

――改めて、上場インフラファンドの魅力について教えてください。
新田 長期にわたって安定した収益を期待できることが、上場インフラファンドの何よりの魅力だと思います。
出力制御や、新たな制度・ルールの設定といったような不確定要素はありますが、それでも、国が長期にわたって再エネを拡大していくという方針を掲げており、その流れに沿って資産や収益力を安定的に高めていけるという点は、他の投資商品にはない大きなメリットではないでしょうか。
柳澤 投資家の皆様にとって安定した収益・配当は大きな魅力の一つといえますが、再エネの普及に貢献できるという社会的意義も大きいのではないでしょうか。
個人で直接、太陽光発電施設を購入するのは、なかなか難しいと思いますが、上場インフラファンドを通じて、1口数万円から購入できるというのは、非常に大きな魅力だと思います。
市場が創設されて10年足らずで、まだ本源的な事業価値がバリュエーション(投資評価)に十分に反映されていないと思われます。今後正当に評価されるようになれば、投資先としての魅力も増すものと考えます。
永森 再エネの普及は、日本だけでなく世界的に見ても喫緊の課題です。それを持続可能な形で、かつ大規模に普及させていくには、やはり民間資金の活用が欠かせません。我々は、そうした民間資金の受け皿として、非常に重要な役割を果たしていると自負しています。
一方で、国は「貯蓄から投資へ」という流れを加速させようとしています。その一翼を担う投資商品として、上場インフラファンドの魅力を高めていくことは我々の責務です。
松塚 先ほど、柳澤さんから1口数万円から購入できるという話がありましたが、まさにその手軽さこそが上場インフラファンドの魅力だと思いますね。300万円から400万円で環境保護に貢献できる電気自動車以上に、手軽に投資できます。
電気自動車との違いは、情報発信力がまだまだ足りないこと。地球に優しいこと、手軽に貢献できる手段であるということを、我々投資法人や市場を運営する東京証券取引所からしっかり発信していけば、上場インフラファンドの魅力は広く浸透していくと思います。
上場インフラファンド=環境投資というイメージを定着させたいですね。
佐々木 投資商品には、株式や債券などいろいろな種類がありますが、収益が安定していて、安定的に分配金が受け取れる上場インフラファンドは、分散投資の選択肢の一つになり得るのではないでしょうか。
柳澤さんや松塚さんがおっしゃったように、環境保護に貢献できるのも上場インフラファンドの大きな魅力です。太陽光発電というと、環境破壊や近隣からのクレームといったネガティブなイメージを持たれる方もいらっしゃると思いますが、我々は上場銘柄として責任ある運用を行っていますので、安心して投資していただけるのではないかと思います。
――上場インフラファンドの将来性については、非常に気になるところです。その前提として、日本の再生可能エネルギー政策が今後どうなっていくのかが重要なカギを握ると思いますが、どのような見通しですか?
佐々木 政府が2021年10月に閣議決定した「第6次エネルギー基本計画」には、再生可能エネルギーを主力電源化することが盛り込まれ、30年度の再エネによる発電の割合を36~38%にするという目標も掲げられました。22年度の再エネによる発電の割合は約21%ですから、単純計算で約1.8倍です。
その後、AIの急速な普及によるデータセンターの増加や半導体工場の増設など、電力需要はますます高まる一方ですので、今年度、新たに策定される「第7次エネルギー基本計画」では、再エネへの投資が前の計画以上に重視されるのではないかと見ています。
こうしたトレンドを踏まえると、上場インフラファンドの相場も長期的に見て有望だと言えるのではないでしょうか。
将来の需要を考えると再エネ電源の獲得余地はまだまだ大きいと思っていますし、これからも積極的に取得していくつもりです。
松塚 私も、国全体としての再エネ投資は順調に拡大すると見ています。
その中で、上場インフラファンドはどんな役割を発揮できるのか?ということですが、何と言っても資金調達力の大きさが、私募ファンドとの大きな違いではないでしょうか。
再エネによる発電の割合を大幅に増やすとなると、大型の案件に対して資金を供給する機会を増やしていかなければなりません。それが比較的やりやすいのは、公募によって不特定多数の投資家から資金を集められる上場インフラファンドならではの特徴だと言えます。当社は大型物件を中心に取得しているので、とくに強みを発揮できます。
ただし、大型案件を取得しやすくするためには、現行制度をもう少し見直したほうがいいのではないかと思う部分もあります。その点は、今後も関係者と協力してまいりたいと思います。
