
Asana Japan
仕事のための仕事を極小化
ワークマネジメントで「働きがい」の変革を目指す
日本の大手企業の中でも、働き方改革の重要性を認識し、積極的に取り組む事例が増えてきている。彼らは、どのような壁を乗り越え、どのような未来を目指しているのだろうか。日本を代表する企業の働き方DXの最前線を追う。

大手企業のDX事例から見えてくる
働き方のイノベーションを実現するために必要なこと
Asana Japanが日本にオフィスを置いて約5年。この間、多くのお客様に育てられ成長してきました。我々は日本企業の課題に寄り添い、日々の業務に取り組んでいます。同じ思いを持った企業のDX事例を参考に、イノベーションを起こすための働き方を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
革新的な企業であるためには4つのポイントがカギとなる
ワークマネジメントプラットフォーム「Asana(アサナ)」を提供するAsana Japanは、「イノベーションを起こすための働き方とは」と題した、CIOやCDOなどのエグゼクティブを対象とした朝食会を開催。企業のDXリーダーが一堂に会し、グローバルに活躍する日本企業がどのような働き方の変革に取り組んでいるのか、熱心に耳を傾けた。
Asana Japan
ゼネラルマネジャー
立山 東 氏
冒頭、 Asana Japan ゼネラルマネジャーの立山東氏が語ったのは、「革新的な会社」を決定づける4つの特徴についてだ。
無駄な会議や報告のための資料作りなど、仕事のための仕事に時間を取られることなく、社員の能力が最大限に発揮できているか(キャパシティ)。社内の体制が変わっても、知識や技術の継承が実現できているか(レジリエンス)。部分最適化された各部署のツールによって、サイロ化が進み、意思決定のスピードが落ちていないか(ベロシティ)。人と人、業務と業務のつながりだけでなく、企業のゴールと日々の業務のつながりまで意識できているか(コネクション)。この4つのポイントが、革新的な会社であるためのカギとなるという。
「これらすべてを実現できる唯一無二のツールが『Asana』です。今日は、日本を代表する企業の導入事例を通して、皆さんと一緒にイノベーションを起こす働き方に向けた取り組みについて学びたいと思います」と立山氏は挨拶した。
富士通が取り組む改革とOneDigitalでデジタル時代の新たな働き方を創出
続くDXリーダーセッションに登壇したのが、富士通 執行役員 EVP CDXO(兼)CIOの福田譲氏だ。長く外資系企業で働いた後、5年前に富士通に転身した福田氏だが、「日本企業は良いところも多くある一方で、無駄な働き方がある」と指摘する。
富士通
執行役員 EVP
CDXO(兼)CIO
福田 譲 氏
こうした中、同社の「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスを軸に進めているDXプロジェクトが「フジトラ(Fujitsu Transformation)」だ。「事業の変革(CX)」「マネジメントの変革(MX)」「オペレーションの変革(OX)」「人・組織・カルチャーの変革(EX)」の4つを柱として、将来のありたい姿とのギャップを埋めようとしている。「この変革を進める上で、ITという道具をうまく使いながら、『働き方』や『働きがい』を変えていこうとしています」(福田氏)。
富士通では、「Fujitsu Uvance」という事業モデルを立て、注力すべき事業領域を7つに集約。事業ポートフォリオの収斂と成長領域へのシフトを進めている。
「富士通の各部門やグループ会社、海外子会社がそれぞれに頑張る連邦型の経営から、『One Fujitsu』で事業を回すという形に経営ガバナンスを変えようとしています。基幹系システムや営業系システム、人事系システムなど、主要な業務領域のシステムをグローバル・シングル・インスタンスで統一し、経営・業務スタイルをグローバルで競争力のある形へと進化させる取り組みを進めています」(福田氏)
この一環として同社が取り組んでいるのが「OneDigital」だ。定型業務だけでなく、個人が各パソコンで行うような非定型業務も標準化・高度化し、1人当たりの生産性を40%向上させることを目指している。「メールへのエクセル添付コラボレーションに代表される20年前と変わらない働き方をなんとかしたい。Asanaの『仕事のための仕事を最小にする』という考えには、大いに共感しています」と福田氏は語る。
部署や人の垣根を越えてタスクを構造化し、プロジェクトの現状を確認しながらコミュニケーションできることや、先週の出来事をAIがまとめてくれる機能など、Asanaによって『仕事のための仕事』が極小化できることを実感しているという。
