サイバーポートが目指すのは「アナログ・個別最適な手続」を脱却し、「デジタル・全体最適な手続」を実現すること。貨物を輸出入する荷主が紙書類で手続を行えば、物流会社や通関会社などはその内容を自社のシステムに入力する手間を強いられる。また、荷主側も貨物の状況を確認する際は電話・FAX・メールによる問い合わせがなされ、やり取りが煩雑なうえに情報をタイムリーに得ることは難しい。
「サイバーポートを活用して、荷主が登録したデータをすべての関係先が一気通貫で共有するようになれば、内容の再入力やそこで発生しがちだった入力ミスを防止できます。また、荷主は関係先に問い合わせることなく、手配した貨物の状況をシステム上でいつでもすぐに確認できます」と稲田氏は語る。
サイバーポートを通じて、荷主は船積依頼やインボイスなどを物流会社へ共有することができ、対応船社のブッキング情報などが自動で蓄積される。
これまでに行われた実証実験では、コンテナ物流手続が電子化されたことで、書類の作成・送信、データの取得・再入力、問い合わせ等に要する時間が最大60%ほど削減されたという。併せて、電子帳簿保存法に基づく電子取引のデータ保存完全義務化の流れに沿うことも、メリットの1つといえるだろう。
物流手続をデジタル化するプラットフォームは民間企業も提供しているが、なぜ国土交通省がサイバーポートの開発と運用に乗り出したのだろうか。稲田氏は次のように説明する。
「コンテナ物流には多数のプレイヤーがかかわり、プレイヤー間に複雑なルールや慣習が定着しています。そのことが業界全体のDXを遅らせる一因ともなっていたことから、国が規格を標準化したプラットフォームを提供し、荷主が手続を電子化しやすくすることに大きな意義があると考えています。加えて、NACCSや民間プラットフォームとの連携を進め、一気通貫でのデジタル化を実現します」
コンテナ物流にかかわるあらゆる関係者やシステムが安心して参加できるプラットフォームをつくる
――。これが国土交通省の描くサイバーポートのイメージだ。