MUFG×LayerXが挑む
バックオフィスDX
ビジネス現場から
日本生産性向上目指

2024年度からの中期経営計画でスタートアップ支援を重要施策に位置付けている三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)。
金融支援にとどまらず、協業体制の構築を通じて産業育成、イノベーション創出による社会課題解決を目指している。
中でも生産性向上は日本全体が直面する課題といえる。
この課題解決に向けて、MUFG傘下の三菱UFJ銀行が業務提携契約を締結したのがLayerXだ。
「バックオフィスDX」に取り組むLayerXと、MUFGのキーパーソンが、
日本に今求められる取り組みや両社の協業の概要について語り合った。

顧客のバックオフィス業務を効率化し、DXを支援したい

――最初に、MUFGがスタートアップとの共創を強化する背景を聞かせてください。
野呂 スタートアップが持つ技術やアイデアと、MUFGの知見やネットワーク、ソリューションなどを組み合わせることで、金融/非金融を融合した高付加価値のサービスを提供していきたいと考えています。これにより、ビジネス変革に挑戦するお客さまを支援することが社会課題解決のきっかけになり、MUFGが掲げるパーパスである「世界が進むチカラになる。」の実現につながる。そのような考えが事業共創の根底にあります。
株式会社三菱UFJ銀行 執行役員 決済企画部長 兼 デジタル戦略統括部 部長 野呂 崇享氏
株式会社三菱UFJ銀行
執行役員
決済企画部長 兼
デジタル戦略統括部 部長
野呂 崇享
 また、金融機関にとって、ビジネス現場の商流データと金融データのかけ合わせによる新たな価値創造は長年取り組んできたテーマの1つにもなります。スタートアップとの事業共創によって、これまで以上に粒度の細かい、リアルな経営課題の解決に即したデータの利活用ができるようにしたいという狙いもあります。

――今回のLayerXとの業務提携によって注力しているのがバックオフィス業務の効率化です。この領域にフォーカスした理由を教えてください。
野呂 私はこれまで法人のお客さまのDX支援に携わっていました。その際、お客さまからよく聞こえてきたのが、人手不足の問題です。中でもバックオフィスの事務作業には多くの人手がかかっており、この領域の効率化を支援することが日本企業の変革、経営課題の解決に貢献することにつながるという認識を持っていました。

 特に、経費精算や請求書の発行・受取、電子帳簿保存などのお金にまつわる業務には、煩雑な業務プロセスがいまだ数多く残っています。お客さまにはこの領域の業務を大きく効率化していただき、捻出された経営資源を新たなビジネスや価値創造に向けていただければと考え、法人支出管理サービス「バクラク」を有するLayerXと業務提携させていただきました。

商流データと金融データを融合し、新たな価値を生む

――LayerXとしては、今回の業務提携にどのような思いを込めていますか。サービスの概要と併せて教えてください。
福島 当社は「すべての経済活動を、デジタル化する」をミッションに掲げるスタートアップです。請求書処理や経費精算、法人カードなど、法人支出管理に関連する業務を、AIなどのテクノロジーを活用して一本化するバクラクを主要サービスとして展開しています。
株式会社LayerX 代表取締役 CEO 福島 良典氏
株式会社LayerX
代表取締役 CEO
福島 良典
 当社にとっても、今回の業務提携の狙いはまさに商流と金融のデータの融合というところにありました。LayerXはお金にまつわるサービスを展開していますが、当社自身が金融事業者になるにはいろいろなハードルを乗り越える必要があります。そこで、MUFGが持つ金融機能と当社が持つ業務のトランザクションデータ、さらにそれぞれの視点で見たお客さまの課題を共有して融合することで、これまでにない価値を世の中に提供できると考えたのです。協力する部分と競争する部分を明確化した「共創」によって、大手だけでもスタートアップだけでもできないところを互いに補完できればと思います。

