──現在およびこれからのマンションに求められるものは何でしょうか? 野村不動産様のマンション作りの思想や特徴について、暮らし方、省エネ性、レジリエンス(安全性)の3つの観点からお聞かせください。
村上野村不動産グループでは、2050年に向けたありたい姿として「Earth Pride ー地球を、つなぐー」を策定しました。その実現に向けて、2030年までに取り組むべき重点課題を挙げており、それが「ダイバーシティ&インクルージョン」「人権」「脱炭素」「生物多様性」「サーキュラーデザイン」の5つです。
その中でも、マンションや戸建て住宅といった開発分譲事業は、脱炭素、生物多様性、サーキュラーデザインの3つに重点を置いています。とはいえ、こうした環境に関する取り組みが、お客様に充分に伝わっていないという課題感も感じています。
マンションは
「体験と時間」を提供
村上またコロナ禍を経て、分譲マンションが提供する価値は大きく変わってきました。お客様のライフスタイルや価値観が多様化したことで、そこにどう応えていくかということが、これからも永続的に住宅を提供していく我々のテーマ。それぞれのお客様のスタイルにあった「その人にとってちょうどいい体験と時間の経過」を大切にしつつ、その上で環境配慮に結び付くような住宅の提案を目指しています。
例えば、近年は共働きのお客様が増加していますが、彼らが最重視しているのは「いかに自分の時間を作るか」ということ。仕事や育児で時間がない分、家事の時間を短縮して、その分を自分や家族が豊かになれる時間を作り出そうと考えていらっしゃるようです。
そうした方には、例えばリンナイの「デリシア」のようなオート調理機能で、美味しい食事を手間なく作れるガスコンロを選ばれる方が多いですね。毎日の洗濯が圧倒的に楽になり、ふわふわの洗濯体験が実現できるガス衣類乾燥機の「乾太くん」と、その空間で行われる作業や動線にまで配慮された+αのプランも人気です。
スマート社会技術融合研究機構(ACROSS)
機構長
ライフスタイルの変化はコロナで一気に加速しましたが、それと同時に気候変動の影響で豪雨や洪水、豪雪といった災害が増加してきました。こうした災害に対するレジリエンスも、今後ますます重視されると感じています。
──第6次エネルギー基本計画におけるZEH-Mの現状と、第7次エネルギー基本計画を踏まえて、省エネ・カーボンニュートラルマンションのこれからについてお教えください。
住宅事業本部 商品戦略部
田辺まずは、「ZEH-M」とは何かについて簡単に説明します。ZEH-Mは「Net Zero Energy House Mansion(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)」の略。ZEH水準の強化外壁基準(断熱性能等級5)と20%以上の一次エネルギー消費量の削減を満たしており、なおかつ太陽光発電などの創エネ設備を導入することで一次エネルギー消費量が100%以上削減できた住棟のこと。省エネ率や太陽光発電の有無によって、ZEH-M、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedの4種類に分類されます。
野村不動産は2019年からZEH-M Orientedに関する取り組みをスタートしていますね。ZEH-Mが一気に広がったのは2020年のカーボンニュートラル宣言がきっかけだったので、業界の中でも特に早くから環境への配慮を考えられていたのだと思います。
我が国では、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH水準の省エネルギー性能の確保を目指す」ことを目指しており、それはZEH-Mも同様です。現在はZEH-Mに対して「もう少し厳しくした方が良いのではないか」という声も上がっており、第7次エネルギー基本計画に向けて、省エネ、断熱水準の引き上げも検討されていると聞いています。
| 住棟での評価 | |||
|---|---|---|---|
| 断熱性能 ※全住戸で以下を達成 |
省エネ率(一次エネルギー消費量削減率) ※共有部を含め住宅全体で以下を達成 |
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| 再エネ除く | 再エネ含む | ||
| ZEH-M | 強化外皮基準 (ZEH基準) |
20% | 100%以上 |
| Nearly ZEH-M | 75%以上 100%未満 |
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| ZEH-M Ready | 50%以上 75%未満 |
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| ZEH-M Oriented | 再エネの導入 は必要ない |
||
| 建物の階数に 応じた 目指すべき水準 |
|
|---|---|
| ZEH-M | 1〜3階建て |
| Nearly ZEH-M | |
| ZEH-M Ready | 4〜5階建て |
| ZEH-M Oriented | 6階建て以上 |
マンションにも
高効率給湯器を
村上健康は、性別・年齢を問わず全てのお客様が気にしていらっしゃることです。一方で、住宅の断熱性能と健康との関係は日々暮らしているなかでは気づきにくいとも感じております。そこを「見える化」して、高断熱住宅をより身近に感じていただけることは、とても嬉しいですね。
また住宅の中で健康を担う設備としては、お風呂も欠かせません。その点でリンナイの高効率給湯器「ECO ONE」は、ZEH水準の機能向上として今後のカギとなるだけではなく、気兼ねなくお風呂を楽しんでいただく商品としても期待しています。当社は分譲戸建て「プラウドシーズン」において、2025年度までに太陽光発電・蓄電池・高効率給湯器付きの住宅を、東京都で着工する5割に採用することを発表しておりますが、今後は、マンションでも高効率給湯器の採用を進め、暮らしに心地よい体験と環境性能をお届けできるように進めてまいります。
ヒートポンプの力でお湯を沸かすこうした給湯器は、タンクのサイズが大きくマンションでは採用しにくい課題がありました。しかし、ECO ONE X5(写真)のようにベランダに設置可能なタイプが登場したことで、その問題が解決しつつあります。
開発本部 第三商品開発部
林村上さんが仰るように、タンクを持つ給湯器の一番の課題は、やはり設置場所。集合住宅向けのECO ONE X5は、ターボヒーティングという独自の湯沸かし制御技術により、70リットルという小型のタンクながらも業界トップクラスの給湯効率を実現できた製品です。タンクの中の湯水は、断水時に生活用水としても使えるなど、住宅のレリジエンス性能を高めることにも一役買います。
田辺健康で心地よい体験、いざというときに備えられる安心感に環境・省エネ性能など、現在の集合住宅に求められる要素は多岐にわたります。いわゆる「箱」を提供するにとどまらない難しさがありますね。豊かな生活を実現するのに相応しい設備機器を提案しながら、一方で各設備が長期的に使用し続けられるか、また管理組合などを通じて適正に運用ができるかというソフト面にまで気を配らなくてはならない。こうした複雑な課題に直面しながらも、日々変わりゆく生活者のライフスタイルを研究し、常に豊かさを提案し続ける野村不動産の姿勢に感服しています。
ハイブリッド給湯器「ECO ONE X5」
マンションへの設置が可能なリンナイのハイブリッド給湯器「ECO ONE X5」。電気ヒートポンプとガス給湯器を組み合わせた家庭用給湯・暖房システムで、給湯光熱費を大幅に削減。断水時にはタンクユニットに備えられた非常用取水栓から簡単に湯水を取り出すことが可能。機器のデータを取得して、故障を予兆できる。

