電通グループが取り組むDEI(多様性・公平性・包摂性)推進 電通グループが取り組むDEI(多様性・公平性・包摂性)推進
「電通の持ち味はパッションとクリエイティビティ。そこを生かしながら電通らしいDEIを推進していきます。」dentsu Japan チーフ・ダイバーシティ・オフィサー 口羽 敦子 氏 「電通の持ち味はパッションとクリエイティビティ。そこを生かしながら電通らしいDEIを推進していきます。」dentsu Japan チーフ・ダイバーシティ・オフィサー 口羽 敦子 氏
「一番大事なのは、人が目を輝かせながら、生き生きと働けているかどうかです。」dentsu Japan チーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサー 吉羽 優子 氏 「一番大事なのは、人が目を輝かせながら、生き生きと働けているかどうかです。」dentsu Japan チーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサー 吉羽 優子 氏

【dentsu Japanの変革 第3回】電通グループが取り組むDEI 全員活躍で活力あるカルチャーを醸成する 【dentsu Japanの変革 第3回】電通グループが取り組むDEI 全員活躍で活力あるカルチャーを醸成する

国内電通グループ約150社からなるdentsu Japanが、組織のカルチャーを大きく変えようとしている。
社員が生き生きと働ける組織を目指して、DEI(多様性・公平性・包摂性)を推進。
一人ひとりの思いと熱意が発揮されることによって、社内外の人や企業と広くつながり、社会に貢献していく。
「カルチャー醸成」と「DEI推進」をリードする2人のキーパーソンに、取り組みの現在地と展望を訊いた。

聞き手 日経ビジネス発行人 松井健

カルチャーと
ブランディングは表裏一体

2024年1月にチーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサーに就任した吉羽氏が担うミッションは、dentsu Japanのブランディングとカルチャー醸成だ。

「企業ブランディングの体現者は、社員一人ひとりです」と、吉羽氏は言う。社員の思いや熱意が組織のカルチャーとなり、それがブランディングにつながる。社内カルチャーとブランディングは地続きだというのが、吉羽氏の考えだ。「派手な打ち上げ花火だけに頼ることはしません。組織のカルチャーは、地道な対話と行動の積み重ねによって醸成されます」と話す。

dentsu Japan
チーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサー

吉羽 優子

吉羽氏は、「戦略」と「戦術」を分けて考えている。

戦略面では、まだ見ぬ世界を一緒に切り開いていくという電通グループのパーパス「an invitation to the never before.」の下で、顧客企業を含むあらゆるステークホルダーや人とつながりながら、社会にポジティブな価値を創出していく。

戦術面について、吉羽氏は3つのキーワードを挙げた。

1つ目は「空気を変える」だ。例えば、定例会議のメンバーを変える。公開していなかった情報をオープンにする。経営チームが組織の隅々まで出掛けていき、社員の疑問を解消する。人、行動、仕組みを変えることによって、空気が変わっていく。

2つ目は「仕立てを変える」だ。例えば、経営層が現場の社員と話す「タウンホールミーティング」は以前からやっていたが、今年から「オープントーク」に変えた。ラウンドテーブルやパーティー形式など、現場がやりたいような形で自由にやる。経営陣は現場の社員と仕事観からプライベートまで真摯に対話する。

3つ目は「視点を変える」だ。これまで社内向けに行ってきたコミュニケーションを、外部に対しても発信し始めた。社外からの視点が加わることによって、オープンな組織と経営を目指す。

「DEI推進」が活力を生み出す
源泉となる

口羽氏はチーフ・ダイバーシティ・オフィサーとして、DEIの推進に尽力する。dentsu Japanが進めるDEIの目的は、明確だ。「存在意義と競争力の向上です」(口羽氏)。

社会にポジティブな価値を創出し続けるためには、グループ2万3000人の掛け算が必要になる。DEIはこれに不可欠な取り組みであり、競争力の向上にもつながる。

キーワードは「B to B to S」だ。最初のBはdentsu Japanのビジネス、2つ目のBは顧客企業のビジネス、最後のSは社会を示す。様々な企業や人とつながり、自社も他社も良くしながら、社会に貢献していく。

「2万3000人の実践創出」をテーマに、DEI活動はボトムアップを重視して進めている。「電通グループの人財の強みは、これをやりたい!というアイデアと熱意が一人ひとりに内在していること。これを最大限活かしながら社員の心に火を付け、アクションにつなげる仕組みと空気を作るのが、私の使命です」(口羽氏)。

dentsu Japan
チーフ・ダイバーシティ・オフィサー

口羽 敦子

主軸となるのが、「DEIパーク」というアクション創出のための取り組みだ。dentsu Japanの150社から300人ほどのDEIリーダーを選出。DEIリーダーは学びや対話によって自組織の課題を発見し、解決のアクションを設計し、実行するところまでをセットで進める。300人のDEIリーダーが平均80人の自組織を動かせば、2万3000人が何らかのアクションに参加することになる。これを半期ごとにメンバーを入れ替えて実行することで、どんどんアクションが生まれ、磨かれている。

アクションの事例として、「IncluFES(インクルフェス)」がある。パラリンピックを担当してきた社員が特別支援学校を訪れた際、パラリンピックのような競技ができる子どもは全体の1割に満たないことを知った。重い障害がある子どもが多いのだ。そこで当該社員は、より多くの子どもが楽しめる「ハンドサッカー」のイベントを会社に提案。これに賛同したグループ内の12社がリソースを持ち寄り、社外のプレイヤーと協業しながら、東京都多摩市の後援で実現させた。ボトムアップによる多様なDEI活動が、すでに沢山始まっている。

電通 3局合同「みんなで話そうDEI」
電通tempo「みんなの働き方ハンドブック」
電通 第3CRプランニング局「実際どう?アンケート」
電通 スポーツユニット「スポーツ×DEIアクション」

半期ごとに、各組織の現場から様々な
DEIアクションが生まれている(DEIパーク)

人が生き生きと働けているか
目指す価値観はそこにある

今後は、各組織で進んでいる良い取り組みを他組織でも速やかに導入できるような仕組みを強化し、活動を加速化させる。「したい!やりたい!という熱意をもつ社員が多くいる当社グループの場合は、現場を信じて任せる方が、一人ひとりが納得し、確信を持って進められるので成果につながりやすいのです」と口羽氏は話す。

DEIの推進にあたっては、女性管理職比率、男性育休取得率など、目指すべき指標は確かに存在する。数値目標の重要性は認識しつつも、「一番大事なのは、人が目を輝かせながら、生き生きと働けているかどうかです」(吉羽氏)。カルチャーもDEIも、起点は「人」だ。一人ひとりが持てる力を発揮することによって、新たなつながりと価値を生み、日本の活力に貢献したいと語った。

取材を終えて

dentsu Japanは内側からも大きく変わろうとしている。組織カルチャーの変革やDEI推進は、その重要な柱となる。鍵となるのは、現場からのボトムアップだ。社員の思いと働きかけから、DEI領域における様々な取り組みが生まれている。持ち味であるパッションやクリエイティビティを生かした、電通グループらしいDEI推進。これからも、その取り組みに注目したい。

日経ビジネス発行人松井 健