イーベイ・ジャパン 代表取締役社長 岡田 雅之氏
PROFILE
岡田 雅之 [おかだ・まさゆき]
1997年、日本電信電話株式会社(NTT)に入社。ネット関連事業の立ち上げに携わった後、カリフォルニア大学バークレー校に留学しMBAを取得。その後はアクセンチュアで経営コンサルタント、Appleで極東地域の市場戦略責任者を務め、2017年にeBayに入社。2020年2月に現職に就任。
トレンド情報を活用し
日本が誇る“本物”を
世界に発信していきたい
ピンチをチャンスに変換
クーリエシフトが転機に
1995年にカリフォルニア州サンノゼでeBayが生まれた当初は、主にCtoCビジネスを展開していました。ただ、すでにBtoC領域とCtoC領域の事業比率は大きく逆転しています。今やeBayは、世界中の誰とでも取引できるプラットフォームであり、世界最大級のECマーケットプレイスです。
さらに、2009年にイーベイ・ジャパンを設立する際には、日本法人は輸出にフォーカスすることとなりました。ご存じの通り、eBayは2001年に一度日本に上陸していますが、CtoCプラットフォームを有料で展開するビジネスモデルが馴染まずに一度撤退しています。その反省から、日本の良いものをどんどんアメリカのeBayプラットフォームを通じて売ってもらうことに注力する、輸出専門部隊として再起動したのです。
私がそのプロジェクトに参加した2017年頃は、ハイブランドのハンドバッグや高級時計などのセラーが順調に増えてきていた時期ですね。そもそも日本には偽物が少ないことに加え、ものを大切に使う文化があるので中古品の程度が抜群にいい。日本で使われていたもの、「Used in Japan」は海外においてある種のブランドと認知され始めていたんです。
ところが、新型コロナがその勢いに水を差します。航空機の往来の激減により、日本郵便が国際郵便物の扱いをほぼシャットダウン。このままでは、ほとんどの取引が成立しなくなるという危機的状況だったのですが、幸いなことにUPSやFedEx、DHLといったクーリエ(国際宅配便)とパートナーシップを築くことができました。法人だけでなく個人にも門戸を開いていただき、セラーのクーリエシフトが一気に進んだのです。
セラー激増の鍵となったのは
サプライとデマンドの変化
このことにより、2つの変化が現れます。ひとつは、圧倒的なスピードアップ。東京から出荷した商品が、翌日にはニューヨークに到着しているという状況が生まれました。もうひとつは、重量の制限がなくなったこと。例えばヴィンテージのギターや、車のパーツといった重量のかさむ商品もスムーズに出荷できるようになりました。
さらに、アメリカ政府が緩和財政に舵を切ったことで消費者側のマインドも刺激されました。投資対象となる商品にも目が向けられはじめます。まさか、ポケモンカードがこれほど高値で取引されるようになるとは、数年前には考えてもいませんでした。前年度にめざましい活躍をした日本のセラーに対し各賞の発表をする「eBay Japan Awards※」の結果をご覧いただければ、セールストレンドの遷り変わりは一目瞭然です。
2022年も激動の年でした。2月のウクライナ侵攻、3月から始まったアメリカの利上げ、そして、なんといっても4月から続く円安傾向。円安は、海外のバイヤーが日本市場に目を向けるきっかけとなるのと同時に、越境ECに取り組もうとするセラーのマインドを後押しするトリガーにもなりました。セラー数は、2022年1年間で20%近く伸びています。総取扱高は、この3年で2倍ほどと堅調です。
※https://www.ebay.co.jp/ebayjapan-award/

本物を追求する姿勢の強化が
eBay Japan発展のキーワード
急激に増えたセラーを支援する体制も急ピッチで進めています。まずは、日本語によるサポートを全セラーに開放。もともとは法人向けだったアカウントマネージャーの対象も、徐々に拡大させています。次に「eBay アカデミー for Japan」を2022年12月に開講しました。セラーのレベルや目的にあわせたコンテンツを選択し、eBayツールや機能の使い方を学ぶことができるプログラムを用意しています。
さらに、マーケティング支援についても、今まで以上にさまざまなサービスを提供していきます。3年で約2倍にも拡大した日本市場は、本国のeBayにとっても注目の的。今後、より多くの予算を投下していくのは間違いありません。この1月にeBayアプリがアップデートされ、日本からの販売にも対応したのは、その第一弾といえるでしょう。
日本からもeBayアプリに手軽に出品ができるように!

世界190カ国に展開するeBayは、トレンド情報をどこよりも早く掴むことができます。この情報をセラーの皆様と共有して、良き伴走者として寄り添うだけでなく、将来的には新たな産業を生み出すことにまで関わっていきたいですね。それには、どんな状況になっても、オーセンティシティーを追求していくのが大切だと考えます。ものの真贋に限らず、“本物”にこだわる姿勢をこれからも貫いていきたいと思います。
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