――今回の実証実験では、店舗のPOSデータなどを分析したレポートを開発しました。リディッシュの発想に対して、PwC Japanグループではどのように応えたのですか。
角谷リディッシュのコンセプトに沿い、企画段階からできる限り簡単に使えるインターフェースになるよう、開発を支援しました。
具体的には、お客様のスマートフォンで、メジャーなメッセージアプリの画面からワンタッチで、店舗の業務効率化支援のシステムと経営分析レポートの2つの機能にアクセスできるようにしました。忙しい店舗オペレーションの合間に、手軽に確認できることを特徴としています。
レポートの内容は、日々の売り上げ分析、商品別の売れ行きランキング、自店と競合店のSNSのレビューなどを並べ、それぞれに生成AIによるレビューを付けています。各画面は必要な情報に絞った上で、分かりやすく見せる工夫を随所に施しています。
松隈当社はスタートアップなので開発リソースも足りないところが多いのですが、PwC Japanグループには文字通りの「伴走支援」をしていただきました。当社のリソース不足などの課題にも真摯に対応していただき、できること、できないことを示していただきました。結果的に、最初のバージョン(α版)としては、狙い通り、それ以上のものができたと感じています。これには感謝しかありません。
川崎リディッシュのレポート画面では、飲食店オーナーの方々に分かりやすい内容がスマートフォンのコンパクトな画面にまとめられています。店舗の売り上げ状況や顧客満足度などの多種多様なデータのサマリーをスピーディーに把握できるレポート画面には、イラストも入れて親しみやすさを出しています。これは松隈さんからの提案によるもので、私たちはさすがと思うと同時に、インターフェースの重要性を再認識しました。
角谷本当にそうですね。日々の開発では、どうしても目先の課題に集中してしまいがちなところ、このプロジェクトでは松隈さんのあるべき未来像からバックキャストした提案、発想に触れることができ、目からうろこが落ちる思いでした。
各種分析レポート画面の例。飲食店の経営者がスマートフォンで手軽に扱えるように、画面の要素を絞り込み、デザインも考慮した。生成AIによるコメントには人物キャラクターのイラストも添えて、親しみやすさを追求している
――この実証実験を今後、どのように発展させて本番のサービスにつなげていこうとしているのでしょうか。
松隈今回のサービスで、中小の飲食店の方は今まで正確につかめていなかった“自店の実力”を知ることができると確信しています。
しかし、まだできること、サービスに加えられることはいくつもあります。例えば今回採り入れていない商圏の分析なども、次の段階では加えていきたいと思います。
角谷同感です。今回、データをため込む基盤と、生成AIをサービスに溶け込ませる準備ができました。この2軸がそろったことで、リディッシュが目指している「バックオフィス業務のさらなる自動化と経営支援機能の強化」への第一歩が踏み出せたと思います。
松隈データの蓄積によって私が期待しているのが、店舗の改善サイクルの高度化です。顧客ごとにデータを管理するダッシュボードによるアドバイスから、飲食店の経営を改善すると、その結果が経営の数字となって当社が管理するプラットフォームに反映されます。施策とその成果をリアルタイムに確認しながら、改善サイクルを回すことができる。これは、当社のようにワンストップで飲食店の経営データを預かっているからこそできる支援だと考えています。
そして、その先には飲食店以外の中小事業者への展開を計画しています。人手不足対策やバックオフィス業務の効率化など、飲食店と同じような課題を抱えている中小事業者は非常に多いので、このシステムの横展開ができると考えています。
角谷生成AIの開発案件は、当初は社内向けのチャットボット構築が中心でした。今回のプロジェクトは、いよいよ経営改善支援のような専門性が高い分野に入り込んできた事例として、私たちとしても意義深いものでした。
川崎生成AIが、実際の仕事の中で使えることは重要です。PwCはグローバルで、法律分野の生成AIを開発する米国のスタートアップ企業Harveyと提携しています。日本でも、そうした提携による技術や知見を、税務業務における生成AI活用の強化に生かしています。
角谷今後さらにデータの質と量を高めていくことで、自動化の範囲を拡大することができます。究極的には、すべての作業はAIのレイヤーが受け持ち、クライアントは企業の中枢である意思決定や責任の部分に集中できるようになる。そういう未来を目指しています。
松隈作業部分をAIが受け持つことで、顧問先との関係も変えていけると思います。私が目指しているのが、「CFO(最高財務責任者)の民主化」です。どんな会社でも、事業とお金は両輪で回していかなければいけません。事業に意識が集中しがちな中小の経営者に向けて、CFOの機能を果たせるサービスをテクノロジーの力で提供し、サポートしたい。それが私の描いている夢です。
川崎生成AIの活用は、とっつきにくい財務データ周りの業務をかみ砕き、分かりやすく示すチャンスです。PwC Japanグループの生成AIタスクフォースでは、クライアントの経営支援のために、この技術をどう使えばいいか、様々なアイデアが生まれ、検討が始まっています。リディッシュと私たちの目指す方向は一緒なので、これからも互いの能力を持ち寄って価値の向上を図っていきたいと思います。
PwC Japanグループの「生成AI(Generative AI)コンサルティングサービス」では、生成AIを活用した事業化支援、生成AIの社内導入支援、生成AIに関するリスク管理支援の3つのサービスを提供している。企業はこれらのサービスを利用することで、迅速な導入判断とリスクマネジメントを同時に進めることができる
生成AI(Generative AI)
コンサルティングサービス
生成AI活用による税務業務改革と
価値創出支援サービス
お問い合わせ