外部人材活用の広がりの一方で課題も
ビジネスのグローバル化、ITの発展に伴う異業種参入障壁の低下などにより、ひと昔前に比べると企業におけるビジネスの在り方は大きく変化している。新たな価値を有するサービスや製品をスピーディーに創出していかなければ、競争力を維持することはできない。そうした中で重要度が高まっているのが、既存の組織や所属の枠を超えた人材のコラボレーションである。
一方で、現在の企業の現場に目を向けると、生産年齢人口の減少を受けて業界業種を問わず慢性的な人手不足の状況にある。「日常業務をこなすだけで手いっぱいで、組織横断の事業計画に人員を回す余裕がない」「配置転換を行うにしても、そもそも社内人材の絶対数が不足している」といった声が聞こえてくる。
そこで多くの企業が行っているのが、非正規社員や社外パートナーなどの外部人材の活用だ。単に不足している人材の頭数を補うだけでなく、これまで社内になかった知見やノウハウ、発想を取り入れていく上でも意義は大きい。外部人材を含めた総合的な人材活用戦略を立てることが、今後のビジネスを加速し、持続的成長にもつながっていく。
ただし外部人材の活用も容易ではない。外部人材には、リモートワーク主体で活動しているフリーランスや、本業を持ちながら余力時間で業務を請け負っている副業者など、多様な働き方をしている人々が混在しているからだ。こうした外部人材に対して自社の就業規則や組織のルールを強制することはできない。
活動している場所がばらばらで、働き方も異なり、さらには顔見知りでもないメンバー同士が連携しあうのは非常に難しく、コミュニケーション不足に起因した生産性や品質の低下、作業の手戻り、スケジュールの遅延といった問題が起こりがちだ。
チームワークマネジメントとは
上記の課題を解消し、外部人材を含めたチームのパフォーマンスを最大化するにはどうすればよいか。タスク管理ツールなどを提供しているヌーラボが提唱しているのが「チームワークマネジメント」という手法である(図1)。

図1 チームワークマネジメントとは
組織や所属、専門分野が異なるメンバー同士が協働し、目標を効率的かつ効果的に達成するためのプロセスや手法を、ヌーラボでは「チームワークマネジメント」と定義している
チームワークマネジメントとは「チームワーク」と「ワークマネジメント」をかけ合わせた造語である。従来のプロジェクトマネジメントなどトップダウン型のマネジメント手法と異なり、チームワークマネジメントには大きく3つの構成要素がある。
まずは「共通の目標や目的の設定」。共通の目標を持つことでチームは機能する。「逆に言えば、共通の目標を持たない人の集団はグループやコミュニティーであり、私たちが定義する“チーム”とは異なります」とヌーラボの原田 泰裕氏は指摘する。
次に「役割の明確化」。チームのメンバーがそれぞれ明確な役割を持つことで、自分の責任範囲を理解できる。一人ひとりが責任を果たすことでチーム力が生まれ、目標達成に近づく。
そして「リーダーシップ」。ここでいうリーダーとは、チームを統括する1人の役職者を指しているわけではない。各メンバーが周りのほかのメンバーとの間で様々な影響を及ぼし合い、助け合うことで、チームは目標を達成することができるのだ。「メンバー全員がリーダーシップを発揮することが重要であり、それを促すための環境を整えていかなければなりません」と原田氏は語る。

こうしてメンバー全員が目標達成に向けた当事者意識を持つことで、自発的な意見交換や情報共有が起こり、迅速かつ機動的な意思決定ができるようになる。また、一人ひとりのメンバーが、チームへの貢献を実感することでモチベーションも高まっていく。
原田氏は、「多様なバックグラウンドで異なるスキルを磨き、専門知識を身に付けてきたメンバーが協働する中から新たなアイデアが生まれ、かつてないシナジーやイノベーションが起こるのです。結果として『自走するチーム』を実現し、ビジネスの成果につながっていきます」と、チームワークマネジメントが企業にもたらす効果を訴求する。
もっと楽しく仕事ができる仕組みづくり
前述した「共通の目標や目的の設定」「役割の明確化」「リーダーシップ」の3つの構成要素をしっかり押さえたチームワークマネジメントを取り入れ、自走するチームを作っていくためには、具体的にどのような環境を整備する必要があるのだろうか。
基盤となるのは、プロジェクトごとのタスクをオンライン上で一元管理して可視化し、チーム内のコミュニケーションを促進するツールだ。
ビジネスチャットやグループウエアを利用している企業は数多くあるが、これだけでは十分とはいえない。「最初の目標を設定するまでの事前打ち合わせには、ビジネスチャットやグループウエアも有効かもしれません。しかし、プロジェクトが始動して以降、個々のタスクとひも付けたコミュニケーションを行うことができず、マネジメントの抜け漏れが発生するケースが往々にしてあります」と原田氏は指摘する。
そうした現状を踏まえ、ヌーラボが提供しているのが「Backlog」である。そこには、もともとシステムの受託開発を行ってきた同社が長年にわたり蓄積してきたノウハウが反映されている。「こんな仕組みがあれば、もっと楽しくコラボレーションしながら仕事ができるようになる」という思いを体現し、シンプルで直感的な操作性を追求したタスク管理ツールである。
「誰が何をいつまでにやるべきか、タスクの期限や担当者を明らかにするとともに、ガントチャートを使用してプロジェクト全体の進捗状況を可視化します(図2)。また、報告や相談はコメントですぐに連絡・共有することができ、コミュニケーションロスを防いでチームの生産性を向上させます」と原田氏は説明する。

