南海化学株式会社 代表取締役社長執行役員 杉岡 伸也氏
PROFILE
杉岡 伸也〔すぎおか・しんや〕
1966年福岡県生まれ。1990年、三菱商事株式会社入社。2016年、同社化学品グループ 機能化学品本部 合成樹脂部長。2017年、同社リヤード事務所長兼リヤード駐在事務所長。2021年、三菱商事プラスチック株式会社代表取締役社長。2024年4月、南海化学株式会社 執行役員 営業本部長。同年6月より現職。
環境リサイクル事業の
拡大と基礎化学品事業の
収益基盤強化で
サステナブルな明日を創る
当社は1906年に創業し、120年近く事業を続けている基礎化学品メーカーです。事業の中心となる苛性ソーダは、鉄鋼・製紙・化粧品・洗剤・化学工業などのメーカーに供給しています。それ以外にも加工した化学品を農業・食品・建設などの多岐にわたる事業者様へ供給しています。
その上で、培ってきた技術を生かし、半導体製造等で排出される廃硫酸から硫酸を精製する廃硫酸リサイクル事業と、地方自治体から排出される廃棄物(一般焼却飛灰)から塩素分を除去し、セメント原料に再資源化する脱塩事業に注力中です。
今後、このふたつを中心に環境リサイクル事業領域を成長させると共に、事業を通じて環境・社会への貢献も果たしていきます。
東証スタンダード市場への
上場で新たな一歩を踏み出す
2023年4月に当社は東証スタンダード市場への上場を果たしました。
上場した理由としては大きく3つあります。まず、環境リサイクル事業領域の強化と拡大に向けた資金の調達です。今回の上場によって、環境リサイクル事業領域への投資のための資金を得られるようになります。
次が、認知度の向上を通じた優秀な人材の確保です。人材確保が難しい時代のいま、認知度を高め新卒学生を中心に優れた人材の獲得を目指します。そして、人材育成に力を入れるとともに、キャリア採用も積極的に行うことで会社としての成長を図っていきます。
もう一つが社員のモチベーションの向上と経営の透明化、コンプライアンスの強化です。上場により、当社を見る社外の目は確実に変わってきています。その中で、社会的な責任を果たすという社員の意識を高め、ガバナンスを強化し、コンプライアンス意識を高めていきます。
中期経営計画のもと
この3年間で着実な成長を図る
当社は2024年5月、「サステナブルな明日を創る」とのスローガンのもと、2027年3月期までの3年間の中期経営計画を発表しました。その重点施策は、①収益基盤の強化、②環境リサイクル事業領域拡大、③サステナブル経営の推進、の3つです。
基礎化学品事業では、例えば苛性ソーダと水素と硫黄を組み合わせ水硫化ソーダを合成しています。これを原料に製造されるPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂は耐久性があり、軽量化が可能なため、EVの軽量化を図る上で大きな期待が寄せられています。このように、原料の合成、あるいは製品そのものの純度を上げることで、付加価値を高め、収益基盤の強化を図ります。
環境リサイクル事業領域では、国内での半導体生産が拡大する中で、表面処理やエッチングに使われる硫酸が廃硫酸として排出されます。この廃硫酸をリサイクル処理し、再生硫酸や硫化物として市場に供給していきます。
脱塩事業では地方自治体の需要増が見込まれる中、必要な許認可を得て処理設備を増強し、廃棄物(一般焼却飛灰)をセメント原料にする再資源化を促進します(図)。これらの施策を確実に実現していく上で重要なのが人的資本への投資の拡充と持続的な製販体制の強化を通したサステナブル経営の推進です。

環境リサイクル事業領域の拡大イメージ
地場立脚を強みに収益力向上と
環境リサイクル事業の成長を
中期経営計画では2027年3月期の売上高240億円、経常利益率8%を目標にしています。環境リサイクル事業分野の廃硫酸事業と脱塩事業、その他の知見を生かした化学品リサイクル事業の拡大で売上・利益増を実現していきます。
私ですが、当社に今年4月に入社し、6月に社長に就任したところです。入社する前、外からみた南海化学は、和歌山地域の顧客ニーズに対応する地場立脚型の電解メーカーとの認識でした。
入社後、電解基礎製品以外も多くの製品を持ち、また化学工業以外も日用品、食品、農薬、医薬、電子材料等の多岐にわたる業界との接点があること、また様々な取引先様を訪問してわかったのですが、祖業を基軸に医薬や農薬、電子材料関連などに進出し、成長を遂げているお客様も多く、地場立脚の上で高い成長力を持つ多くのお客様に支えられている、恵まれたポジションにあることを実感しました。
今後は、当社の持つこうした強みを生かしながら、収益力を強化し、新たに環境リサイクル事業領域を拡大することで、成長を遂げていきたいと考えています。

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