
多くの国が2050年までの達成を目標とするカーボンニュートラル施策を進めている。しかし、世界のエネルギー移行計画にアジア諸国の意向が反映されているとはいい難い。アジアは、世界の総エネルギー消費量の約50%を占めているにもかかわらず、だ。アジアにおける電力は、約70%が従来型エネルギー源によって賄われており、風力や太陽光による供給は約12%にとどまっている。
移行計画の進行は、大幅に遅れている。例えば電気自動車は、経済的な負担やインフラの問題によって普及が遅れ、世界的な普及率はいまだ4%未満だ。他方、大量輸送や石油化学製品などの巨大産業は、経済的に実行可能な代替案がほとんどないといっていい。先進国はエネルギー移行施策に何兆ドルも投資しているが、世界の石油需要は過去最高を記録し続けており、手頃な価格を維持したままCO2排出量を削減するという国際的な目標に向けた歩みは、遅々として進んでいない。
アラムコ社長のアミン・ナセル氏は、「エネルギー移行では、各国の特性に応じてあらゆる分野の産業発展、気候変動や環境保護といった社会課題を視野に入れ、多元的なアプローチをしていくことが必要だ」と話しており、各国が自国の経済的・環境的条件に合ったエネルギーミックスを開発すべきと訴えている。また、同社テクノロジー・イノベーション部門エグゼクティブ・バイス・プレジデントのアマハッド・アルコウェイター氏は「エネルギー業界全体のコストを抑えたままCO2排出量を低減し、かつ投資利益率を上げていくことが求められている今、新エネルギーと従来型エネルギーの双方に向けた長期的投資を促す移行が望ましい」と提唱している。


もちろん、信頼性が高く誰もが利用できる代替エネルギーの供給は、新たな経済活動の創成と活性化に不可欠だ。そこで現在は、新しいエネルギー源を開拓していくと同時に従来型エネルギーの効率性を高めるために、AIの活用に注目が集まっている。
「信頼性と効率性を高めていくことは、我が社のテクノロジー&イノベーション戦略の根幹」とアルコウェイター氏は話す。同社では、2024年初頭から独自の産業用大規模言語モデル「Aramco MetaBrain」の運用を開始。このAIモデルは、すでに独自かつ膨大なフィールドデータから学習を重ねることで操業を支えており、さらにNVIDIA社の「SuperPOD Cluster」の併用により、複雑な技術的課題にも効率的に取り組めているという。


アラムコが日本に事務所を開設したのは1990年のこと。以来、同社と日本企業との関係は着実に深化している。
日本では、エネルギー需要が増加し続け、より持続可能なエネルギー・ソリューションが求められている。一方サウジアラビアは、産業基盤の多様化を含む大きな経済変革の真っただ中だ。
アルコウェイター氏は、「日本企業との研究開発は、既にアラムコの信頼性と効率性の向上に大きく貢献している」と話す。また、技術サービス部門エグゼクティブ・バイス・プレジデントの
ワイル・アルジャアファリ氏は、「当社が中核事業を成長させポートフォリオの拡大を続けるために、質の高いパートナーシップの構築は不可欠だ。安全と品質に対する高い意識と世界最高水準の卓越したオペレーション能力を有する日本企業は、まさに私たちがパートナーに求める資質を備えている」といい、その言葉からは、日本企業とのパートナーシップに対する期待の大きさがうかがえる。
日本企業とともに低炭素社会の実現に挑み、エネルギーの安定供給の継続を目指すアラムコ。同社と日本企業とのつながりがより広がり強まることで、日本国内はもちろん、世界に向けて新たなエネルギー・ソリューションが発信されることを期待したい。

iktva(In-Kingdom Total Value Add=国内産業奨励)は、サウジアラビアが国内での産業と経済の発展を目指して2015年に開始したプログラム。現地調達の拡大や雇用創出、技術移転と知識共有を通じてサウジアラビアの産業基盤を強化することを目的とし、効率的でレジリエントなサプライチェーンを構築するとともに、サウジアラビアと周辺国を含む地域全体の成長にも寄与している。
同プログラムには既に多くの日本企業が参加しているが、これまでプログラムに参加した企業は、サウジアラビアと周辺地域に見られる顕著な
経済成長の恩恵を受けている。iktvaは、アラムコとのビジネスの入口であることはもちろん、その門をくぐりサウジアラビアに地域本部を設立した企業は、中東のダイナミックに急成長している市場において、新たなビジネスチャンスを得ることができるのだ。
2023年に開催された前回のiktvaフォーラム・展示会には8万人以上が参加。2025年は1月13日〜16日にサウジアラビア東部州の州都ダンマンで開催される。
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