鼎談◆デジタルテクノロジーを活用した事業変革 | 成功に導くカギは何か

※1 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー ※2 チーフ・デジタル・インフォメーション・オフィサー
今年で創業50周年を迎えたアフラック生命保険(以下、アフラック)は、デジタルテクノロジーの積極的な活用で、さらなる「感動的なユーザー体験の創出」に努めている。DX推進で業界をリードする同社を、10年以上にわたってサポートしているベイカレントと、DXやそれにひも付く事業変革の要諦などについて3人が意見を交わした。(文中敬称略)

ベイカレント 北風 アフラックさんは、新たな長期経営ビジョンとして「“『生きる』を創る”ことで新たな共有価値を創造する」を策定されており、既にデジタルテクノロジーを活用した事業変革にも取り組んでいますね。
アフラック 二見 がん保険や医療保険などの提供に加えて、今後は新たな領域でもお客様へ価値を提供し、お客様の「『生きる』を創る」をトータルにサポートしていくつもりです。それにはデジタルテクノロジーの活用は重要で、事業変革もしっかり実行していく必要があります。
ベイカレント 杉山 ここ数年で特に取り組んでいることは何でしょうか。
二見 事業変革の一環として昨年から取り組んでいるのが、様々なデジタルテクノロジーを活用した保険契約管理業務の抜本的な再構築です。目的の1つは「感動的なユーザー体験の創出」です。例えば、保険金の請求手続きにおいて、デジタルツールを活用することで請求手続きを簡素化します。申請して即座に保険金や給付金が振り込まれれば、さらに感動的な体験になります。
2つ目は「事業費の大幅な削減」です。データトランザクションや処理が増加したからといって人員を増やすのではなく、決められたリソースの中で効率的に業務を遂行していくということです。
そして3つ目が「業務継続能力の向上」です。保険金や給付金のお支払いはもちろん、どんな状況でも保険会社の業務を確実に継続し、常に保険会社としての使命を果たすことです。他には、生成AIを活用したデジタルヒューマンアバターの開発に取り組んでいます。現在、コンタクトセンターのオペレーターが行っている業務のうち、標準的な応対はできるだけ自動化し、アバターがオペレーターとして24時間365日、人と会話しているかのようにお客様対応ができることを目指しています。一方で、人による対応が必要な方に対しては、実際のオペレーターがお一人おひとりに寄り添った対応をしてまいります。
「デジタルと人の力」のハイブリッド

杉山 昨今、DXに取り組んではいるものの、導入や浸透に苦労されている企業も少なくありません。成功するためのポイントは何だとお考えですか。
二見 当社も様々な壁や課題にぶつかりながらやっています(笑)。私が思うに、DXで重要なのはデジタルの「D」ではなく、むしろ「X」であるトランスフォーメーション、つまり変革ではないでしょうか。
具体的には「組織を変える」「業務プロセスを変える」「人の配置を変える」「ツールを変える」という4つの変革をポイントにしていて、このすべてが変わらないと変革ではないと考えています。というのも、デジタルツール導入やシステム構築が貢献できるのは全体の2~3割に過ぎず、組織や仕事のやり方の変革、新しい仕事の形の設計が変革の6~7割を占めると思っているからです。
さらに重要なのが「チェンジマネジメント」です。物事を考えたり実行したりするのは人です。社員が目標や方向性、自分に求められていることを理解して腑(ふ)に落ちていなければ、「やらされ感」が残ります。エンゲージメントを高めるためには、同じ目線でコミュニケーションを重ねることが重要ではないでしょうか。
杉山 保険は対面営業というリアルな領域もまだまだ残っています。こうしたリアルとデジタルをどのように融合して「ユーザー体験」を高めていくのでしょうか。
二見 保険を選ぶ際、多くの人はネットで検索・検討します。でも、最後はもう少し人に詳しく聞いてみたいというお客様も少なくありません。だからこそ、「デジタルと人の力のハイブリッド」が必要だと思っています。お客様にとっては、デジタルと向き合っている時も人と接している時も、双方の対応にギャップがあってはいけません。「昼間は営業の人と話をしていたけれど、時間がなくなったからこの続きを夜にしたい」となった場合、人からデジタルへ対応がスムーズに移行され、それが「一貫したユーザー体験」でなければなりません。
パートナーとして互いに認め合う存在

北風 当社ではアフラックさんのようなプロセス変革、いわばOX(オペレーショントランスフォーメーション)の研究をしています。企業によっては非コアと位置づける一部のオペレーションを外部委託しているケースもあると思いますが、こういった外部委託の部分を含むすべてのオペレーションを全体俯瞰(ふかん)で変革していく必要性があると考えています。
OXを進めるにあたり、コスト削減を最優先のKPIとする企業が多いですが、この考え方を見直すべきだと考えています。具体的には、KPIの優先度をスピード、品質、コストの順に変えていく必要があると思います。AIを活用して適正な業務にしていくと、コストの差はなくなっていきます。むしろビジネスのコアであるスピードや品質を重要視しないと、変革は進まないのではないでしょうか。
二見 私も同感です。専門的な技術者でなくてもAIを扱えるようになった結果、AIを適応できる領域が格段に広がり、処理スピードも上がりました。保険金や給付金を迅速にお支払いするような感動的なサービスが提供できれば、結果的に品質向上にもなります。
北風 御社の様々な取り組みに伴走していますので、そうした考え方をブラッシュアップしてさらにお役に立てるように努めます。
二見 ベイカレントさんは、ある時は現場の担当者として奮闘し、ある時は工程をステップバックして俯瞰しながらアドバイスしてくれます。営業やマーケティングの変革でもご協力いただくなど、全方位的なサポートにバリューを感じています。パートナーとして互いがリスペクトし、議論しながら進めていく。それが実現できていると実感しています。
杉山 パートナーと言っていただけるのは、本当にありがたいです。より一層アフラックさんが必要とされる価値を提供できるよう、今後も関係性をさらに深めていければ幸いです。
北風 アフラックさんは最先端のテクノロジーや考え方を取り入れるのが非常に早く、一緒に取り組めるのは本当にありがたいことだと思っています。最後に、今後の抱負をお聞かせください。
二見 当社は「アフラックのコアバリューに基づくCSV経営」がトップから社員まで深く浸透しています。企業理念やブランドプロミス「『生きる』を創る。」を核に、これからも新たな価値を創造し、提供に努めてまいります。

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