提供:アクセンチュア
「新たな共助」を日本の活路に

地球温暖化や分断化の進展など現代社会が直面する課題は大規模で複雑化している。幅広いステークホルダー(利害関係者)を巻き込みながら、課題解決に取り組み、「社会価値の創出」と「経済成長」を両立させるためには何が必要か。NTTの澤田純会長とアクセンチュアの江川昌史社長が「新たな共助型のモデル」について語り合った。

異なる価値観が共存する
「パラコンシステント」な社会へ

江川

澤田会長とは10年ほどのお付き合いがあり、アクセンチュアが2030年を見据えたイノベーションと未来を考えることを目的に運営する「イノベーション・エグゼクティブ・ボード(IEB)」にも2023年から参加していただいています。毎年2つのテーマを議論しており、23年は「ヘルスケア・医療の未来」と「新たな共助モデル」でした。

日本では古くから「共助」の発想が浸透しています。典型的な共助の例が漁協です。水産資源の保護、物資の供給・漁船のリースなどを通じた運営の効率化、交渉力の強化、災害対応など多岐にわたる役割を担っていました。現代は環境問題のように社会課題が大規模で複雑、グローバルになっており、一企業や一地域だけでは解決できなくなっています。一方、ネットワークの進化により離れた地域同士が1つのコミュニティとして結びつき、共通課題として取り組める環境になりつつあります。幅広い利害関係者がデジタル技術を活用して連携し、共通の社会課題の解決と経済性を両立させるモデルを「新たな共助」と定義しています。

澤田

「新たな共助」という考え方には非常に共感しています。人間そのものは相互依存性の中で生きており、エコシステムやサプライチェーンを考えても、1人では何もできない存在です。環境問題などの世界規模の大きな課題をどう考えていくかが共助のベースになります。

一方、情報通信事業を手掛ける立場から懸念しているのはSNSの特性も相まって、サイバー空間での分断が激しくなっていることです。共通の課題があってもなかなか共有できず、個が確立してその相互関係がうまくいけばいいという西洋哲学的なモデルだけでは足りない時代になってきていると感じています。おのおのが満足できる「環世界」がサイバー空間上に生まれ、細分化され、つながらない世界が増えているのではないかと危惧しています。

澤田 純氏
江川

澤田会長はよく「パラコンシステント(同時実現)」と表現されますが、価値観の異なる者同士が共存しなければならない社会になっています。こうした状況では自らのコミュニティを守るためのモデルができてくる気がします。国内の経済も同様で、例えば日本には約1800の自治体がありますが、生活圏等の単位で数百程度になるよう連携し、地域の社会経済を維持していくという構想があります。地域が互いに違いを認めながらも補完し合うことで経済的に自立を目指す、まさにパラコンシステントのような考え方が生まれてくると思います。

江川 昌史氏
澤田

集まりやすいコミュニティができ、つながることは問題ありませんが、サイバー空間で起きているようなそれぞれが敵対し合う構造にしないことが重要です。

江川

そうですね。価値観の違いは認めつつ、共通するところは皆で取り組むのがいいと思います。

スマートシティ会津若松の地域イノベーション全体像

次世代通信基盤「IOWN」と
スマートシティ会津若松の共通点とは

澤田

今は自分と違うと攻撃的になるケースが多いと感じますが、それを克服していくことが必要です。AかBかだけではなく、どちらでもない、またはAでもBでもあるという多様な選択肢を意識することで互いに認め合うことができるようになり、共存関係が生まれます。それが一つの解であり、新しい共助を支える基本概念ではないでしょうか。

江川

アクセンチュアはグローバル企業であり、海外との価値観の違いを感じることがありますが、違いを尊重し、共通の部分を理解し合うというのは日本人が得意とするところだと思います。我々は福島県会津若松市のスマートシティの取り組みを支援しており、サービスを提供するための共通のデータ基盤として都市OSを整備しています。都市OSの根幹部分はなるべく他の都市と共通なものにしているのですが、これにより、例えば引っ越しに伴う手続きが簡易になり、結果として税金の無駄遣いも抑えられます。一方、都市OS上のアプリケーションは地域の特徴に合わせてカスタマイズするなど、普遍的で変える必要のない協調領域と、地域ごとの特徴を出す競争領域の2つを担保するモデルで取り組んでいます。これは、新しい共助モデルになるプロジェクトの一つと考えています。

澤田

パラコンシステントであり、不易流行ということですね。

IOWN構想の全体像
江川

NTTが推進している次世代通信基盤「IOWN」も新たな共助というべき一大プロジェクトですね。

澤田

IOWNは大容量・高品質でありながら、低遅延で低消費電力の通信ネットワークづくりを目指すプロジェクトであり、この研究開発については新しい共助の一つのモデルといえるかもしれません。我々自身が持つ技術は一部であり、マーケティングからデバイスまで色々な人に入ってもらわないとよい組み合わせができないという考えのもと、米国にフォーラムをつくりました。現在139社に参加いただいており、日本企業は約6割程度です。将来は光半導体やそれを利用した情報通信基盤の標準化に役立ちたいと考えています。オープンな取り組みである一方、商用化の際には個別の企業と秘密保持契約を結んで進めるダブルモデルとなっています。

コラボレーションは日本の強み
利他の精神やゴールの明確化がカギ

澤田

矛盾するようですが共助するためには自助が必要で、さらに利他に動かなければならないと思っています。NTTでは持続可能な社会の基本理念として「Self as We(われわれとしての自己)」を掲げています。自分だけではなく、他の方の幸せも同時に実現する、利他的共存の精神で、まさに共助ということですが、このモデルがまさに今、必要とされているのではないでしょうか。

江川

当社の取り組みから見えてきたのは、共助モデルを実現するにはまず、ゴールや価値観の明確化が必要ということです。協調・競争領域をきちんと線引きし、フリーライダーを排除することも重要です。澤田会長も指摘していましたが、持続性を担保するには自助が必要で、さらにリーダーの継続的なコミットメントも不可欠な要素といえます。

澤田

お話を聞いて「神輿(みこし)」を思い出しました。誰かが手を抜くと傾くし、突出してもいけない。ラグビーのスクラムもそうです。一緒に哲学の研究所を立ち上げた京都大学の出口康夫教授の言葉を借りると「中空」といい、リーダーを中心には置かない形となっています。西洋文明とぶつかる概念ですが、こうした新しいモデルが必要とされているのかもしれません。欧米が行き詰っているから日本モデルというわけではなく、欧米モデルに日本モデルを足していくという考え方が必要だと思います。

江川

こうしたモデルは突き詰めていくと日本が強い領域であり、まだまだビジネスで日本が勝てる部分があると感じます。アクセンチュアも日本ではこうしたやり方を進めており、それが見直されてジャパンモデルを他の国に広げようという話にもなっています。

共助とは自分以外の第三者と組むという点でコラボレーションの力が重要です。ここは日本の得意な分野なので、日本に大きな可能性があるアプローチだと思っています。

澤田 純氏と江川 昌史氏

※2024年3月より日経電子版広告特集にて掲載。
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