真の“SX”に挑む企業たち Striving for a sustainable future

NIPPON EXPRESSホールディングス

トップ画像

豊かな未来を社会インフラで支える物流企業として、グループ・グローバルでの企業価値創造の実現に挑戦

グローバルな時代、物流は世界中をシームレスにつなぐ社会インフラだ。一方で、いわゆる「2024年問題」や慢性的な人手不足、グローバルビジネスゆえの地政学リスクなど、多くの課題を抱えるという現実もある。この前提に立てば、物流業界が持続可能性を維持しながら事業やサービスを提供するサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を重視するのは必然と言えよう。
「真の“SX”に挑む企業たち ~Striving for a sustainable future~」特設サイトでは、真のSXの実現に挑む企業と、それらの企業を支援するPwC Japanグループとの対話を通して、SXを実現する上でのチャレンジや、その乗り越え方、SXに向けた取り組みのあるべき姿を探る。今回は、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)が、物流大手のNXグループを束ねるNIPPON EXPRESSホールディングスとの対話を行った。

100周年に
“グローバルカンパニー”へと
成長を遂げるために

NIPPON EXPRESSホールディングスは、日本通運が2022年にホールディングス制へと移行したことで設立された持株会社だ。

世界50カ国・地域、連結300社超、19社の主要事業会社で構成されるNXグループ全体でサステナビリティ経営を強化するため、同社はホールディングス制移行のタイミングでサステナビリティ推進部を設立した。初代部長としてグループのSXをけん引する岸田博子氏は、背景と経緯についてこう語る。

「当社グループは2037年に創立100周年を迎えます。ここに向けて、19年に策定した『2037年ビジョン』では、『グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー』に成長することを掲げました。ビジョンを実現するために必要となったのが、従来のESG経営をサステナビリティ経営へと発展させ、事業活動の土台としてサステナビリティ戦略を据えることでした。このミッションを果たすために生まれたのがサステナビリティ推進部です」(岸田氏)

岸田博子氏

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
執行役員 サステナビリティ推進担当 兼
サステナビリティ推進部長

岸田 博子

つまり、目指すべき姿としてグローバルカンパニーへの成長を目指す「2037年ビジョン」があり、サステナビリティ経営への方針転換はその前提に立ったものだったことが分かる。

NXグループは24年度から5年間の「経営計画2028」をスタートさせているが、ここでも重要戦略として、「グローバル市場での事業成長の加速」「日本事業の再構築」「サステナビリティ経営の推進」の3つを掲げている。

図1

2024年度にスタートした「経営計画2028」に掲げられている重要戦略は、「グローバル市場での事業成長の加速」「日本事業の再構築」「サステナビリティ経営の推進」の3つ。グローバルを含めた事業成長とサステナビリティが密接にリンクしていることが分かる。出典:「NXグループ経営計画2028」

NXグループ担当として支援に当たっているPwCコンサルティングの森本絵美氏は、ESG経営からサステナビリティ経営への転換についてこう語る。

「『2037年ビジョン』が策定された当時の前経営計画では、ESG経営の確立が主眼に置かれていました。ESG投資という言葉があることからも分かるように、ESG経営には主に投資家や株主、金融機関の要請に応え企業価値を向上するという側面があります。これに対してサステナビリティ経営は、地域社会やサプライヤー、従業員といったより幅広いステークホルダーの要請に応え、企業価値だけでなく社会価値も両立させながら両価値の創出を図るものと認識しています。

NXグループの企業理念を拝見すると、『物流を通して社会に貢献し、豊かな未来を創る』という一節があります。『2037年ビジョン』と、そのビジョンを実現するためのサステナビリティ経営への転換は、NXグループが社会の発展をインフラとして支え、さらにこれをグローバルに拡大させていくという強い思いの上にあります。支援を行う上で、この点は常に意識するようにしています」(森本氏)

森本絵美氏

PwCコンサルティング合同会社
シニアマネージャー

森本 絵美

社会インフラとしての価値を
アップデートする
王道のアプローチ

森本氏のコメントにあるNXグループの前経営計画は19年度から23年度までの5年間のもので、24年度からは新たに「2037年ビジョン」のバックキャストで策定された「経営計画2028」がスタートしている。

図2

2024年度からスタートした「経営計画2028」は、持続的な成長を加速する5年間に位置付けられている。海外売上高比率が40%に目標設定されていることからも、グローバルカンパニーへの成長を掲げる「2037年ビジョン」達成に向けた本気度がうかがえる。出典:「NXグループ経営計画2028」

サステナビリティ推進部設立は「経営計画2028」がスタートする2年前だが、その2年間を岸田氏は、「最初の1年間が従来の重要課題(マテリアリティ)の見直し期間、次の1年間がマテリアリティを基にした具体的な取り組みについての関係部門やグループ会社との協議期間でした」と振り返る。

もともと営業畑でキャリアを積んだ岸田氏にとって、サステナビリティ推進部の初代部長就任は意外な話であり、当初は困惑からのスタートだったという。

「営業時代もお客様にサービスを提供する上で、ESG経営の考え方には沿っていましたが、サステナビリティに関する専門的な知識はありませんでした。ましてや、ESG経営をサステナビリティ経営に大きく転換する、しかも自分がそのチャレンジを専任で担当することになるとは想像もしておらず、何から始めればいいのか、どこを目指せばいいのか、途方に暮れていたというのが正直なところでした」(岸田氏)

そんな岸田氏を支えたのが、岸田氏のサステナビリティ推進部長就任とほぼ同時期にNXグループの担当となった森本氏だ。

「支援に当たっては、奇をてらわずに王道のアプローチで支援させていただきました。NXグループは社会インフラとして世界の成長を支えるという価値を持った企業なので、新たな価値をゼロからつくるのではなく、もともとお持ちだった優れた価値を生かしながらアップデートする形のほうがふさわしいと思ったからです。

実際にご支援して思ったのは、NXグループには真面目で謙虚な社風があるということです。私たちが素晴らしい価値だと思うことも、当たり前のこととお考えの謙虚な方が多いので、私たちが背中を押すことでその価値に対するグループ内の共通理解を深め、見える化していくことを心がけました」(森本氏)

このアップデートという考え方は、サステナビリティ推進部の方針にも合致した。岸田氏のコメントにもあったように、同部の最初の1年間は、サステナビリティ経営に資するマテリアリティの見直しがミッションだったからだ。

「NXグループでは、サステナビリティ推進部設立の前年、21年に一度マテリアリティを策定していますが、これはあくまで日本通運としてのものです。ホールディングス制への移行を受け、グループ・グローバルで取り組めるものに整備し直す必要がありました」(岸田氏)

NE
XT
グローバルや人権といったテーマを
マテリアリティに反映