NIKKEI BUSINESS

ストレス社会のニーズに合致し一大旋風を巻き起こす「Yakult(ヤクルト)1000」「Y1000」

驚異的な売り上げで機能性表示食品市場を席巻している
「Yakult(ヤクルト)1000」と「Y1000」。
現代人が抱える悩みに寄り添う2つの機能で、
新たな顧客層を掘り起こす。

※1 ストレスを受けた時に分泌が増えるホルモン物質
※2 ストレス体感調査(VAS<Visual Analogue Scale>)の結果
※3 ノンレムステージ3の睡眠時間
※4 第一周期のデルタパワー(周波数帯域4Hz未満の脳波デルタ波の量)
※5 OSA 睡眠調査票 MA版

「1000」の名を冠する
2つのフラッグシップ

「Y1000」の売れ行きが好調だ。2021年10月の販売開始から売り上げは順調に推移し、24年3月期の販売目標は、実現すれば前期比99.1%増となる1日あたり103万本に設定されている。23年4月に生産能力を拡大したものの、いまだ局所的な品薄が続く状態でこうした強気の数字を打ち出してくるのは、市場からのニーズがさらに高まっていくことを感じてのことだろう。

もちろん、こうした「Y1000」の人気は、先行する「Yakult1000」が築きあげてきたブランドイメージが下地となっている。「Yakult1000」は、ヤクルト本社としては初の機能性表示食品で、一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」と「睡眠の質向上」という2つの機能を打ち出して19年10月に地域限定発売、21年4月に全国発売された。

開発に要した年月は、実に20年にも及ぶ。1999年に発売された「ヤクルト400」のヒット以降も、さらなる研究開発を継続。2000年代に入ると脳腸相関というキーワードが注目されて研究は加速。その過程で、高密度・高菌数の乳酸菌 シロタ株は神経系に作用し、交感神経の高まりを抑制することがわかってきた。乳酸菌 シロタ株を飲むことでストレスが緩和され、ひいては睡眠の質が向上することが臨床試験の結果から明らかになった。乳酸菌 シロタ株のこれらの機能は、長年の研究を経て蓄積したエビデンスに基づいたものなのだ。

商品化されると瞬く間にヒットし、やがて社会現象ともいえるブームとなったのは記憶に新しいところだろう。薬ではなく食品、それも多くの人が幼少期に親しんだ「ヤクルトブランド」によって悩みにアプローチできるという意外性とキャッチーさ、コロナ禍における健康志向の高まりなどが追い風となったことは間違いない。続いて投入された「Y1000」は、さらに多くの人にこれらの機能を提供したいという開発者の思いが込められているのと同時に、新たなセグメントを開拓したいという市場戦略も見える商品だ。

満を持した店頭商品で
顧客層拡大を推し進める

「2つの商品の乳酸菌 シロタ株の密度や中身は基本的に同じものです」と教えてくれたのは、ヤクルト本社開発部の渡邉氏。「容量は『Yakult1000』の100mlに対し『Y1000』が110mlと増量していますが、これは売り場で他製品に埋没してしまうのを防ぐために、容器の全高を高くしたから。1mlあたり10億個の乳酸菌 シロタ株を含む菌密度は変わりません」。

渡邉 治 氏

ヤクルト本社 開発部
研究開発管理課 課長

渡邉 治

ではなぜ、2つの商品を併売するのか。ターゲットは働き盛りのビジネスパーソンだ。ストレスを感じている人の割合が最も多い30~50代(厚生労働省/令和元年版「国民生活基礎調査」)とぴたりと重なる層でもある。男性は約5割、女性では約6割もの人が強いストレスを感じており、まさにストレス大国日本の最前線で多忙な日々を過ごしている。

「宅配専用商品の『Yakult1000』の販売をとおして、『ストレスの緩和』『睡眠の質向上』に対するニーズの高さがわかり、お客さまのライフスタイルに応じて購入・飲用しやすいよう、店頭商品の『Y1000』を発売したのです」と、同社業務部の工藤氏は言う。

工藤 洋介 氏

ヤクルト本社 業務部
企画調査課 担当課長

工藤 洋介

もともと、宅配専用商品として「Yakult1000」を世に出したのは、同社の強みであるヤクルトレディの存在を生かすためだった。まずはヤクルトレディに商品を飲んでもらい、「ストレス緩和」、「睡眠の質向上」の機能をきちんと理解してもらったうえで、商品の特性をお客さまに直接伝える。こうしたアナログなマーケティングがあったからこそ、これまでの「ヤクルト」シリーズにはない新たな価値をスムーズに認めてもらえたし、高めの価格設定にも納得してもらえたのだろう。

誰もが手にしやすい
販売チャンネルを整備

30〜50代のビジネスパーソンは従来、ヤクルトの顧客層のなかではエアポケット的に弱い部分だとされていた。「子どもの頃はよく飲んでいたけど今は……」「甘すぎて苦手」といった声は少なくない。「Yakult1000」「Y1000」には、大人になり、「ヤクルト」から離れてしまった層を掘り起こし、マーケットを底上げする役割も課せられていた。

蓋を開けてみると、販売サイドの予想を大きく上回る販売動向を記録。甘さを抑え、すっきりとした味わいにしたのも功を奏した。販売開始から23年9月までの累計販売本数は約21億本。特筆すべきは、ほかの「ヤクルト」シリーズの販売も好調ということだ。つまり、新規ユーザーを獲得できているということにほかならない。思惑どおりのセグメントにリーチできている証左だろう。さらに20代の若手ビジネスパーソンからの反応も上々だ。

いっときほどの品薄状態は解消され、今後は供給体制がさらに強化される予定。インターネットで注文を受け付けて、自宅などにヤクルトレディが商品をお届けする「ヤクルト届けてネット」での「Yakult1000」新規受け付けも、22年6月から停止していたが23年8月に再開した。

渡邉氏も工藤氏も口をそろえて言うのは「継続して飲み続けるのが大切」ということ。ライフスタイルに合わせた購入方法で「ヤクルト」を手にし、QOLの向上に役立ててみては?

株式会社ヤクルト本社

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