
海外のIT企業にシステム開発や保守・運用を委託する「オフショア開発」の利用が広がる中で、発注者はどの国・地域にオフショア開発を委託しているのか。日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボはオフショア開発の利用実態と今後の計画を浮き彫りにする目的で、昨年に続き2回目となる「オフショア開発に関する調査」を実施した。前回記事はオフショア開発によって得ている成果について取り上げた。今回は現在オフショア開発を委託している国・地域や、今後委託したいと考えている国・地域についてだ。
調査は2025年10月、20〜69歳のビジネスパーソンを対象に実施した(詳細は文末の概要参照)。オフショア開発をどのような国・地域に委託しているのかや、今後どこに委託したい意向を持っているかを確認するための質問を設けた。
現在オフショア開発を利用している人に、委託中の国・地域について複数回答可の形で聞いたところ、首位は「中国」(34.4%)、2位は「ベトナム」(30.5%)、3位は「インド」(28.1%)だった。
1〜3位の順位は昨年と変わらなかったものの、中国が1.9ポイント落としたのに対し、ベトナムは4.6ポイント増、インドは7.4ポイント増となった。昨年は首位と2位以下が10ポイント以上離れていたが、今年は首位中国に対してベトナム、インドが肉薄した形だ。

今後、オフショア開発の発注を検討している国・地域についても複数回答可の形で尋ねた。「インド」と回答した人が最も多く34.8%、「ベトナム」と「中国」が同率2位で31.9%だった。インドの首位は昨年と同じだ。現在の委託先の設問と併せて考えると、今後も中国のポイント減少が続き、近い将来、委託先首位の座をインドかベトナムに譲ることになりそうだ。
今後オフショア開発の発注を検討している国・地域についての設問で興味深かったのが、上位3カ国の顔ぶれは昨年と変わらなかったもののいずれもポイントを落とし、4位以下にポイントを伸ばした国が多くあったことだ。タイは2.0ポイント増やして30.0%、フィリピンは6.8ポイント増やして28.5%、ミャンマーは3.4ポイント増やして15.0%、今回初めて回答を設けた中央アジアも13.5%だった。
この結果は、委託先の国・地域を広げ、さまざまなリスクに対応できる体制を整えたいという意向の表れかもしれない。

先の質問は、国・地域という単位で発注のあり・なしを確認し、今後の発注意向と併せて考えることで、発注先がどのように変化していくかの傾向をつかむためのものだった。これに加えて実際には、「発注は続けるが委託量を増やす、減らす」といった変化が起きている。
この変化をつかむために、現在委託している国・地域別に、今後の発注量の「変化」を聞いた。変化については「増やす」「減らす」「取りやめる」「発注量は変えない」「決まっていない/わからない」の5つの選択肢を設けた。
まず現在のオフショア開発の委託先として最多の回答を集めた中国について見ていく。今後の委託量を「増やす」と答えた人の割合は35.1%。「減らす」が21.6%、「取りやめる」が8.1%だった。「取りやめる」が昨年より3.1ポイント増えたものの、「増やす」も10.1ポイント増えた。先の調査結果と併せて考えると、中国への委託を選ぶ人は減る傾向にあるものの、発注を継続している人の満足度は高いと見られる。
続いて、現在のオフショア開発の委託先として2番目に回答が多かったベトナムだ。今後の委託量を「増やす」と答えた人の割合は38.2%。「減らす」が14.7%、「取りやめる」が5.9%、「発注量は変えない」が35.3%だった。発注量を現在と同等かそれ以上にしようと考える人が7割以上いる計算になる。
最後に、現在のオフショア開発の委託先として3番目に回答が多かったインドについてだ。発注量を「増やす」と答えた人の割合が46.9%、「減らす」が15.6%、「取りやめる」が3.1%だった。昨年同様、「増やす」が4割を超える結果となった。

日経BPのICT(情報通信技術)領域のシンクタンクである総合研究所 イノベーションICTラボは、日本国内におけるオフショア開発の利用実態と今後の計画などを明らかにするために、2回目となる「オフショア開発に関する調査」を実施した。インターネット調査会社マクロミルのモニター会員のうち、20〜69歳のビジネスパーソンを対象とし、Web調査の方法で回答を得た。調査期間は2025年10月10〜15日、有効回答数は284件。