永森 上場インフラファンドは、厳格な情報開示ルールが設定されている公募金融商品なので、高い透明性を持っています。この点も、多くの投資家の方々に安心して保有していただき、多額の資金調達ができる理由の一つです。
例えば、太陽光発電施設を中古で売買するセカンダリー市場が活況を呈するようになったことで、最近、発電施設の所有者が変わるたびに、周辺住民などに説明会を開くことが義務化されました。
誰が、どのように運営しているのかということをしっかり説明し、住民の皆さんに安心してもらうことが狙いですが、上場インフラファンドは、そうした情報開示を以前から一貫して行っています。
透明性の高い金融商品であるということをもっと広く理解していただければ、さらに市場を拡大していくのではないかと期待しています。
柳澤 再エネ発電を巡っては、FIT(一定の固定価格で20年間電力会社が買い取ることを国が約束する制度)期間が終了すると、上場インフラファンドの収益にも大きな影響が出るのではないか?と心配されている投資家の方もいらっしゃいます。
当投資法人はFITの終了を見据え、市場価格と連動する価格に一定のプレミアムを乗せた価格で売電するFIP(フィード・イン・プレミアム)制度への対応や、個別企業等と直接長期の電力販売契約を締結するコーポレートPPA案件の取得に向けて検討を開始しており、FIT期間終了後も継続的に事業を行っていく方針です。この点については、ぜひ投資家の皆様にご理解いだければと思います。
新田 当社グループもFITの終了を見据えて、FIPやコーポレートPPA、既存の太陽光発電設備の性能を上げて収益力を高めるリパワリング、昼間に作った電力を蓄えて夜間に供給するための蓄電池の設置など、様々な将来戦略を検討しています。
――FIP電源に蓄電池を設置すれば、出力制御で止めなければいけない電気を、制御が解除された時間帯に売れるというメリットがあるそうですね。
新田 いずれにせよ、FITが終わったら、そこで投資法人の運用も終えるといったことは一切考えていません。
先ほど、政府が「第6次エネルギー基本計画」で、再エネによる発電の割合を30年度に約1.8倍にする目標を掲げているという話がありましたが、そのためには、今ある再エネ施設をいかに維持し続けていくかということも重要です。既存の施設をしっかり維持しつつ、新しい資産も積極的に取得していくことを目指しています。
――上場インフラファンドは、15年の市場創設以来、着実に時価総額を増やし、24年7月末時点で1328億円に達しています。
足元では、投資口価格がやや調整していますが、その理由と、今後の見通しについてお聞かせいただけますか?
佐々木 おっしゃる通り、上場インフラファンドの投資口価格は23年12月ごろから徐々に下がり、24年5月から6月にかけて、さらに大きく下がるという調整局面を迎えています。
理由はいくつかありますが、株式市場の活況で、利回り商品である上場インフラファンドやJ-REITから、値上がり益が期待できる株式へと資金が流れたこと、円安の影響で外国株を買う動きが広がったことなどが根底にあると見ています。
新田 23年12月ごろから、金利上昇懸念が続いていたことも、要因の一つでしょうね。利回り商品は、金利が上昇すると、投資口価格が抑えられやすくなる傾向があります。
24年6月に大きく調整したのは、「太陽光パネルのリサイクルを義務化へ」という報道の影響かもしれません。実際には具体的なことは定まっていませんが、オペレーター(発電事業者)の収益が悪化し、投資法人の収益にも悪影響を及ぼしそうだという連想が働いたのではないでしょうか。
柳澤 制度変更や新しいルールが発表されて、投資口価格に一時的な影響を及ぼすことはよくあるものです。
相場が堅調であれば、多少ネガティブな材料が出てもさほど大きな反応はありませんが、しばらく軟調な相場が続いていたために、必要以上の不安を感じてしまった投資家の方が多かったのではないでしょうか。材料が出るタイミングが悪かったと言えるかもしれません。
永森 23年から24年半ばにかけては、ネガティブな話題が相次ぎましたね。例えば、電力の需給バランス調整のため実施される、太陽光発電などの出力制御の増加や、太陽光発電施設の銅線が盗まれる事件などが話題になりました。とくに出力制御の報道は影響が大きかったと見ていますが、政府が対策パッケージを発表するなどの動きもありますから、こうした情報も併せて投資家の方へお伝えしていかなければならないと思っています。
松塚 心配な材料が投資家の不安心理につながり、投資口価格の調整に拍車をかけていることは明らかだと考えられます。
今我々が取り組むべきなのは、上場インフラファンドは、長期的に見ればいかに安定的な収益や、安定的な利回りが得られる投資商品なのかということを、しっかりお伝えしていくこと。将来性に関する情報開示なども、これまで以上にきちんと行っていくべきでしょうね。
――本日はありがとうございました。