図2 「Backlog」ガントチャートのサンプル画面
チーム全体の進捗状況をひと目で確認できる。各タスクの担当者やスケジュールが明確になり、確認漏れや遅延を防ぐとともに、必要に応じた計画変更や作業負荷の調整も行いやすくなる
さらに特筆すべきは、ゲスト権限で招待するユーザー数に制限がないことである。要するにプロジェクトごとに必要な外部人材を自由に招待することができ、どれだけメンバーが増えたとしてもライセンス費の負担が増える心配はない。
2時間かかっていた
定例ミーティングが30分に
Backlogは実際にどのような場面で活用され、成果を上げているのだろうか。
デジタルコンテンツ制作を手がけるA社は、クライアントや協力会社との協働体制でWebサイトのリニューアル企画を推進するに当たり、Backlogを活用している。A社は当初、Excelを用いてタスク管理表を作成し、1枚のシート上で各タスクの担当者および進捗状況を管理していた。しかし、メンバーが毎回シートを確認しなければならず、加えてシートの更新自体にも手間がかかっていたことから、タスクが中途半端な状態でしか管理できず運用に限界を感じた。
そこでBacklogへの切り替えを決定し、スムーズなタスク管理を実現したのである。期限切れのタスクはアラートが表示されるため、スケジュールの遅れをすぐに察知して対処の意思決定を行うことができる。また、日々の進行管理において特に重宝しているのがガントチャート機能だ。チーム全体のタスクを俯瞰し、担当者ごとの負荷状況もひと目で把握することが可能となった。
複数企業にまたがるメンバー同士の状況確認やスケジュールのすり合わせもタイムリーに行えるようになった結果、毎回2時間ほどかかっていた定例ミーティングが30分で終わるようになり、認識齟齬も解消されたという(図3)。

図3 A社におけるBacklogの導入効果
Backlog活用で、複数企業にまたがるメンバー同士の状況確認やスケジュールのすり合わせがタイムリーに行えるようになり、毎回約2時間かかっていた定例ミーティングが30分で終わるようになった
地域の都市ガス供給を主事業としているB社も、Backlogの活用で大きな成果を上げている。以前は、社外パートナーを含む多岐にわたる関係部署の担当者とExcelやメール、チャットなどでやり取りし、案件を管理していた。しかし、大量のタスクが複雑に絡み合い、「誰が、いつまでに、何を」実施しなければならないのか把握しきれず、情報の交通整理がパンク寸前にあったという。
そこでBacklogを導入したところ、あらゆる情報が集約されたことでコミュニケーションロスが解消され、チーム全体の透明性が高まり、社外メンバーからも好評を得ている。また、各タスクの一覧や進捗状況も1つの画面で可視化されたことで、メンバー全員が常にチーム全体のタスクを把握しながら、タスクの漏れや重複を防ぎ、業務をスムーズに進められるようになった。
「複数のプロジェクトを同時並行で進めたり、プロジェクトが大規模化したりする中では、関わるメンバーが大人数になり、発生するタスクは膨大な量となります。Backlogを用いれば、それらのタスク一つひとつを漏れなく管理してスムーズな進捗を支援し、メンバー全員に楽しく仕事ができる環境を提供することができます」(原田氏)
ヌーラボでは、今回紹介したBacklogのほかにも、簡単にきれいに図が描けるオンライン作図ツール「Cacoo」や、BacklogとCacooのアカウントをより安全に管理する「Nulab Pass」といったサービスも取りそろえており、チームワークマネジメントを実現することでチームの協働が促進するよう、後押ししていく考えだ。


