IMD教授 一橋大学名誉教授
一條 和生氏
一條 企業が想定外の変化に遭遇した際に、アジャイルに企業全体を転換できるかが問われます。アジャイルとは、単にスピードの問題ではなく、戦略の転換や軌道修正を伴います。組織全体を変えねばなりません。日本企業の多くは業務プロセスはリーンであっても、組織を変える変革力に問題を抱えています。リーンなプロセスがアジャイルさを伴った時、組織はレジリエント(危機に直面しても粘り強く変革し、それを克服する)になれます。そこが国際競争力強化の鍵を握ると思います。
関 ITテクノロジーの急激な進展に日本は追従できていない。欧米と比較して日本はキャッチアップが遅い。日本では新たな提案をすると「国内事例は?」と聞かれたりしますが、それを待っていたら間に合いません。日本の世界競争力が著しく低下し、IMDのランキングで35位になってしまったのは俊敏性の欠如が要因。そのようなマインドセットの問題に、経営としてどう対応するかがまさに重要なのです。
中谷 20世紀は大量生産大量消費型の社会で、ルーティンワークが多かったので、人を駒のように動かして、同じものを作っていけばビジネスが回る時代でした。21世紀は不確実性の時代で、自律性が必要ですが、働く側は管理されて仕事をするのに慣れてしまっています。しかし、本来人間は生まれながらに必ず自主性をもっています。幼児は自分の意思で勝手に動き回るのに、いつしか「指示されないと動きません」となる…。変化が激しい現代には指示待ちではなく、人間本来の自律性を重要視すべきです。仕事のやり方を変え、本来持ち得ている自主性を呼び起こす必要があると考えます。
