PR
キリン流・CSV経営学
キリン流・CSV経営学

キリン×花王が世界に先駆けた共同研究 心豊かな生活で“健幸”を実現 免疫・肥満という世界的な健康課題に取り組む キリン×花王が世界に先駆けた共同研究 心豊かな生活で“健幸”を実現 免疫・肥満という世界的な健康課題に取り組む

CSV※1パーパスの重要な柱の1つに「健康」を掲げる、キリンホールディングス。
その土台を支えるのが、35年以上の研究実績を誇る「免疫」領域への取り組みだ。
最新の研究発表では、「免疫」と「内臓脂肪」の関わりに新たなエビデンスが示された。
これは、脂肪代謝研究の雄である花王との共同研究により、初めて得られた成果である。
疫学調査を実施するために、両社は和歌山県立医科大学のコホート研究に参画。
産学民のコレクティブインパクト※2により、新しい社会価値の創造を目指す。
本研究の目的と意義、そして共創が生み出す効果について、両社の研究者が熱く語る。

※1 Creating Shared Valueの略。共通価値の創造。
社会的ニーズや社会問題の解決に取り組むことで社会的価値の創出と経済的価値の創出を実現し、成長の次なる推進力にしていくこと。

※2 特定の社会課題を解決するために、企業、自治体、NPOなど様々なプレーヤーがCollective(集合的)に取り組むことで、インパクトの最大化を図る。

免疫研究のキリンと
脂肪代謝研究の花王
両社の強みを掛け合わせた
共同研究を実施

コロナ禍を経て、近年ますます注目されるようになった「免疫」。キリンは、1985年からこの免疫に着目し、研究実績を積み重ねてきた。免疫とは、体をウイルスや細菌から守る防御システムであり、いわばすべての健康の土台となる存在だ。

「免疫という複雑なシステムの中でも、司令塔として重要な役割を果たすのが、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)です。キリンは、世界で初めて※3pDCを活性化できる乳酸菌「L. ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」を発見し、これまでに様々な科学的エビデンスを取得、論文化してきました」と、キリンホールディングス ヘルスサイエンス研究所の堀将太氏は説明する。

※3 ヒトでpDCに働きかけることが世界で初めて論文報告された乳酸菌(PubMed及び医中誌Webの掲載情報に基づく)

キリンホールディングス株式会社
ヘルスサイエンス研究所

堀 将太 氏

L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)と
他の乳酸菌の違い

プラズマ乳酸菌は、免疫の司令塔である
pDCを直接活性化することで、
免疫全体を活性化させることができる

参考:Pharma Medica 35(7):69-74,2017より一部改変

一方、免疫と並ぶ重要な健康課題が、「肥満」である。日本でも2000万人近くがメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)あるいは、予備群とされている。なかでも生活習慣病の元凶となるのが、内臓脂肪型肥満だ。花王は、早くから人が本来持っている代謝に着目し、「内臓脂肪」の改善に役立てるための研究を長年続けている。

「花王は、エネルギー代謝の研究を続けてきました。2004年に実際のヒトの代謝を測定するために、国内では3番目に、民間企業としては世界で初めて「メタボリックチャンバー」を導入。測定データに基づく様々な研究開発を行っています。また非侵襲で内臓脂肪を測定できる医療機器や、内臓脂肪をためにくい食事法である『スマート和食』などのソリューション開発にも力を入れてきました」と語るのは、花王 ヘルス&ウェルネス研究所の大里直樹氏だ。

「免疫」と「代謝」。どちらもヒトの体に備わる機能を研究テーマとし、共に「世界の健康に貢献する」という志を持つ、キリンと花王。両社はそれぞれの領域において健康課題に取り組み、多くの価値を創出してきた。その研究力を結集し、さらなる社会価値の創造を目指して開始されたのが、キリンと花王、そして和歌山県立医科大学の3者で実施する、内臓脂肪と免疫の関連についての共同研究だ。

両社の研究所長が意気投合したことから始まった本プロジェクトは、互いの研究領域に新たな知見をもたらす、画期的なエビデンスの獲得につながった。その研究ストーリーを研究者たち自身の視点から追っていく。

花王株式会社
ヘルス&ウェルネス研究所

大里 直樹 氏

キリン×花王×和歌山県立
医科大コホート
産学民の共同研究で
明らかになった新事実

両社の強みを活かして取り組む研究のテーマは、「感染症に及ぼす内臓脂肪と免疫の関係性」。免疫の中でもとくにpDC活性に注目した内臓脂肪との関連性と、その2つが感染症の罹患に及ぼす影響の検証は、日本初※4の学会発表※5であり、世界でもまだ論文報告されていない※6試みとなる。

