必要なのはマネジメント視点を持つ人材 中長期視点の生成AI活用、成功の極意

株式会社グラファー代表取締役/ 創業者 石井 大地氏
株式会社グラファー代表取締役/ 創業者
石井 大地
東京大学医学部進学後、文学部に転じ卒業。複数社の起業・経営、事業立ち上げ支援、事業開発投資を手掛けたのち、2017年に株式会社グラファーを創業。プロの小説家としての顔も持つ。
生成AIの活用効果を単発的なもので終わらせず、持続させるために重要なのは、中長期的な活用戦略をしっかり考えることだ。 これは決して簡単なことではない。そんな中、大手企業を中心に、多くの企業が活用パートナーに選定しているのがグラファーである。プロダクト、活用伴走支援、研修・人材育成の三位一体型ソリューションで、継続的な成果創出を支援する。その強みや目指すことについて、代表取締役の石井 大地氏に聞いた。

生成AI活用は
マネジメント業務に近い

――日本企業における生成AI活用が加速しています。状況をどのように見ていますか。

石井 私はよく大手企業のお客様と会話しますが、生成AIを活用すること自体に異議を唱える経営者はほぼいない印象です。既に多くの企業が実践的な活用フェーズに入っていると見ています。

 ただ、そこで必ず浮上するのが中長期的な活用戦略の話です。社員数十人規模のスタートアップ企業であれば、経営者が「今日から使う」と宣言すればすぐ始められますが、大手ではそうはいきません。「どの業務に適用するか」「安全性をどう担保するか」「使う人材をどう育てるか」など、様々な問題をクリアするには長い時間がかかります。日進月歩で進化する生成AIと中長期戦略をどう嚙み合わせるかに悩むお客様が多い印象です。

――この問題を解決するために、経営者はどのようなことを意識するべきですか。

石井 考えるべきは人材育成です。十分な人材がいなければ、生成AI活用の成果は単発的なもので終わってしまうでしょう。生成AIの導入と並行して人材育成にも着手することが、中長期的な生成AIの効果創出に向けては不可欠です。

――具体的にはどのような人材が求められるのでしょうか。

石井 まず前提として、生成AI活用で求められるのは「どんな成果を出したいか」というゴールを定め、必要なタスクを定義して指示するマネジメントの視点だと私は考えています。実際、文書作成にしても、プログラムを書かせるにしても、生成AIに対して「正しい指示を出す」必要がありますよね。実は生成AI活用はマネジメント業務にとても近いのです。

 一方、マネジメント経験を持つ人は多くありません。経験がなく、マネジメント視点を持たない社員にいきなり「正しい指示を出せ」といっても難しいでしょう。そのため、マネジメントの視点を持つ社員を一人でも多く育てることが、生成AI活用の成果を上げるためのポイントだと当社は考えています。

プロダクト提供から活用促進
人材育成までを伴走型で支援

――グラファーが提供できる価値、強みとはどのようなものでしょうか。

石井 生成AIの「プロダクト」「活用伴走支援」「研修・人材育成」を三位一体型で提供する「Graffer AI Solution」によって、お客様の取り組みをトータルに支援することが可能です(図)。  まずプロダクトでは、GPT-4oをはじめとするOpenAI社のモデルやGemini、Claudeなどの市場に存在するサービスを網羅的に揃えて選べるようにしています。また、サービスの最新モデルが翌日には反映されたり次々と新機能が出たりするスピードも大きな強みです。さらに、プロンプト不要で生成AIを使えるサービス、大量データの一括処理、企業内データの活用といった拡張サービスも用意することで幅広いユースケースに対応します。

 同時に、生成AIの価値をより引き出すためのサポートを伴走型で提供します。導入前にはプロジェクトのゴール設定、適用業務の選定からポリシー策定、コミュニティの組成、運用・利用拡大を促す各種施策の立案・実施まで、豊富なノウハウを持った当社メンバーがお客様と共に進めます。

 そして研修・人材育成では、マネジメント視点を持つ人材をはじめ、生成AI活用に関わる多様な人材育成をご支援します。具体的には実務担当者から経営層のそれぞれに向けて、企業のフェーズに応じた研修・教育コンテンツ、ワークショップを行っています。これにより、単発プロジェクトで終わらない生成AIの使いこなしと成果創出を後押しします。

――Graffer AI Solutionの導入事例についても教えてください。

石井 大規模な事例としてはリクルート様があります。当初は数十名規模からスタートした生成AI活用が、現在はかなり多くの社員が利用するまで拡大していますが、その過程を当社が伴走型で支援しました。

 多岐にわたる業務で活用されていますが、例えばマーケティング部門では、キャンペーンの結果分析を行う際、担当者が自ら生成AIを使ってSQL文を書いて必要なデータを抽出しています。都度IT部門に依頼しなくて済むようになった結果、分析スピードが大きく向上しました。

 またリクルートでは媒体に掲載する広告の原稿を執筆する作業があるそうなのですが、必要なキーワードから文章を作成する作業に生成AIを活用しています。最終的に人のチェックを必須としているものの、様々な文章が早く作成できることから、経験年数に寄らず原稿作成をすることができ、業務の効率化につながっているようです。

 もう1つ特徴的な事例が、かんぽ生命様です。保険会社では顧客アンケートの結果を集計・分析するためにExcelのマクロを作成したり、書類の文面を法的な観点で推敲したりするといった複雑な業務が日常的に発生します。生成AIによってこれらの業務の負荷を大幅に軽減しています。また、経営層と生成AIの活用拡大を見据えた中長期戦略も一緒に議論しています。

――両事例で、グラファーのメンバーはどのような役目を果たしたのですか。

石井 例えば、どの業務に適用するべきかの提案やアイデア出しに携わったほか、まだ存在しない機能でも活用の価値が見えたら即、プロトタイプをつくって持っていき、お客様と相談、修正を繰り返しながらつくり上げていったこともありました。当然、当社メンバーも生成AIをフル活用していますので、一連の流れはスピード感を持って進めることが可能です。アジャイル型でやりとりを繰り返しながら、より大きな成果創出を目指して取り組んでいます。
株式会社グラファー代表取締役/ 創業者 石井 大地氏

楽しく仕事する喜びを
より多くの人に感じてもらいたい

――グラファーが今後目指すこと、将来展望を教えてください。

石井 私もかつては自らプログラムを書いて開発していました。ただ、日常的に生成AIを使うようになった現在は、コードを書く仕事がほぼなくなり、時間の使い方が大きく変わりました。「お客様にどんな提案を行おうか」「どんなサービスをつくろうか」と考えをめぐらす時間が増えたのです。これは、私にとって非常にワクワクする楽しい時間です。

 やはり人は人と向き合ってこそ楽しく仕事することができ、やりがいを感じられるのだと思います。生成AIのさらなる活用促進をお手伝いすることで、そんな喜びをより多くのお客様に感じていただけたら嬉しいですね。