2024年5月24日
経営とDX

複合機向けソフト開発でベトナム委託を拡大
コニカミノルタ、オフショア戦略転換の真意

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吉田洋平=フリーライター

コニカミノルタは複合機向けのソフトなどで海外委託(オフショア開発)を積極活用している。目的は、開発規模の拡大に伴う、リソースの確保だ。従来は中国やインドが主だったが、今後は方針を改め、ベトナムへの委託を拡大する意向だ。同社の経営/DX戦略とオフショア計画の真意に迫る。

コニカミノルタの複合機に搭載されるソフトは「ソースコードが2500万行近くに達している」。同社の武井一上席執行役員オフィス事業本部長はこう明かす。「スマートフォンOSのAndroidの約2倍、F35戦闘機とほぼ同等の規模だ」という。

複合機向けソフトは、アプリケーションや外部インターフェースからなるレイヤー、プリントやスキャンを制御するレイヤーなど、計4レイヤーからなる。「それぞれのレイヤーで多機能化や技術革新が進み、この20年間でソースコードの量は5倍に増えた」(武井氏)。

複合機の市場は日本企業がグローバルで100%近いシェアを持つ。「メード・イン・ジャパン」が競争力を発揮している領域だ。コニカミノルタも150を超える国と地域でビジネスを展開している。

同社の強みの一つが、ハードウエアとソフトを巧みに融合させてきたことだ。長年にわたってハードの力を引き出すためのソフト開発に力を注いでおり、最近はAI(人工知能)やクラウド連携など「最新技術にも対応している」(武井氏)。ソフトは競争力の源泉といえる。付加価値を高めてきた結果として、ソースコードが増え続けているわけだ。

開発規模の増大に対応するため、コニカミノルタが進めてきたのが、国内外のパートナーへの業務委託だ。技術の企画やプロジェクトマネジメントなどをコニカミノルタが担い、搭載機能検討や基本・詳細設計といった高難易度の領域を国内のパートナーに委託。実装やテスト、バグ修正といった低難易度の領域を国外のパートナーに任せてきた。

自社主導で技術資産を把握・保有するためのパートナー戦略

時間をかけて確立してきた体制ではあったが、「最近は様々な課題が生じてきた」と武井氏は明かす。具体的には「複合機担当の社内エンジニア不足」だ。主要なエンジニアを注力分野の画像IoT(Internet of Things)領域に異動させていることが背景にある。エンジニアの定年退職が増えている事情も重なる。

国内のパートナーからのIT人材確保も難しくなっている。複合機全体のシステムアーキテクチャー、複合機搭載機能とAIやクラウド連携機能との相互関連性などコアとなる技術開発を外部リソースに依存するケースもあり、「コア技術が失われる可能性がある」(武井氏)。

このような課題に対応するためにコニカミノルタは、自社主導で技術資産を把握・保有することを狙いとして、最適なパートナー戦略を推進する。

特に力を入れているのが、海外パートナーとの連携強化だ。武井氏は、「単に発注量を増やすだけでなく、これまでよりも難易度が高い領域を任せたい。またAIやクラウド技術なども強化を図る必要がある。そのために今後は体制を見直し、コスト、技術、将来性の観点でベストな委託先を選んでいく」と説明する。

ベトナムへの委託を拡大し、成果を上げる

コニカミノルタはこれまで中国、インド、ベトナムの3カ国の企業に業務を委託し、オフショア開発を進めてきた。今後は、ベトナムへの委託範囲を拡大し、集約する意向だ。

同社は2017年ごろからベトナムへの委託を開始しているが「考え方や価値観が日本人に近く、技術も伸びている。人材確保が容易で、コストも抑えられる」(武井氏)。これまでもインドへの委託分を移転するなどしてきたが、今後はさらに拡大する意向だ。

コニカミノルタはベトナムにおいて、主に同国IT最大手のFPTソフトウェアに業務を委託している。これまで、委託規模が4年間で4倍に拡大するなどの成果が上がっているという。

武井氏はオフショア開発を成功させる最大のポイントについて、「対等の立場で、分からないことを明確にしながら進めるようにすることだ」と強調する。「日本語でのコミュニケーションスキルがあり、課題を解決する意欲が高い技術者を抱える企業と、中長期的な関係を築き、自社製品の競争力強化と価値創出につなげたい」と意欲を見せる。

コニカミノルタ 武井一上席執行役員オフィス事業本部長

※肩書などは2024年3月取材当時のものになります

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