作るのではなく、使い終わった工具をリサイクルしてまた作るというのが、これからのものづくりの常識となっていくでしょう。

脱炭素社会への貢献は、今後あらゆる企業に求められます。これは各社にとって義務や負担となりますが、他社に先駆けて取り組み、お客様に積極的にアピールしていくことで、自社の差別化や新たな事業機会にもつながるでしょう。現在の自社の強み(ケイパビリティ)と将来的なあるべき姿ややるべきことを突き合わせて、具体的な変革アジェンダとして設定し、対応していくことが非常に重要となると考えます。

図版

DX成功の鍵を握るのは
トップの覚悟とリーダーシップ

世界のトップ3に切り込んでいくためには、デジタル化によるビジネストランスフォーメーションが必要不可欠です。三菱マテリアルは一昨年10月から独自のDX「MMDX」を本格始動されていますね。

当社の「MMDX」は、「『顧客との距離を縮める』を柱にすべての業務プロセスを見直す」「競合の取り組みに追いつき、グローバルで勝っていくための基盤をつくる」など21のDXテーマに基づくデジタル化戦略です。取り組みの発端は2020年4月のDX推進本部発足に遡り、2025年までの6年間の実行計画を策定しています。

会社のあるべき姿を実現するためのDXビジョンを持って設計されているのですね。田中さんがプレジデントを務める加工事業カンパニーでは、「MMDX」に先行して取り組みをスタートされていたそうですね。

21のDXテーマのうちいくつかは当カンパニーですでに検討を始めていたところだったので、「MMDX」の始動はまさに渡りに船でした。

業務プロセスの全体的見直しなどは綿密な計画を立てて実行となると、とても根気のいる取り組みになります。内容は広範にわたるようですが、とくにどのような点に力を入れて進めていらっしゃるのでしょうか。

我々が最も注力しているのは、お客様との接点のさらなるデジタル化を進めることです。お客様から得られる情報や過去の事例などをメンバー間で共有・分析することで、より良いご提案につなげたいと考えています。また将来的には、お客様の生産性向上につながるようなサービスの展開や製品の開発も進めていく予定です。

デジタル化によって加工状況や工具の状態をリアルタイムで確認できれば、切削の最適制御や工具交換時期の予測なども可能になる。いわば、お客様の製造プロセスそのものを切削工具メーカーがサポートしていくという形ですね。これもデジタルだからこそ実現できる提供価値の一つと言えます。こうしたDXを推進した先にある、加工事業カンパニーが理想とする組織の姿はあるのでしょうか。

デジタル化すれば何もかもが解決することはありませんが、少なくともお客様が今抱えている課題や将来への懸念は共有でき、開発にもその視点を入れていくことが我々の使命だと考えています。目指す組織のあり方としては、多彩な人々が様々なアイデアを出し合って、デジタル技術を駆使しながら多くの人を巻き込んで、ワクワクしながらものづくりができるようなカンパニーにしていきたいですね。

デジタルは使うけれども、デジタルありきで考えないという姿勢は、DXにおいて基本的で重要なことです。「MMDX」はその点において、まさに会社のあるべき姿をデジタルを活用して実現することを目指した取り組みですね。大切なのはお客様に対する価値の提供やみんながワクワクできることであって、そのために必要なプロセスとしてDXに取り組まれているということがよく分かりました。

DXを進めていく上で最も重要なのは、トップの覚悟とリーダーシップ。これに尽きます。三菱マテリアルでは、社長の小野以下各事業のプレジデントも「とことんやるぞ」という不退転の決意で臨んでいます。「MMDX」はまだ始まったばかりですが、今後も全社一丸となって改革を進めてまいります。

経営者として覚悟を持つのはとても大切なことです。変革には人やお金の投資も必要で、時には事業が停滞するなど痛みを伴うこともある。たやすくできることではありませんが、それでもやるんだという強い決意が、「ゆるぎない成果」に結実していくのだと思います。このニューノーマルの時代の中でビジネスの変革、成功を成し遂げるには、「信頼」の構築が「ゆるぎない成果」へつながり、それがまた信頼を強めるという好循環が欠かせません。三菱マテリアルのお客様と真摯に向き合う姿勢、DX実現に向けた強い覚悟が、今後持続的に成果を生み出していくことを期待しています。

企業を変革に導く新体制
PwCコンサルティングの
ストラテジーコンサルティング部門

PwCコンサルティング合同会社は2021年10月、ストラテジーコンサルティング部門を新たに強化・拡大し、本格的な活動をスタートした。その特長は、戦略部門の核であるStrategy&と多彩な視点を持つ複数の新チームの連携により、デジタル時代のビジネストランスフォーメーションを戦略の策定から実行まで力強くバックアップする点にある。PwCでは、不確実な時代における企業のニーズが「ゆるぎない成果(Sustained Outcomes)」と「信頼の構築(Trust)」にあると捉え、この2つを重視したクライアント支援を行っていく。中でも「ゆるぎない成果」の実現を加速する戦略コンサルティング部門の拡充には、ビジネス変革に取り組む多くの企業から期待が寄せられている。

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