当初、パイロット的にいくつかの部署でAsanaを導入したところ、月当たり7~8時間の業務時間の削減に成功。その後全社導入を決め、今では2万5000人もの社員が利用しているという。役員から使うように説得したり、部門ごとに利用状況を可視化し競争を促したりするなど、Asanaを全社に浸透させるべく様々な取り組みを実施した結果だ。「働き方改革を実現できるかどうかは、我々がどのようなリーダーシップを発揮するかにかかっているのです」と最後に福田氏は語りかけた。
カナデビアのDX戦略とデジタルに対する意識変革
カナデビア
取締役
橋爪 宗信 氏
次に登壇したのは、カナデビア(旧社名:日立造船)取締役の橋爪宗信氏だ。同社は140年以上もの歴史を持ち、モノづくりとエンジニアリングを強みとしているが、「我々が提供する付加価値として、デジタルを自分たちの強みにしなければ、今後生きていけないという危機感がありました」と橋爪氏は語る。
そんな中、カナデビアがDX戦略として掲げているのが、生産性向上を目指す「企業DX」、製品サービスの付加価値向上を目指す「事業DX」、そしてそれら支える「DX基盤」の強化という、3つの柱だ。ここで橋爪氏が強調するのは「DX基盤」は内製で構築すべきだという点だ。
「例えば我々が運用するごみ焼却発電施設の制御データの細かな動きを、委託先のエンジニアが理解するのはまず無理でしょう。そうしたデータを、AIやデジタルで自動制御しようとしているのですから、自分たち自身で開発するしかないのです」(橋爪氏)
同社では、現在3つのプラットフォームを運用している。1つ目が「基幹業務システム」だ。これまでバラバラだったシステムを統一し、全面刷新。「仕事を進めるための仕組みが、すべてシステム上で実現できているのは非常に大きな意味があります」と橋爪氏は話す。
2つ目が、運営施設を遠隔で監視する「先端情報技術センター」だ。24時間の監視が可能で、AIを活用したサービス開発にも取り組んでいるという。
そして3つ目が、製品のデータ収集や分析をするIoT基盤「EVOLIoT(エヴォリオット)」だ。これは100%内製で開発したものだという。「我々が目指しているのは、風力発電の自然再生エネルギーを用いて、水電解で水素を作り、ごみ焼却のCO2と触媒反応させた後、それを導管に注入して都市に送るというような世界です。そのためには、すべての事業部で共通したIoT基盤がなければ成立しません」(橋爪氏)。
エンジニアリングの会社であるカナデビアでは、現場の力が非常に強く、かつてのIT部門はそのサポート部門として位置づけられていた。その中で、橋爪氏は「グローバルデジタルカンパニー」になると言い続け、IT部門自らが事業を展開するまでに成長。さらには、事業部側の若手を中心に、デジタルの事業活用を考えさせる研修を徹底的に進め、デジタルに対する意識の変革を促してきた。
「この6年で、若手のDXリーダーが育ってきていると感じています。事業部側の社員にも『我々はデジタル企業になる』という気持ちを持ってもらうことが重要です」(橋爪氏)
このような気運の高まりとともに、DX基盤のさらなる充実を図るべくAsana導入も推進しており、現在、IT部門の200人ほどが利用しているという。「まずは組織単位で始めて、今後、他部門の仲間を増やしていく計画です。Asanaにも協力してもらい、事業部や工場の社員にも興味を持ってもらえるような取り組みを進めています」(橋爪氏)。
働き方改革の新たなきっかけが生まれることに期待
最後に、立山氏と登壇者2人による鼎談が行われた。立山氏の「働き方の改革に対する壁を感じたか」という質問に対し、福田氏は「ITの会社でありながら、感じるものはありました。今までのやり方が心地良いと感じる人は多いでしょう」と語った。また、橋爪氏は「かつては、ITは固定費で削減すべきものだと考えられていました。時間はかかりましたが、今では理解してくれる人が増えてきていると感じます」と回答した。
次に立山氏が指摘したのは、「トップダウンとボトムアップのバランスの難しさ」だ。これに対し福田氏は「両方必要ですが、上司が使えば自分も使うという社員の声をよく聞きます。役職の上の人から順番に使ってもらうように働きかけることは有効でしょう」と答えた。橋爪氏は「当社の場合は、トップダウンでなければAsanaの導入は難しかったでしょう。トップダウンでボトムを引き上げるような形になると思います」と語った。

イベントの締めくくりには、参加者同士によるネットワーキングも実施。会場の各所で活発な議論が繰り広げられ、多くのリーダーが、働き方改革に向けた貴重な示唆を得た様子がうかがえた。日本企業の働き方改革の新たなきっかけが、ここから生まれることに期待したい。


