次世代の冷凍自動倉庫を開発しニーズに合わせて物流を最適化
社会課題の解決の一環として
物流倉庫のニーズを捉えて参入
取締役副社長
不動産開発事業本部管掌
ロジスティクス事業本部長
杉本 亮 氏
霞ヶ関キャピタルが「その課題を、価値へ。」との経営理念を掲げるのは、創業の地が宮城県だったことと無関係ではない。同社の創業は2011年の東日本大震災から半年後、被災した商業施設の再生ビジネスからのスタートだった。拠点を東京に移してからも、変わらず様々な社会課題の解決を社是としており、物流もそうした中の一つとして着目したと、同社の取締役副社長の杉本亮氏は振り返る。
「物流倉庫事業に参入したのは、EC需要の高まりを受けての物流倉庫不足を解消できないかと考えたから。しかし、2024年問題や冷凍冷蔵倉庫の脱フロンなど、課題は倉庫不足だけではないことを知り、物流施設の新しい価値を提供したいと考えるようになりました」(杉本氏)
同社が展開する物流施設の総称は「LOGI FLAG(ロジフラッグ)」。常温のLOGI FLAG、冷凍冷蔵のLOGI FLAG COLD、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯に対応したLOGI FLAG DRY & COLD、チルド対応が可能なLOGI FLAG Fresh、そして冷凍自動倉庫のLOGI FLAG TECHと、用途によって5種類をラインアップする。
一般的に流通しているマルチテナント型の物流施設は常温タイプが中心だが、同社がLOGI FLAGシリーズで主軸を置くのは冷凍冷蔵倉庫だ。
同社は初期投資を抑えられるマルチテナント型の冷凍冷蔵倉庫の需要の高まりにいち早く応え開発を進めてきた。また、冷凍冷蔵倉庫の冷媒に使われている特定フロンは30年に生産全廃となるため、これにどう対応するかが喫緊の課題となっている中、同社が開発する冷凍冷蔵倉庫はすべてノンフロン型だ。
「現状、業界では代替フロンが主流となっていますが、温室効果が高いという難点があります。当社はより高い付加価値を生むため、温室効果を抑えられる自然冷媒を使ったノンフロン型の冷凍冷蔵倉庫の開発に力を入れています」(杉本氏)
自社で独自の付加価値のある施設を提供できるのは、不動産デベロッパーだからこそ。設計部門を備えているため、スピード感のある開発ができるのも同社の強みになっているという。
DXベンダーとの合弁会社を設立
冷凍自動倉庫で労働環境を改善
冷凍冷蔵倉庫を取り巻く課題は脱フロンだけにとどまらない。食品流通に関わる人にとっては季節ごとの需要の波を考慮する必要があり、冷凍冷蔵倉庫で働く人にとっては労働環境の過酷さは悩みどころだろう。こうした課題に応える次世代型の物流施設と言えるのが、先にも触れた冷凍自動倉庫のLOGI FLAG TECHだ。その第1弾となる「LOGI FLAG TECH 所沢Ⅰ」(埼玉県三芳町)は24年9月に竣工を迎える。
「当施設の特長は、人の代わりに機械が入庫・保管・出庫といった工程を担うことです。まず、マイナス25度という冷凍倉庫特有の過酷な環境で人が作業する必要がなくなりますし、自動化によって業務効率化が進み、トラックの荷待ち時間の削減などのメリットも生まれます」(杉本氏)
自動化するには、そのためのシステムやソフトウエアの開発が必要になる。こうした開発の経験がなかった霞ヶ関キャピタルは、このハードルを克服するために、業界横断的なDX推進の知見を持つSREホールディングスとの合弁会社、X NETWORKを23年11月に設立した。
「ベンダー数社を検討する中で、当社の思いに対して即座に明確な提案を頂けたのがSREホールディングスでした。同じスピード感で対話できる点もありがたかったですし、合弁会社の設立も先方からの提案でしたので、最適なパートナーと出会えたと思います」(杉本氏)
利便性の高いシステムを構築し
期間や量にフレキシブルに対応
取締役本部長
オペレーション企画部部長
宮越 孝 氏
X NETWORKの設立をけん引したのは、ECや物産会社などで物流業務を長年担当した経験を持つ宮越孝氏だ。現在はX NETWORKの取締役本部長に就任している。宮越氏は、「これまでの冷凍倉庫で実現できていなかったことをシステムやサービスの力で形にするのがX NETWORKの使命」と話す。
そんな思いをサービスとして確立させたのが、LOGI FLAG TECHの運営を軸としたフレキシブル型冷凍保管サービス「COLD X NETWORK」だ。貨物の預かりは1日/1パレットから可能で、入出庫の依頼はウェブで完了する。賃貸条件も従来同様のスペース確保型だけでなく、必要な期間に必要なスペースだけを活用する従量課金制を用意したことで、繫忙期のみの活用や倉庫移転時の一時的な保管場所といった使い方もできる。ニーズに応じて冷凍物流の最適化が図れるオンデマンドプラットフォームと言えるだろう。
「非常にフレキシブルで新しいサービスだと自負しています。おせちやクリスマスケーキなどといった季節波動のある冷凍商材の保管はもちろん、スモールビジネスでの活用など、幅広い顧客の課題解決に役立つはずです」と宮越氏は胸を張る。
フレキシブル型冷凍保管サービス「COLD X NETWORK」
最後にCOLD X NETWORKの今後の展望についても聞いた。
「所沢の事例を皮切りに全国展開していくことで、在庫量の平準化を実現できればと思います。加えて全国からデータを蓄積できれば、サプライチェーン全体の需要予測も可能に。さらなる価値を顧客に還元したいと考えています」(宮越氏)
「全国に展開する各拠点をつなぐことは、拠点配置や輸送経路の最適化ももたらします。当社の物流ネットワークと冷凍自動倉庫のノウハウで物流業界の課題解決に貢献できればと思います」(杉本氏)
世の中に新たなものを生み出すことは、付加価値を生むと同時に挑戦でもある。顧客の実現したい未来を見据え挑戦し続ける同社の取り組みに注目だ。