「バクラク for MUFG」でバックオフィスDXを支援

――MUFGが多彩な法人支出管理サービスの中からLayerXを選んだ決め手は何だったのでしょうか。
野呂 福島さんがいつもおっしゃっていますが、「お客さまの困りごとに徹底的にフォーカスして業務フローを可視化・改善する」。このアプローチへの共感が大きな決め手になりました。

 日本の企業は、自社の業務フローに強いこだわりを持っています。非常に詳細な上、業界・会社ごとに独自のルールも存在します。これを効率化するには、「システムが人に合わせる」アプローチが不可欠です。

 その点バクラクは、単にAIを活用して業務フローをデジタル化するだけでなく、お客さまの困りごとを抽出し、改善策の提案も行って新たな顧客体験を創造するという考え方をベースとしています。まずはあるべき業務フローを構築した上で効率化するというアプローチは、非常に有効だと感じました。

――業務提携に基づく具体的な取り組みについても教えてください。
野呂 MUFGのDX支援はこれまでビジネスマッチングが中心でした。しかし今後は、LayerXとの協業によって実際のソリューションを提供できるようになります。具体的にはLayerXのソリューションであるバクラクシリーズを「バクラク for MUFG」の名称で(図)、我々のお客さまに対し、三菱UFJ銀行による媒介形式で提供していきます。
バクラク for MUFG
バクラク for MUFG
AIによる文書のデータ化をはじめ、先進機能を備える「バクラク」を三菱UFJ銀行が自社の顧客向けに媒介形式で提供する。経費精算・申請・請求書受取・請求書発行・電子帳簿保存の5つのサービスメニューで、経理業務の“メンドクサイ”を解決する

サービス提供開始後、想定以上の反響を獲得

――スタートアップと大企業の業務提携には困難が伴うかと思いますが、今回の業務提携が順調に開始できた背景について教えてください。
福島 このようなバックオフィスDXの支援に向けた取り組みを進められているのは、両社の経営層がコミットしているからだと思います。当社の経営者である私と、野呂さんをはじめとするMUFGの経営層が直接会話して、様々な取り決めを行いました。特に野呂さんとは、市場の見方やビジネスとの向き合い方に個人的に共感できる点が多く、同じ目線で取り組めていると感じます。

 スタートアップと大企業の提携では、どうしてもスタートアップが受注者、大企業が発注者という関係性になりがちです。今回はそのような状態に陥らず、リスクとリターンを平等にシェアして取り組めている。これが順調に取り組みを進めてこられた要因の1つだと思います。

野呂 おかげさまで、2024年10月から提供開始したバクラク for MUFGは、発表後すぐに想定以上のリードを獲得できました。私が過去に携わった案件の中でも見たことがないくらいの反響で、正直驚いています。

 社内からも「分かりやすく、お客さまに訴求しやすいサービスだ」という声が上がっています。今回のバクラクの提供は、LayerXとの協業のスタートラインに立ったにすぎません。今後、LayerX×MUFGにて、足元の協業を推し進めると同時に、幅広い領域でお客さまのビジネス変革および社会課題の解決に貢献していければと思います。

福島 ありがとうございます。こちらこそ、今後もよろしくお願いします。
LayerXと共に日本全体の生産性向上に貢献していく
LayerXは、高い技術力に加えて、テクノロジーを顧客体験に落とし込んでいく実装力が素晴らしく、それらが当社のお客さまの評価につながっているものと思います。協業を通じて、私たちが学ぶこともたくさんあります。今後も協業の幅を広げながら、日本の社会課題である生産性向上に向けて共に取り組んでいければと思います。
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
取締役
代表執行役社長 グループCEO
亀澤 宏規

対談を終えて

今回の対談を通じて、MUFGのスタートアップ戦略およびバクラク for MUFGを通した法人顧客のバックオフィス業務のDX支援をはじめとするLayerXとの協働に向けたトップ同士の思いを確認できた。MUFG社長の亀澤氏からも大きな期待が注がれている。本業務提携がスタートした2024年は、LayerXおよびMUFG両社にとっての大きな節目となりそうだ。これからも両社の挑戦に注目したい。
お問い合わせ
株式会社LayerX URL:https://layerx.co.jp/contact/