電通
サステナビリティコンサルティング室
事業推進コンサルティング部長
三笘 亜樹氏
電通
第1ビジネス・
トランスフォーメーション局長
加藤 剛輔氏
企業の広告とマーケティングを支えてきた電通が、その活動範囲を大きく広げている。
広告コミュニケーションで培った生活者の知見とクリエイティビティを活かし、ビジネスや組織の変革をサポートする。
加えて、時代の要請であるサステナビリティ領域の支援にも力を入れる。
この事業をリードするキーパーソン2人に、電通が提供するトランスフォーメーション支援について訊いた。
「トランスフォーメーションの戦略を立てても、しっかりと実行できないことに悩む企業が増えています」と、加藤氏は語る。
すでに多くの企業が、変革のシナリオを持っている。しかし、経営トップがいくら号令をかけても、現場まで浸透せず、従業員が動いてくれない。新たなサービスを始めても、生活者にうまく響かない。実行でつまずき、効果を出せない状況に危機感を持つ企業が増えている。
「従業員や生活者を動かすには、その心理を隠れた部分まで深く分析し、 インサイトに基づいて心に響くアプローチをする必要があります」(加藤氏)

電通 第1ビジネス・トランスフォーメーション局長
加藤 剛輔 氏
人は理屈だけでは動かない。従業員や生活者と同じ目線で戦略を捉え直し、何が課題かを見極める必要がある。それに対して変革がどう機能し、どのようなメリットを提供できるのか。従業員や生活者の視点からポイントを探り、心に響くアプローチを考える必要がある。
そこで重要になるのが「人の心を動かし、行動を変える力」だ。
「電通は、経営や事業活動の場面でも、人の心を動かし、行動を変えるスペシャリストであらねばならないと考えています」(加藤氏)。広告コミュニケーションで培ってきたクリエイティビティを活用して課題を発見し、相手の関心を引き出す。共感を持ってもらい、行動を促す。変革の実効性を飛躍的に向上させ、具体的な成果につながるまで伴走する電通のトランスフォーメーション支援が、多くの企業の信頼を獲得し始めている。
「以前、ある企業に営業組織の変革を頼まれました」(加藤氏)。現場に入って実態を調べると、商品数が増えて多忙になり、営業担当者のモチベーションが下がっていた。業務効率の向上と、顧客提案の品質向上の2つが同時に必要だと考えた。
これを解決するため、まず情報共有プラットフォームを導入し、顧客のインサイトを営業の全メンバーで共有できるようにした。加えて、過去に成功した提案やアイデアを蓄積し、検索可能な形で共有する。
過去のアイデアを再利用して次の提案を早く作れるようになり、業務効率が向上した。同時に、属人的だった営業ノウハウをオープンに共有して誰もが使えるようにし、提案内容の品質向上を図る。顧客のインサイトが蓄積されていけば、新しい商品やサービスの開発にも活かせるようになる。
「さらに重要なことは、組織の価値とエンゲージメントを高めていくことです」(加藤氏)。営業部門は「顧客理解の接点」であり、成長や変革のドライバーとなる存在だと捉え、営業メンバーの一人ひとりが成長を実感できる活動に繋げていく。現場のモチベーションは高まり、組織が活性化した。
クリエイティビティをもって観察すれば、見えなかった課題が見えてくる。課題の発見と解決の両面でクリエイティビティを発揮し、人を動かしている。
企業の変革を支援する中で、サステナビリティ領域に関する相談も増えている。そこで電通は「サステナビリティコンサルティング室」を設置した。
「企業のサステナビリティ担当者と話すと、『従業員の賛同を得られない』という悩みを多く聞きます」と語るのは、三笘氏だ。主な原因は、サステナビリティ活動がビジネスの利益と相反しやすい点にある。

電通 サステナビリティコンサルティング室
事業推進コンサルティング部長
三笘 亜樹 氏
例えば、売り上げの向上を強く期待されている半面、「炭素は出すな」と言われる。まるで「アクセルとブレーキを同時に踏め」と言われているようなものだ。加えて、サステナビリティ活動はコストがかかるため、商品やサービスの価格の上昇につながりやすい。従業員はどうしても売り上げを優先し、サステナビリティ活動に熱心になれない状況がある。
「脱炭素」「サーキュラーエコノミー」「生物多様性」といったキーワードは、理解しづらい。また、法対応などの義務的な活動は進むものの、企業価値の向上につながる活動がうまく進まないという悩みも多い。
そうした企業の支援に入ると、三笘氏はまず「現在地の可視化」から始める。「最初の目線合わせが重要です」(三笘氏)。
サステナビリティ領域で進めているあらゆる施策や活動を集約し、誰もが分かりやすい1枚の絵にまとめて見せる。
「エクセルの数字だけを見ていても、議論はできません。組織間に誤解を生まないよう、当社がコンセプトを絵や言葉で可視化し、目線を合わせながら進めます」(三笘氏)
そこから、法令やガイドラインの順守を中心とする「守りの施策」と、企業の価値や個性につながる「攻めの施策」に分類する。さらに、生活者や社会へのアピール度を勘案し、優先度を変えていく。
「社会の要請に応える『守りの活動』だけになってしまうと、従業員は疲弊し、モチベーションは上がりません。攻めの活動を社会にアピールし、生活者の共感や尊敬を得て、企業のブランド価値が高まる。だからこそ、モチベーションと売り上げの向上につながるのです」(三笘氏)
この流れを作れば、サステナビリティ活動はブレーキでなくアクセルに変わる。どのようなアクションを起こせば、生活者や従業員といったマルチステークホルダーの心に響くのか。電通は、その見極めに長けている。
コンサルティング、クリエイティブ、IT、PRの各リソースを持ち、一気通貫で支援できるのが、電通の強みだ。クラウドベースのプラットフォームを顧客企業のニーズに合わせてカスタマイズし、変革の土台も作れる。
三笘氏は「クリエイティビティをもって顧客企業の本質的な課題を発見し、解決していくのが電通のDNAです」と述べる。あらゆるビジネスで、顧客の期待の上を行く仕事を信条としてきた姿勢は、企業の変革支援にも生きている。
加藤氏は次の3つが電通の強みだと語る。生活者のインサイトを熟知し、活用できること。クリエイティビティで課題を発見し、解決できること。最後まで伴走しながら実行できることだ。
電通には、約1200人のビジネスコンサルタントがいる。「人」の面でも、様々な企業の要請に応える体制が整う。「顧客企業の事業グロースにつながるトランスフォーメーション支援。それこそが電通の目指すところです」と加藤氏は語る。