※4 2023年11月22日時点 PubMed及び医中誌Webの論文情報・抄録情報において「pDC活性×内臓脂肪×感染症罹患」に関する報告がされていない(ナレッジワイヤ調べ)
※5 第44回日本肥満学会
※6 2023年11月22日時点 PubMed及び医中誌Webの掲載情報において「pDC活性×内臓脂肪×感染症罹患」に関する論文報告がされていない(ナレッジワイヤ調べ)

「共同研究の話が持ち上がった2021年は、コロナ禍まっただ中。当時、肥満の方は感染症にかかると重症化しやすいことが連日報道され、話題となっていました。その原因は、内臓脂肪の蓄積や免疫の司令塔であるpDCの機能低下に関係しているのではないかと考えたのです」(堀氏)

「内臓脂肪と免疫は、世界の人々の健康を脅かす二大課題。この2つの関連性を解明し、感染症予防に役立てることは、医学的にも社会的にも研究価値の高いテーマです。その点で意見が一致し、研究の方向性はすぐに決まりました」(大里氏)

コンセプトは決まっても、実際に研究を開始するまでにはいくつかのハードルがあった。まず疫学調査を行うにあたっては、数百人規模の被験者の血液サンプルや内臓脂肪のデータが必要となる。フィールド選定にはかなりの時間を要した。

今回、その舞台を提供してくれたのが、和歌山県立医科大学である。花王は、以前から同大学主催のコホート研究に参画していた。その縁から、主催者である有田幹雄名誉教授(兼 NPO法人ヘルスプロモーション研究センター 理事長)に相談したところ、本研究に関心を示し賛同してくれたという。結果、和歌山県在住の方を対象に行う「わかやまヘルスプロモーションスタディ」の一環として調査が実施されることとなり、ここに産学民の共同研究が実現した。

調査は、50~55歳の住民223人を対象とした特定健診の場を借りて行われた。事前に受診者の承諾を得たうえで、花王は内臓脂肪面積を測定、キリンは血液を採取し、それぞれのデータや検体を持ち帰った。

「内臓脂肪については、花王さん開発のデバイスによりその場で測定できましたが、血中pDCの解析は簡単ではありませんでした。pDCは、免疫細胞を1000個集めてようやく1個が見つかる程度の希少な細胞だからです。東京に戻ってから1カ月の期間をかけて、ようやくすべての解析を終えることができました」(堀氏)

その結果を両社で共有し、突き合わせたところ、当の研究者自身も驚きを隠せない結果が得られたという。

「内臓脂肪とpDC活性が感染症の罹患と相関するのではないか。そう仮説を立てて始めた研究ですが、実際に調査してみるとその数値は想定以上。内臓脂肪面積が高値で、pDC活性が低値の群では、COVID-19の罹患オッズ比が20倍、インフルエンザを含めた帯域においても19倍高いことがわかったのです」(大里氏)

「肥満と免疫に関連性があることは予想していたものの、それを内臓脂肪とpDC活性にまで絞り込むとここまでの数値になる、というのは大きな発見でした。実際、内臓脂肪を肥満度の指標であるBMI(体格指数)に、pDCを他の免疫細胞に置き換えて解析をすると、感染症の罹患オッズ比は全く上昇しなかったのです。内臓脂肪とpDCこそが肝であることに、あらためて気づかされた瞬間です」(堀氏)

感染症に対する内臓脂肪面積と
pDC活性の高低の相乗効果

内臓脂肪面積値が高く、pDC活性が低い人は、オッズ比で約19~20倍感染症に罹患

内臓脂肪が多く、pDC活性が低下している人は、コロナウイルスへの罹患オッズ比が20倍に跳ね上がることが、共同研究で明らかになった。

本研究によって、免疫(pDC)と内臓脂肪をケアすることの重要性が科学的に示された。今回得られたエビデンスは、キリンが取り組んできた免疫研究と、花王が進めてきた内臓脂肪研究の社会価値を強く裏付けるものといえよう。

「本研究では、感染症にかかりやすい人の特徴を明らかにすることができました。裏を返せば、免疫と内臓脂肪の両方をケアすることが、根本的な感染症対策につながる可能性もあるということです。研究者としては本当にワクワクする刺激的な発見で、この報告にはコホート研究をとりまとめてくださった有田先生も非常に感動されているご様子でした」(堀氏)

「私たちは、いつ新たなウイルスにさらされるかもわからない世界に生きています。COVID-19にしてもインフルエンザにしても、様々に形を変えて何度も流行を繰り返してきました。内臓脂肪とpDCをケアすることは未知の感染症を予防するうえでも重要であり、社会的にも医学的にも価値の高い研究報告ができたと考えています」(大里氏)

2つの得意領域の組み合わせが
健康課題解決の大きな糸口に

互いの研究力の強みを持ち寄り、内臓脂肪とpDC活性を組み合わせた研究を行うことで、感染症対策に寄与する新たな知見を導き出したキリンと花王。この成果は、決して1社だけで得られるものではない。2つの研究領域のパイオニア企業が、共に社会課題の解決に向けて手を取り合ったからこそ実現した、共創の賜物といえよう。

「研究のアイデアは、掛け算から生まれる」と堀氏は言う。「今回でいえば、キリンの免疫と花王さんの内臓脂肪。単にお互いの得意分野であるというだけでなく、この掛け合わせにすごく意味があることが科学的にも実証された、貴重な共同研究となりました」

一方の大里氏も、「キリンさんの免疫研究は以前から気になっていたので、一緒に取り組めたことは本当にうれしい」と語る。

だが、そうはいっても、やはり企業文化の異なる両社が協働するにあたっては、課題もあったのではないだろうか。

「それが全然なかったのです」と大里氏。「当社もキリンさんも、とにかく研究熱心で技術指向型の企業。お互いの社風や企業文化が似ているだけでなく、健康に寄与したいという本質的な理念を共有し、それを真摯に追い続けることができたからこそ、今回のコラボレーションが成功したのだと思います。実際に共同研究を進めていくうちに、両研究所長が意気投合した理由がよくわかりました」(大里氏)

両社に共通するのは、徹底した基礎研究をもとに「科学的エビデンスに根ざしたものづくりで、世界の健康に貢献していく」という強い想いだ。その実直さと確かさは、両社の研究論文の数にも表れている。

「キリンはプラズマ乳酸菌に関する論文を33報、花王さんは茶カテキン関連で133報もの論文を発表されています。基礎研究は必ずしも商品につながるとは限りませんが、これを蓄積していくことが将来のイノベーション創出につながると考えています。大切なのは、重要な健康課題と向き合って愚直に研究を進め、科学と技術の力で解決していくこと。その本質の部分で共感し合えたところも、今回の大きな成果の一つだと思っています」(堀氏)

共同研究をきっかけに、両研究所長が互いの会社で講演を行ったり、研究者同士も親睦を深めたりと、組織の垣根を越えた理想的な共創環境が育まれていったという。もちろん、それぞれの企業にとっても、共創のメリットは大きい。

「企業が新しい領域に踏み出すには、それなりの時間とコストがかかります。その点、免疫に関する知見とソリューションをすでに持っているキリンさんと組むことは、肥満免疫研究を次の段階に進めるうえでも大きなアドバンテージとなる。企業同士のコラボレーションは、世の中の健康課題をよりスピーディーに解決するための鍵だと考えています」(大里氏)

「その領域における実績と知名度も重要です。キリンが得意とする免疫と、花王さんの内臓脂肪を掛け合わせることによって、初めて妥当性をもって互いの領域に踏み込むことができ、商品化した際にも説得力が生まれるのです」(堀氏)

志を共にする地域やパートナーと
コレクティブインパクトを創出

共同研究の立役者は、2つの企業にとどまらない。和歌山県立医科大学も、コホート研究に参加してくれた223人の被験者の方々も、コレクティブインパクトを生み出す大事なプレーヤーだ。

和歌山県立医科大学が2011年から主催する「わかやまヘルスプロモーションスタディ」は、和歌山県の地域住民を対象に、各種疾患の発症に関わる遺伝および環境要因を明らかにすることを目的としたコホート研究。これまでも生活習慣や筋肉量に関するいくつもの論文を発表してきたが、免疫機能に関する研究を実施したのは今回が初めてだ。本研究の測定結果については、キリンと花王の各社から検査レポートとして被験者一人ひとりにフィードバックしているという。

「本研究を機に、内臓脂肪と免疫をケアすることの重要性を認識していただき、地域のみなさまの感染症対策や健康増進に役立ててほしい」と、2人は口をそろえて言う。その先に目指すのは、「感染症にかからない体づくりを通じて、世界の人々を『健幸』にしたい」という両社の切なる願いだ。

両社の強みの掛け算と、誰もやったことのない組み合わせから導き出された今回の新規知見は、学会のみならず市場にも大きなインパクトを与えるに違いない。本研究は、免疫と内臓脂肪の両方をケアすることの意義を、科学的に証明してみせた。この事実が広く認知されれば、セルフケアの考え方や健康食品の選び方もおのずと変わってくるだろう。

キリンと花王は、今後も共同研究を継続していく考えだ。今回の取り組みは、研究者同士が互いにリスペクトし合い、密接なコミュニケーションのもと、課題を共有しながら相互補完することで価値創出に成功した好事例といえる。だが、研究のタネは1つではない。解決すべき健康課題もまだ山積だ。キリングループは、これからも様々な地域やパートナーと共に、健康をはじめとする社会課題の解決を目指していく。